あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

邦画3本立てずら。

2016-09-25 09:24:24 | Weblog


闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1078&1079&1080


○市川昆監督の「野火」をみて

戦争という極限状態で生き延びるために人肉を食うことができるか否か?
大岡昇平原作のこの映画の主人公はそれを断固拒否するが、私だったらそれは無理矢理猿の肉だと思いこんで口にするかもしれないと思った。
時に凡庸な演出をする市川選手だが、ここでは船越英二ともども深刻な戦争悲劇のおおむね妥当な再現に努めている。

○三村順一監督の「キタキツネ物語」をみて

動物を都合よく人間化して勝手にお涙頂戴のメロドラマに仕立てるのは犯罪的な行為ではないだろうか。珍しい動物の生態をちゃんと描きたいなら科学的なドキュメンタリー映画にすればいい。

○中原俊監督の「優しい12人の日本人」をみて

アメリカ映画の「12人の怒れる男たち」を真似したのだろうが、それを本邦に持ちんだら、とんでもない日本人論映画が出来あがった。登場人物の一人ひとりがみな私たちの身に覚えのある存在ばかりで三谷幸喜の脚本の切れ味は抜群である。

裁判官が命懸けで担うべき裁判を訳のわからん一般大衆におしつける裁判員制度などやめてしまえばよいのだ。



   ああグルダ!フィガロ変奏曲を耳にせず泉下の人となるなかれ 蝶人

コメント
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