照る日曇る日第1596回
リンチ受くる少女のかたえを通るときおし黙りおり唖者のごとくに
報復の名のもとわれは甘えいて今宵も虚しき血は流さるる
夜を徹しわが縫い上げし赤旗も故なき内ゲバの血に染まりゆく
その夜より報復おそれ帰らざる早稲田よわれの墓標たる門
学生運動と青春についてはあまり語りたくないので、こういう歌集は敬して遠ざかていたが、なんとなく目に入ってきたので読んだ。
60年安保を歌った岸上大作や寺山修司の有名な“燐寸すりの裕次郎歌”は、観念的、抽象的で吹けば飛ぶよに軽いが、安田講堂世代の彼女の歌は、血を流している重い肉体がある。
短歌の専門家から見ればいろいろな欠陥が目立つのだろうが、それがどうした。糞くらえ。特に内ゲバと永田洋子を詠んだ歌がいつまでも胃に澱を残した。
連日の五輪コロナワクチンの報道ストレスで顔面麻痺す 蝶人