「わたしは光をにぎっている」 中川龍太郎監督 △
目的も準備もほとんど無く田舎に用がなくなったから都会に出てきた未熟者がいい人に囲まれて多少は成長するという監督らのオリジナル作品です。
両親を幼い頃に亡くした澪(松本穂香)は祖母(樫山文枝)と長野県の湖畔にある民宿を切り盛りしていましたが、祖母が倒れたため、死んだ父親の親友(光石研)を頼って上京してきます。下町のごちゃごちゃした商店街に近い銭湯の2階に落ち着きますが、要領が悪い上にコミュニケーション能力も低い澪は仕事が決まらず、祖母の励ましもあり、結局銭湯を手伝うことにします。いろいろあるなかなんとか軌道にのってきた矢先今度は銭湯を含めた地域全体が再開発で立ち退くことになるのでした。
銭湯の常連客のひとり銀次(渡辺大知)がドキュメンタリー映画の撮影をしていることから、映画ネタがあるおかげで澪だけではほとんど会話が無い作品に色を添えました。無口な澪に対してはっきり言う銀次の映画仲間の美琴(徳永えり)が唯一ちょっと悪役になっているくらいの静かで穏やかな現実社会ではありえないある意味ファンタジーの世界でした。
かつて筆者が常連だった横浜の映画館ジャック&ベティが登場し、懐かしかったです。
タバコは、屋台のおでん屋で隣の客が喫煙していました。(△)