安倍首相は、訪日中のオバマ大統領と赤坂迎賓館で1時間半に亘り日米首脳会談を行った。
今回の日米首脳会談は、日・米の対中国対応とTPP問題の政治・経済の二面性が主題と言われた。
今や大国となり協力関係にある中国と事を構えたくない米国。
尖閣諸島問題等で緊迫する対中国関係何処まで米国の支援が得られるか確証を得たい日本。
将に国益の衝突となったTPP日米二国間交渉利害の一致を見ず、首脳会談までに大筋合意に
達せませんでした。
会談ではオバマ大統領が、尖閣諸島を含め日本の施政権下にある全ての領土は日米安保保障
条約5条の適用範囲あると、米国大統領としては初めて防衛義務を明言しました。
ただこれは、米国政府の一貫した立場で目新しいものではない事を強調し、この問題を平和的に
解決することが重要で事態をエスカレートするのは正しくないと、釘をさすのは忘れませんでした。
安倍首相は日本が戦後一貫して平和国家として歩んで来た事を強調した上で、集団的自衛権
行使可能な法整備検討して居る現状を説明し、オバマ大統領から検討について歓迎・支持する
との発言を頂いた。
米国国防関係では日本の集団的自衛権行使は大歓迎でも、米国としては日本の独走には懸念を
持って居る様で、大統領の立場では当然の表現かもしれませんね。
他に中国の海洋進出・ロシアの武力によるクリミヤ編入・北朝鮮核・ミサイル問題等について協議
した模様です。
また日米防衛協力指針の年内改定・沖縄米軍普天間飛行場移設や在日米軍グァム移転等で
着実な実施で一致したとの事。
日米同盟の安全保障問題では米国の明言を引き出し日本としては一安心。
しかし一方もう一つの課題TPP日米二国間交渉は早期妥結に至らず、このため日米首脳会談の
共同声明は棚上げされると言う異常事態になった。
甘利TPP担当大臣とフロマン米通商代表は何とかオバマ大統領が離日するまでに早期妥結を
図ろうと深夜まで協議したが難航し妥結は困難視されて居ます。
日米首脳会談では両国ともアジア・太平洋地域全体にとって戦略的極めて重要と言う事で認識は
一致しました。
しかしオバマ大統領は共同声明で、日本の農産物や自動車の開放は今こそ解決すべき時と
日本に一段の譲歩を迫りました。
現在TPP日米二国間交渉の問題点は、農産物重要5項目と自動車の関税に関する項目です。
コメ・麦サトウキビ等甘味資源作物の三項目は輸入枠拡大等で関税維持する方向で調整中。
牛肉では日本の関税率38・5%から10%台半ばまで日本は譲歩案提案。
米国は10%以下引き上げ要求。
豚肉では高価格ブタ肉輸入の4・3%の関税は撤廃に応じるが、低価格のブタ肉は関税率を
引き下げに留めると日本側は主張。
此に対する米国は全ての豚肉への関税撤廃を主張。
お互いに國の産業の将来を賭けての交渉です。
下手な妥協は許されません。
TPP交渉参加国の中で一番取り引き規模が大きい日本と米国の交渉は、今後のTPP交渉の
妥結の大きな影響を与える事は必至ですね。