照る日曇る日第893回
新潮日本古典集成新装版による「太平記」を、はじめて読みました。
むかしむかし河出文庫から出ていた山崎正和の現代語訳全四冊を楽しく読んで、なるほどこりゃ浪花節のマンガ戦記物じゃわいなあ、と放りだしたのが、いまからおよそ半世紀前のこと。
このたび右側に赤字の翻訳付きの原文をつらつら辿ってみたら、平家物語を凌ぐ原作者の恐るべき知性と教養に圧倒されてしまいました。
校注者の解説によれば、この作品は小島法師という芸人が執筆し、法勝寺の慧鎮上人と天台集の碩学玄恵法印の監修のもとで出来あがったそうですが、後醍醐天皇の南朝贔屓に徹していながらも、これは凄いわ、おもろいわ。歴史書というよりは、ほんまに格調高い戦争文学だわさ。
同じ叢書の「平家物語」と同時並行しながら、なおこの続きを読みすすめていきたいと存じます。
アルコール0%といいながら酔っぱらったようになるのはどうしてだらう 蝶人