続きを。
県新人最終日。この日は200m。ここは「狙って中国新人」という段階でした。Saは県総体で0.01秒差で7位となり中国大会を逃す。その悔しさを晴らすためにはここで3番以内に入って中国新人を勝ち取る。事前のランキングでは4位だったと思います。それでもかなりの確率で狙えると思っていました。タイム云々ではなく「勝負」という意味でレースができればと。Msが100mではなく200mに出場。これまでのベストが29秒37。200mのための練習はやっていませんが28秒台が目標。
アップに関しては任せていました。大切なポイントになる部分がありますが流れをしっかり作ることができるかどうかです。予選は無難に。Saに聞いてみると「結構行きました」と・・・。27秒17です。さほど力を使わなくても出るタイムのはずなのですが。Msは28秒77。大幅ベスト更新です。戦える記録かどうかは別としてまずはこうやって記録を伸ばしていくことが重要。
準決勝前、Saは少しだけバランス調整。状態としては悪くないので軽く調整するくらいで十分だと思っていました。一番の課題は休憩が短い中で3本走るという部分。走り込みという部分ではうちはほとんどやっていません。そうなると本数を重ねると若干苦しくなる危険性が出てきます。これまでの流れを見ると大丈夫かなという感じはありましたが。準決勝2組にSaが出場。全く問題なく1位で通過。向かい風が強くなってきたので記録という部分よりは「勝負」という部分かもしれません。
決勝、スタートが相変わらずです。直線に入ってくるときには少し遅れていました。が、そこから挽回。前を詰めていきます。ラスト50mの時点で3位。最後は前との差を詰めながら走っていきましたがそのままの順位で3位。念願の中国新人出場です。本人は安心したのかフィニッシュ後には涙を流していました。県総体の時の悔しさを晴らすことができた部分と安堵感があったのだと思います。そこに駆け付けていたHoも自分のことのように喜んでいました。こういう部分は見ていて本当にうれしいですね。
Sa自身は中学時代の100mベストが13秒73。普通の選手でした。色々な選択肢の中でうちの学校を選んでくれる。素直にコツコツできるので力がついていきます。今年の県総体では13秒02まできています。今回の200mのレースの時に「スタートがもっと良くなったら速いのでは」と何人かから言われました。これも分かりにくい部分ですが実際はかなり改善されています。これまでのスタートは本当に「終わった」と感じる部分でした。かなりの時間をかけて改善してきましたがまだまだ止まります。
この子の指導をする中で「5歩のリズム」を意識するだけではないなと感じました。「スタート」に関してある程度の共通指導があります。私の中でですが。しかし、それはSaには当てはまらない。1歩目の重心移動が上手くできないので完全に前接地になって止まってしまいます。それにより身体が起きる。リズムが作れない。悪循環を生み出します。国体最終の時から「リズムを速くする」という意識にしています。重心移動を意識するスタートを中心にしていますが、選手の状況によって変えていく必要あるなと。
リズムアップをすると「その場足踏み」になりやすい。本来的に強い選手であればそれでも乗れるのかもしれません。が、「不器用な選手」であればそういう走りができない。うちの指導の中心は「練習の積み上げ」です。タイムだけでいえば目立つものではありません。それでも「実績がない選手」が力を確実につけていくというスタイルでやっているからこそ「誰?」と言われる選手が中国新人に進むまでになる。
「200mの後半が強い」と何人にも言われました。「走り込みの成果です」と答えています(笑)。まー、このblogを読んでくださっている方は分かってもらえると思うのですがうちのグランドでは120m以上は走りません。走れません。本数も最大で3本走るだけ。通常は120-90-60を1セットやって終わり。連続で数セットやるということはありません。それでも「後半強い」と言われる理由は何か。基礎的なことをやっているのが繋がっているのかもしれません。
Saは2週間前に「200mが走り切れるかどうか不安がある」と漏らしていました。こういう発言が出るときには「安心感」が必要になる。ということで1度だけ60mの往復走をやる。1度だけ120mの折り返し走をやる。「走りこんだ」と言えるかどうか分かりませんが、「走った」と言えるのはここだけです。ほとんど走っていません。
目に見える結果が出ました。今回は県新人の前のblogに書いていますが「かなり練習を落とす」という試みをしました。他の学校がどれくらい普段練習をしているのか分かりません。うちはぼちぼちやっていると思います。数日間意図的に落としたところで体力が激落ちすることは考えられません。ここは「指導者が不安になる」のと「選手が不安になる」だけだと考えています。今更ですが。思い切って休むことができるか。身体を回復に充てられるかどうか。その部分の判断が必要になってくると思っています。
4人しかいない女子で「4継2位」「200m3位」「100m4位」というのは上出来なのかなと思っています。これがきっかけになってもっと記録が上がっていくと感じています。「やっていることが間違いではない」という自信になるから。私自身も方向性の確認が出来ました。まだまだ工夫が必要な部分はあります。競技以外の指導にエネルギーを莫大使う現状から打破できるかどうかも大きくかかわってきます。
良い部分はここまで。課題になる部分はまた別に書きます。今回の結果、多くの方が喜んでくれました。周りの指導者も。ありがたいことです。積み上げていきたいと思います。無名校でもできる。そう思います。