照る日曇る日第1595回
1961年の「喝采」以降1976年までの代表的な詩と、様々なエッセイで構成されているが、詩そのものよりも詩集「スピーチ・バルーン」ニオケル「ブロンディ」「ミッキー・マウス」「のらくろ」「フクちゃん」などの題名に強く惹かれた。私は今でも「赤胴鈴之助」とその主題歌が大好きなので、いつかこのタイトルによる詩を書いてみたいものだ。
巻末には思いがけず鈴木志郎康さんが「清水哲男さんの詩に抒情の現在を考える」という詩論的エッセイが付されており、その内容もさることながら、当時の志郎康さんは多忙で熱を出したりしているなかで締め切りに追われているようで、前半を書きさして中断し、最終日の午前3時になってその詩論の結論を出そうとする。
そうして、それが最後の最後まで真摯な考察でありつつ、現在時のアトモスフェアの即興的な状況報告的ジャムセッションになっているところに感銘を受けた。これぞ詩人のエッセイである。
わが庭の梨の木も枯れてしまったよリンゴ殺人事件を嘆いて 蝶人