kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

ウサギとカメ

2015-01-10 | 陸上競技
木曜日、この日から3学期が始まりました。あっという間に時間が過ぎていきますね。冬期練習も半分くらいが過ぎているのでしょうか。手ごたえがある部分もあれば足りない部分もある。まずは1つずつ埋めていく作業が必要になります。時間がかかります。時間との勝負になると思っています。何とかするためには取り組む意識の問題も出てきます。ここは指導する側の力量が試されるん部分だと思います。まだまだ私自身足りないことが多いのですが・・・。

前日を休みにしていたので朝練ではミーティング。私が話すのではなく選手同士で話をさせました。変わる部分が多すぎて大変だと思います。本当に変わる気があればどれだけでも変われます。その気がなければどれだけ時間をかけても変わりません。そんなものです。ミーティングも意味があるものにできるかどうかは本人たち次第です。ある程度話をしたようですが私はあれこれやることがあったので朝練には行かず。

午後もミーティングから始めました。まずは数人にみんなの前で話をさせました。座って話をするのではなく立って自分がどのように感じたかを話す。こういう機会は必要だと思いますね。自分の考えを人前で話す。それで自分の考えがまとまる。口にすることで自分がやるべきことが見えてくる。「努力の方向性」「練習の意味」といった部分が出てきました。これは私が指摘した部分なので本人たちがどれだけ感じているのかは分かりません。合宿中に話した内容がこのミーティングで出てきたのか、それとも自分が心から感じたのか。この部分の「差」は大事だと思っています。

私からも少し話をしました。blogにも書きましたが合宿の前の日に見たテレビ番組の話です。何人か見ていました。日本女子のトップアスリートが小学校時代に初めて100mを走るというもの。特に何かをしているわけではありませんが速い。動き自体もスプリントの動きになっていますし、尋常ではなくピッチが速い。この何とも言えない「差」を突きつけられたとき人はどう感じるのでしょうか?「努力」では補えない部分があります。何も意識しなくても動きができる選手はいます。逆に動きの型にはめてしまって走れなくなるパターンというのが多い。「才能」という言葉で片付けるのは面白くないですがこの「現実」から目をそらすというのは良いことではないと思っています。世の中は平等ではない。それが現実なのです。

他校と練習をすれば「自分たちが勝っている」と感じる部分もある。それは大切なこと。しかし、「できていない者」と比べて「できている」ということに満足をするようでは成長はないのです。上述のトップ選手と比べるとどうか?県内のトップ選手と比べるとどうか?ここは大事なこと。

「ウサギとカメ」の話をしました。ものすごく足の速いウサギとゆっくりしか走れない(歩く?)カメ。どちらが遠くの山の上まで早く到着するか競争をする。足の速いウサギはあっというまにゴールの近くまでたどり着く。後ろを見てみるとはるか遠くにカメの姿。これならちょっと休憩しても大丈夫だろう昼寝をする。寝ている間もカメは走り続けてウサギを追い抜く。ウサギが目を覚ますとゴール前にカメがいる。慌てて追いかけるが間に合わずカメに負けてしまう。という感じの話です。

この話、ゆっくりでも着実にやっていけば必ず努力は実ると感じるかもしれません。足が速いウサギにだってカメが少しずつやっていけば勝てる。だからしっかり努力しましょう。これは「表面的な理想論」でしかないと思っています。いや、どう考えても足が速いウサギにゆっくりとしか進めないカメが勝てるはずがないのです。ひょっとしたらウサギはこの負けにより「このまま自分では駄目だ」と改心して絶対に手を抜かないようになるかもしれません。そうなったらカメは絶対に勝てません。勝てる要素がなくなるからです。

「ウサギ」は決して怠け者の代表ではありません。世の中には最大限に努力するウサギだっているのです。最初から努力するウサギにカメが勝てる可能性は??こう考えると面白くないですが絶対に勝てないと思います。それが「現実」です。うちの選手はウサギではないと思っています。また、カメでもないと。ある程度の力はありますがウサギほどの「才能」にあふれているわけではない。上述の日本トップ選手のように「走ったらいきなり速い」というわけではないからです。ネズミくらいの力でしょうか。カメは手を抜いたウサギ(自分を磨ききれない選手)にも勝てないと思います。残念ですが。しかし、ネズミであれば最大限の努力をしないウサギには「ひょっとしたら勝てるかもしれない」というチャンスがあります。100回やって勝てるのが1回かもしれません。その1回が「勝負の時」であれば良いのです。うちの選手が勝つためにはやはり最大限の努力をする必要があります。

私の現役時代の話もしました。私は指導者に恵まれずほとんどの練習を自分で考えてやっていました。多分、かなり遠回りしていたと思います。中学時代は県でなんとか決勝に残るレベル。このころは「やらされている感」がかなりありました。高校に進んで「強くなりたい」と思い、自分で雑誌を買って読んだりトレーニング関係の本を読み漁りました。で、1年生の時に県で8位、2年生の春には県で7位、秋には優勝しました。このころは「がむしゃらな努力」でしかなかったと思いますが、「勝ちたい」という気持ちが強くあったことを覚えています。それなりの「才能」はあったのかもしれません。しかし、ライバルはちょっとした問題行動があると話を聞いていました。その選手に比べると自分自身の「才能」というのは本当にちっぽけなものでした。無駄と思われるような努力を重ね、学生時代には中四インカレで最高2位。中四個人戦では2度優勝することができました。全日本のランキングでも最高は50位くらい。中学時代なんとなく県で決勝に残れたら良いなといっていた選手が努力を重ねることで日本でもそれなりの位置に上ることができるのです。

これが全員に当てはまるとは言い切れません。厳しいようですが「カメ」が最大限に努力をしても「ウサギ」には勝てない可能性の方が高いからです。指導者がいない「ウサギ」であればひょっとしたら「ネズミ」は勝てるかもしれない。私の現役時代と違って今のうちの選手には「それなりの指導が受けられる」環境があるからです。そこで「やるだけ」ではなく目的意識を持って「何のためにやっているのか」を考えながら取り組むことで色々なものが変わってくると思います。そうやって「最大限に努力するネズミ」になることが必要。それでも勝てないかもしれない勝負を挑もうとしているのです。普通のことをやっていたら勝てないと思います。

「勝てないからやらない」というのでは面白くありません。最初から「負け」を意識した練習を重ねても意味がないからです。「何とかしてかってやろう」という気持ちで物事に取り組むこと初めて可能性が出てくる。そんなものだと思っています。今の時点では勝てません。それでも残りの数か月あがいてもらいたい。どうなるか分かりませんが必死になってあがくことで少しずつ前に進むことができる。そう考えています。

長くなりました。「最大限に努力するネズミ」になってもらいたいと強く願います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする