あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

アン・グットマン文・ゲオルグ・ハレンスレーベン絵・石津ちひろ訳「リサとガスパールえいがにいく」を読んで

2023-11-15 13:14:41 | Weblog

照る日曇る日 第1983回

 

戦争で罪なき子らがどんどん殺されていくのに呑気に絵本など読んでいるのが酷く気になるが、他のことをしてもやはり幾ぶんの罪障感はかつてのベトナム戦争の時

と同じように残るのだから仕方がないと諦めるほかなし。

 

これはパパに連れられたリサとガスパールが映画に行く噺。ママのビクトリアはピアノのおけいこがあるんだって。リサとガスパールは背か低すぎて画面がよく見えないために大騒ぎして映画どころではないんだけど、パパは終始ガアガア眠りこけてるから問題なし。

 

おしいしいココアをおごってもらってから、3人で楽しく家路につくのでした。

 

   貧すれば朝昼晩と芋喰らうふつうの芋をチンして喰らう 蝶人

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アン・グットマン文・ゲオルグ・ハレンスレーベン絵・石津ちひろ訳「リサとガスパールのちいさなともだち」を読んで

2023-11-14 11:09:54 | Weblog

照る日曇る日 第1981回

 

リサとガスパールは仲良しうさぎさんなんだが、どっちが年上でどっちがおすめすなのかは分らないが、ともかく同じ学校に通っていて、そこにブリオッショという名の可愛いモルモットが

転校してきて、それをみんなが可愛がる。

 

ところがおうちで一緒に遊んでいるうちにブリオッショが行方不明になってしまったので、困った2人はペットショップでマロンという名の新しいモルモトを買うのだが、あとでブリオッショも帰って来てみんな仲良くなるというお噺。

 

情感あふれるゲオルグ・ハレンスレーベンの絵が素敵だ。

 

 自民党の別働隊の国民の玉木のダチの泉某に乗っ取られたる立憲民主 蝶人

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西暦2023年霜月蝶人映画劇場 その2

2023-11-13 13:31:55 | Weblog

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3431~35

 

1)リューベン・オストルンド監督の「ザ・スクエア」

2017年のスエーデン映画で、美術館のチーフ・キューレーターの上に降りかかる椿事の数々。

 

2)ルル・ワン監督の「フェアウエル」

2019年の中国人一家の悲喜劇ドラマ。中国では癌の本人告知を行わないそうだ。ヒロイの猫背が気になるずら。

 

3)ピョートル・アダムスキー監督の「無情」

2019年のポーランド映画。血を血で洗う殺戮を繰り返す怨念の復讐家族。これが古くて新しい戦争の原点なり。

 

4)クリスティアン=ジャック監督の「パルムの僧院」

スタンダールの原作をジェラール・フィリップ主演で1948年に映画化。ラストで3本道が現れ、3人の運命が暗示されるが、血の気の多いファブリスがそのまま僧院に閉じこもるとは思えないな。ここでのアリア・カザレスの衣裳、ヘエアメイクはてんでイケてない。

5)クロード・オータン=ララ監督の「赤と黒」

スタンダールの原作をジェラール・フィリップ主演で1954年に映画化。レナール夫人のダニエル・ダリューなど美女を次々にモノにする絶好調のフィリップを「パルムの僧院」同様最新版のデジタルマスター版で楽しむ快楽!

 

   殺しても殺してもなおあきたらずついにはてめえも殺しちまうのよ 蝶人

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谷川俊太郎編「永瀬清子詩集」を読んで

2023-11-12 11:17:44 | Weblog

照る日曇る日 第1980回

 

「現代詩の母」と称される人の代表作が網羅されていて、興味深い。

 

 いつもよろこびやすい心をもってよい運命をむかえよう。

 いつも日光に向う草のように全身を透かしていよう。

 よく働らくすこやかな手足をもって

 世の不如意それは幻影にすぎないと信じよう。 (「わが運命」より)

 

優れた詩人の常として、よろこびもかなしみも、生活のことごとくが生きた証としての詩となり、誰も見たものはいないけれど、生きることと詩をつくることとが、同じ俎板の上で静かに行われている。

 

 あらゆることを詩でおこなひ

 一呼吸ごとに詩せよ。

 日記をかくやうにたくさんの詩をかけよ

 手紙をかくようにたくさんの詩をかけよ (「流れるごとく書けよ」より)

 

流れるように書いた散文詩もよいが、数少ないカタカナ交じりの韻文詩も忘れ難い。

 

 去リシモノハ去リシナラズ

 注ギシモノハ永久ニアリ (「イトハルカナル海ノゴトク」より)

 

要するに彼女は、「初代全身詩人」であった。

 

 世界観という名前の人がいるようだ恥ずかしくて口にできないい 蝶人

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佐藤幹夫著「「自閉症」の子どもたちと考えてきたこと」を読んで

2023-11-11 11:30:30 | Weblog

 

照る日曇る日 第1978回

 

私たち夫婦には49歳になる自閉症の長男があり、我が家の「王子様」である彼を基軸として晩年の「一寸先は光」の楽しい生活が展開されているのですが、私はこの自閉症という障害の本質を、紆余曲折を経てようやく学者や研究者の共通理解となった「脳の先天的な器質障害」、あるいは「遺伝子の生物学的な機能障害」と捉え、言葉やコミュニケーション不全、強いこだわり等々の自閉症児の発達の遅れや問題行動のすべてを、ダイレクトにそれと結びつけて、よしとしてきました。

 

ところが、この年になって初めて佐藤氏の自閉症の本を読んで、大きな衝撃を受けました。氏は21年間に亘る障害児教育の研究と実践を通じて、そうした生物学的な研究をすべて否定するわけではないが、「自閉症=脳損傷論」という因果論的な考えは、彼らの言動を「症状」としてしか見ない、あるいは見えないゆえの誤解と偏見ではないか。もっと彼らの具体的な実像に切り込み、その内面の複雑微妙で多面的な様相をじっくりと観察し研究しなければ、彼らの本質はつかめないのでは、といわれるのです。

 

確かに「ちえのおくれ」を持つ障害児者はかなり共通した症状を持つと同時に、一人ひとりが異なる症状を持っており、十把一絡げに論じたり接することはできません。そして彼らが示す「問題行動」の一つひとつに必ず「原因」があり、その隠された「原因」を探り出して適切に対応することこそ、一番困難にしてやりがいのあるしごとなのです。

 

本書の中で佐藤さんは、「障害と健常は連続している」こと、そして「関係の遅れ」や「人や社会とかかわる力の遅れ」、「発達における量的拡大と質的変容」に着目し、とりわけ自閉症児の「私(自己)の育ちそびれ」、「「やり―とり」の弱さ」について言及しています。こうした多彩で複雑な欠陥は相互に密接に連関しており、そのことが彼らの発達の質的変容をさまたげていると説かれるのです。

 

私は、遅まきながら佐藤さんのこの本をバイブルとして、自閉症の新しい見方を学びとりたいと思っています。

 

    我が知るどの新聞と比べてもレベルが低い朝日歌壇 蝶人

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宮尾節子・佐藤幹夫著「明日戦争がはじまる 対話編」を読んで

2023-11-10 14:21:39 | Weblog

 

照る日曇る日 第1977回

 

「明日戦争がはじまる」で世間を騒然とさせた詩人の宮尾節子さんと津久井やまゆり事件を総括する決定版をあらわしたジャーナリストの佐藤幹夫さんによる往復書簡、ならぬ往復メールによる対話本をいっきに読みました。

 

対話編ときけばあの有名なプラトンが聞き書きした「ソクラテスの対話編」を思い出すけれど、ああいう誰かが誰かにものを教えるというような高尚な対話ではない。私はなぜか1982年のウィンブルドン男子決勝戦で実際に見たジミー・コナーズとジョン・マッケンローの、手に汗握る対戦を思い出しました。

 

宮尾マッケンローが超高速の直球サーブを見舞うと、ラインぎりぎりまで後退した佐藤コナーズがこれをやわらかに受け止めて、緩やかなロングロブをうち返し、待ち構えた宮尾マッケンローが、ネットぎりぎりのスライスボールを落としてみせるいうような、ハラハラドキドキ丁丁発止自由闊達談論風発天地無用の遣り取りが最初から最後まで続いて、まあ当節これくらい面白くて為になる応答集はない、と断言できましょう。

 

コロナ禍とそれ以降の社会変化や政治家襲撃、津久井やまゆり事件などの障害者殺人、福祉とケアの問題、海の向こうの戦争と目の前の5分後の戦争など我われの耳目を釘づけにした話柄が続々と俎上に載せられます。

 

しかし私はこの2人の対論者が、強権を発動して民草を抑圧し、新たな戦争を招き寄せようとする専制政治に対して心をひとつにして激しく燃やす怒りと粘り強い異議申し立て、そしてこの劣悪な環境の中をけなげに生き抜く社会的弱者や障害者に捧げる慈愛に満ちたエールに深く感じいったことでした。

 

末尾の第5章では芥川賞を受賞した「ハンチバック」の作家と作品にかんする佐藤さんの鋭い省察が披露され、それに応えて宮尾さんが持ち出した同郷の広末涼子の一世一代の肺腑の言「きもちくしてくれてありがとう」が圧倒的に素晴らしい。

 

「週刊文春」で一読したときにも、これぞ「にんげんとうたの原点」ではないかと胸を激しく打たれたのですが、ここに宮地さんのリライトそのままに再録して、拙い感想文を終えたいと思います。

 

 出逢ってくれて 

 会ってくれて、

 合ってくれて、

 

 くっついてくれて、

 入れてくれて、

 泣かせてくれて、

 

 きもちくしてくれて、

 いつもどんな時も

 あなたらしく居てくれて、

 対峙してくれて……

 

 本当にほんとに、

 ほんとうに、ありがとう。

 心からのありがとう。

 

 「戦争のない国にしたい」といいながらまた戦場に出る「大河」のヒーロー 蝶人

 

 

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ルイーズ・グリュク詩集・野中美峰訳「野生のアイリス」を読んで

2023-11-09 14:29:24 | Weblog

照る日曇る日 第1976回

 

ノーベル賞をもらった詩人の最新作だというので手にとってみた。表題のアイリスとか、サンザシとか、菫とかひなげし、クローバー、ヒナギク、薔薇、朝顔、ユリなどさまざまな植物が登場して、それらについての詩的言語が並んでいるのだが、あまりアイリス感、サンザシ感はせず、むしろアイリス観、サンザシ観、あるいはその植物を喩としてこの世とあの世と神様と自分の運命についてなにかを語りたいらしい。

 

例えば、野生のアイリスの冒頭の4行は、

 

 苦しみの果てに

 扉があった。

 

 わたしの話を最後まで聞いて、あなたが死と呼んでいるものを 

 わたしは憶えている。(後略)

 

というもので、訳者によれば、作者は2年の沈黙ののちにようやくこの2行を書くことができ、2カ月を要して全部を書き終えたというのだが、「ああそうでしたか。御苦労さまでした」としか応じられなかった。

 

 いいおう彼女の話は最後まで聞いたが、私はあまり彼女のいい読者ではなさそうである。

 

    1枚の写真が故人の面影を優しく伝える永訣の会 蝶人

 

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澤地久枝著「滄海よ眠れ一」を読んで

2023-11-08 11:34:50 | Weblog

 

照る日曇る日 第1976回

 

澤地さんが血と汗と涙で書き綴った渾身の書を、遅まきながら読み始める。「ミッドウェー海戦の生と死」という副題通りの内容である。

 

冒頭にくるのは、海戦の勝敗を決する(実際は友軍機に依頼しての)電報を打った空母「飛龍」艦攻機上の飛行隊長友永丈市大尉である。運命の1942年6月5日午前4時、ミッドウェー島を爆撃したあと、彼は「第2次攻撃隊の要あり」の無線を発した。

 

海軍の公式見解では、この友永の意見具申により敵機動部隊に備えて待機していた艦上機の魚雷をミ島攻撃用の陸用爆弾に変え、この兵装転換中に敵機動部隊出現の報告があり、再度魚雷に変更。やっと雷装を終えて出撃直前のてんやわんやの「運命の5分間」に敵機の急降下爆撃をくらって赤城、加賀、蒼龍の3空母が被爆炎上したといわれている。

 

しかしこれは敗戦のつじつま合わせのための事実と異なる真っ赤なウソ偽りである。実際は「運命の5分間」などは存在せず、被弾直前の各空母の甲板に航空機の影はなく、その大半は格納庫の中で燃料満載状態で待機していたのである。


確かに急降下爆撃自体は電撃的だったろうが、それ以前に「陸を叩くのか、海を叩くのか」最初から最後まで作戦意図が分裂しており、敵空母発見の報が入って5時40分に敵と戦う決心をしてからも、対艦用の半分の飛行機は予め与えらえた仕事をしていなかった。

 

真珠湾の大勝利に酔っていた連合艦隊は、いわば「戦う前に負けていた」ようなお粗末な実態であったことが、戦史とは無縁な素人同然の澤地選手の粘り強い追究によって白日の元に晒されたのであった。

 

    誰がどう言おうがわいらあ大嫌い化粧する男&刺青する女 蝶人

 

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西暦2023年霜月蝶人映画劇場 その1

2023-11-07 09:58:53 | Weblog

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3426~30

 

1)ダニエル・シュミット監督の「ヘカテ」

1982年、げすなおんなローレン・ハットンに尻子玉を抜き取られた哀れな男の顛末でげす。

 

2)ルネ・クレール監督の「夜ごとの美女」

1952年のジェラール・フィリップ主演のお仏蘭西コメデイ映画。色男を取り巻く夜毎の美女をうっとり鑑賞しよう。

 

3)ルネ・クレール監督の「夜の騎士道」

デジタル最新版による色彩は見事だが、にやけイケメンが美貌の女性を大演習までに落とす賭けで始まる大恋愛という噺が臭すぎます。1955年製作で、36歳で死んだフィリップと96歳で死んだモルガンが主演。

 

4)アンソニー・ミンゲラ監督の「イングリッシュ・ペイシェント」

主人公レイフ・ファインズが独逸風の名前を持つがゆえに恋人のジュリエット・ピノシュが洞窟で死んでしまうという1996年の可哀想なお噺。

 

5)エミール・クストリッツア監督の「アンダーグラウンド」

第2次大戦から内戦までユーゴスラヴィアの歴史を描く1995年のブラック・コメデイ大河小説映画ずら。

 

 「ガザの怪物を殲滅する」というておるヒトラーがユダヤ人にいうたやうに 蝶人

 

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村瀬学著「自閉症」を読んで

2023-11-06 14:13:18 | Weblog

 

照る日曇る日 第1975回

 

自閉症の本は無数にあり、その数だけ自閉症論議がある訳だが、それらの様々な学問的定義やかまびすしい論義やレッテルから遠ざかり、個々の自閉症児を虚心坦懐に見詰めてみると、なにが見えて来るか。

 

それは極論すると「ちえのおくれ」を持って生まれた自閉的な健常児ではないか、といのが著者の見解ではないだろうか。

 

著者がいうように、自閉症児のみならず、文明の中では、障碍があろうがなかろうが、私たちは例外なく「おくれる存在」であることに着目すれば、私たちは暮らしのあゆみ中でこの「おくれ」と共にゆったりと過ごすことによってしか、人間らしい人間であることは出来ないだろう。

 

事実私が自閉症の長男と共にゆったりと暮らしている限り、たとえ全世界が崩壊しようとも、浮世離れしたかけがえのないしあわせを享受することが出来ると思うのである。

 

    ヤングケアラー若き介護者と悟りしがシェアライダー、アーバンベアなんのこっちゃ  蝶人

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川上未映子著「黄色い家」を読んで

2023-11-05 14:50:56 | Weblog

 

照る日曇る日 第1974回

 

2021年7月から22年10月まで読売新聞に連載された長篇小説なり。

 

ひとりの若い女性が、たまたま知り合った親切な年配の女性と同居するようになり、

彼女がマスターをしているスナックで働くうちに、どこにも行き場のない2人の同年配の女性と4人で共同生活をするようになる。

 

初めはそれなりに楽しく貯金もできて生きがいを感じていた4人だが、スナックが火事で焼けてから暗い影が差すようになり、だんだんヤクザやシノギの闇の世界に足を踏み入れるとともに、4人組の友愛関係も壊れて、最後は悲惨な末路を迎えるのだが、このヒロインのいきる喜びと悲しみ、不安と苦しみと完全に一体化した作者の、まるで神がかりしたような表現が凄絶を極め、読む者をはらはらどきどきさせながら、壇ノ浦の悲劇からから大原御幸まで息もつかせずひっぱっていくのである。

 

これこそ天才川上選手の最高傑作!というても、かまわないと思う。

 

   この国を滅茶苦茶にして死んぢまった安倍蚤糞の後を継ぐ奴 蝶人

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鎌倉国宝館にて「国府津山寶金剛寺展」をみて

2023-11-04 14:42:23 | Weblog

 

蝶人物見遊山記第373回&鎌倉ちょっと不思議な物語第449回

 

いつも同じブツしか展示しない国宝館が、珍しく小田原国府津のお寺の密教美術を公開していた。なんでも昔国宝館のスタッフがこの平安時代9世紀に弘法大師の10大弟子の一人によって創建された寶金剛寺の美術品の修復をした恩返しの展覧会だという。

 

同寺の秘仏本尊の地蔵菩薩や観音菩薩も拝顔できるが、私がなろうことなら持ち帰りたいと思ったのは、鎌倉時代の14世紀に銅造された超小型の「誕生釈迦佛立像」と江戸時代17世紀の紙本着色された「西洋童子像」である。

 

前者は、母なる摩耶夫人の右脇から生まれた釈迦が、その直後に七歩歩いて右手で天を指し、左手で地をさして「天上天下唯我独尊!」と叫んだ瞬間のブロンズ像、後者は、家康の発令した「伴天連追放之文」以降に、弾圧を避けて同寺に隠匿された和洋折衷の絵画だが、まことに味わい深い逸品であった。

 

なお同展は来る12月3日まで同館にて秘かに公開ちう。

 

   ホックニー遂に行かれず諦めて岸本歯科で入歯を入れる 蝶人

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すべての言葉は通り過ぎてゆく第121回

2023-11-03 12:01:02 | Weblog

 

 

西暦2023年神無月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第420回

 

次々にひとさまの新しい作品が生まれてくるので、これはこれはと思いつつ対応していると、過去の偉大な先人の代表作に接する貴重な機会をむざむざ見逃してしまうだけではなく、肝心要のてめえの作品を産み出す時間まで失ってしまうことになる。10/1

 

解体的出直しの前に解体だ。ジェニーズ事務所なんちゅう縁起と桁糞の悪い会社は、その悪徳を暗黙裡に支えたメデイアと共に消えても構わない。もっと桁糞悪い自公維国とか日本会議とかいう団体と一緒に。10/2

 

おらっち、わいらあ、僕、私、わたくし、自分、俺、わし、あたし……、様々な主語で喋り、綴るときの「主体たる自己」の内実は、みな微妙に異なるように思われる。10/3

 

天皇裕仁、戦争責任を問われて曰く。「そういう言葉のアヤについては、私はそういう文学方面はあまり研究もしていないのでよくわかりませんから、そういう問題についてはお答え出来かねます」だとよ。10/4

 

また天皇裕仁曰く。「この原子爆弾が投下されたことに対しては遺憾に思っていますが、こういう戦争中であることですから、どうも、広島市民に対しては気の毒であるが、やむをえないことと私は思っています」だとさ。10/5

 

高橋アキさんのfbで引用されている秋山、武満両氏に拠る映画音楽談義が、誠に興味深い。私は武満氏のいう「一音構造」は、詩でも共通する考え方だと思った。10/6

https://www.youtube.com/watch?v=DQo9ySGPfbo

 

高橋源一郎のNHKFMラジオ「飛ぶ教室」を聴いていたら、自分が生涯でいちばん感動したのは、初恋の女性の手を握っていてギュッ、ギュッとしたら、ギュッ、ギュッと返してきた時だというので、それじゃあおらっちの詩「一本道」と同じ噺じゃねえかと、驚いた。所謂一つのシンクロニシティだあね。10/8

 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986078354&owner_id=5501094

 

「小平市では、記者が取材し始めたら不審者として警察に通報を、という文書を教育委員会が市内の小中学校長に配布しています。汚点は小さく、できれば隠したいー。そんな組織防衛の意思が露骨です。」『週刊ひばりタイムス』編集長、北嶋孝氏の編集後記より。10/9

 

熱があり、セキがでるので大層くるしく、昨夜は一睡も出来なかったが、ようやっと朝が来た。もしかするとコロナかもしれない。10/10


まず、その作物の感想文を書いてから、その感想の対象となった小説などの作品本体を書いてみる、というのは、どうじゃろうか。10/11

 

作家の澤地久枝さんが、ミッドウエイ海戦の現場を訪れ「滄海よ眠れ ミッドウェ-海戦の生と死」全6冊を、深さ6千メートルの海底に投じた時、その海水があまりにも透明なため、いくら本が沈んでも、その白い姿が海上から見えていたそうだ。10/12

 

公凶放送の朝ドラが、笠置シズ子をヒロインにした「ブギウギ」を始めたのだが、そのタイトルの冒頭で登場する「死霊さながらのロクロ首人形」の気持ち悪いこと。あれが出てくるたびに吐き気と目眩がして、せっかく快方に向かったインフルエンザが逆戻りしそうになる。10/13

 

公凶放送の日曜日の「のど自慢」も見ているだけで疲れる。誰かが何かを歌っていると、全出場者やゲストまで身振り手振りで全身を揺らせ、熱っぽく合唱する姿は、なんだか集団催眠に罹ったように異様で、どこか北朝鮮の集団マスゲームに似ている。10/14

 

ナチに殲滅されそうになったユダヤ人が、英国や国連のお陰でパレスチナに安住の地をこさえて貰ったのに、その恩義を忘れて先住のアラブ人の生活の場を暴力的に奪い、あまつさえナチまがいの非道をやらかそうとしている。10/15

 

南海の孤島で、津波の発生しない震度3とか4程度の地震が起きたくらいで大騒ぎして、藤井八冠の興味深い生放送を中止してしまうなんて、さすが天下の公凶放送だな。10/16

 

ことさらそれの到来を待ちわびているのではないが、私の場合、ある時、滑川に翡翠が飛んでくるように、なにかちょっとした「憑き物」が、頭のどこかに舞いこんでくるので、それをはずみに、詩のようなものを書くことができるのである。10/17

 

遠藤次郎氏曰く「目とは不思議な組織で、大宇宙的な要素がはまり込んだりしています。手首を指圧しながら治療するときに、ちょうど鯉のぼりの鯉の目のように、眼球の中に眼球、さらに眼球、さらに眼球、といった重複構造になっている眼球をイメージしながら指圧してください、重複構造の層の一部が良い方の目だったり、大宇宙系の目だったりします、それらの目の層が悪い目の層と交流しあい、改善に役立ってくれる筈です。」10/18

 

冷静な判断も理非曲直も棚に上げて、いつどでもどこでもイスラエルを、絶対的かつ盲目的に支持してやまないバイデンアメリカを、妬ましげにみやる我が国の異次元男。どうじゃ、羨ましいか。10/19

 

一発で全在庫が分る「書籍横断在庫システム」で、私の詩歌集を調べてみたら、アマゾン、楽天、紀伊国屋、HonayaClubそれぞれのネットに在庫があった。honto,TSUTAYAなどは1から3日で取り寄せるそうだ。10/20

 

支持率暴落にあえぐ阿呆莫迦異次元男が喚きだした所得減税。まずその前に防衛費の増額中止だな。EU並の2%なんてなんの根拠もない。おめえはいつからEUに加盟したんだ。10/21

 

血塗られた戦争を、もうひとつの血塗れの戦争が上塗りしているというのに、当事者の誰もが「戦争をやめる」とは云わない。まるでダンテの生き地獄を、総天然色のデジタル映像で見せつけられているようだ。10/22

 

パレスチナ人を飲まず喰えずの「生殺与奪のアウシュビッツ状態」にする非人間的なやり口を、イスラエルは、ナチスドイツから学んだのだろう。10/23

 

「自分が気に入らない人間を、地上から抹殺してしまいたい」という、おらっちには十分身に覚えのある全身全霊的破壊衝動。これが、この世の戦争を招く真因ではないだろうか。10/24

 

太刀洗を過ぎ、三郎滝から朝夷奈峠へ登りかけた右側の斜面の、岸壁の間の僅かな空間に陣取り、辺りを見るともなくじっとしている沢蟹が、最近の私の心の友である。10/25

 

高橋睦郎がKADOKAWAの『俳句9月号』に「自分が俳人大西悦子に会うと黒田杏子に告げたら黒田が『なんであんな馬鹿女と会うの、会わなくていいわよ』と言った」と書いたことについて遺族や俳句仲間たちが同誌編集長やKADOKAWAに対して黒田の名誉棄損だと抗議したそうだが、不可解な話だ。10/26

 

ジャニー喜多川という男は、自分が「やりたい」と思う何百人もの美少年をジャニーズに入れて、毎日毎晩やりまくっていた訳だから、その中には初代ジャニーズに始まって、フォーリーブス、たのきんトリオ、シブがき隊、イーグルス、光GENJI、男闘呼組、SMAP、TOKIO、V6、KinKi Kids、嵐、関ジャニ∞、Hey!Say!JUMP、トリオ・ザ・シャキーン、なにわ男子なども、一応みなやられていた、ということか。10/27

 

昨日は横浜の一条美由紀さんの展覧会、今日は鎌倉芸術館の鎌響定期演奏会へ行こうと思っていたのだが、なんだか全身虚脱疲労感に襲われて足が前に出ないので、終日徒に家居することになってしまった。ホックニー展なんて夢のまた夢だな。10/28

 

おらっちは、実際はもう死んでいるのに、なんでだかまだ生きていて、目の前で黙々と人が行き交ったり、青空に白い雲が右から左に流れていくような、そんな不可思議な気配なのよ。10/29

 

イスラエルが殺したパレスチナ人は昨日は7千人だったが、今日は8千人になった。つまり1日で千人くらいの殺人を行っていて、そのうちの4割くらいが子どもである。そんな気違いじみた戦争はやめれ!という国連の決議案に、驚くなかれ日本政府は棄権した!10/30

 

それにしてもあれほど優れた文芸書も出している新潮社が、「週刊新潮」という超右翼ファシズム週刊誌を出してるのは面妖だ。10/31

 

    さとうさんと私の詩集が照れながらブギウギ並ぶ鎌倉図書館 蝶人

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なにゆえに第111回~西暦2023年神無月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2023-11-02 11:15:06 | Weblog

ある晴れた日に 第714回

なにゆえに生乾きなのに取り入れる自閉症者の悲しき性か

 

なにゆえにジャニーズジャニーズと大騒ぎじゃあねジャニーズ早く失せろ

 

なにゆえに記者会見を取りしきるイノッチお前は官房長官か

 

なにゆえにメダカはじゃんじゃん子供をつくる寿命がとても短いので

 

なにゆえに小池吉村を知事にする阿呆莫迦都民と阿呆莫迦府民

 

なにゆえに予算がないと騒いでる軍事費膨張を廃めればいいのよ

 

なにゆえに「あとがき」も「作者紹介」もない本を出す自分の短歌に自信があるから

 

なにゆえに鼻水がとうとうたらりと流れ出るはやりの風邪がうつったか

 

なにゆえにアルゼンチンに負けちゃったアルゼンチンは一枚上手

 

なにゆえにパレスチナでも戦がはじまる彼らの土地をイスラエルが奪った

 

なにゆえに下手な歌にも鐘3つどういう基準で誰が決めてる

 

なにゆえにコロナじゃなくてインフルエンザまあどっちでも構わないけど.

 

なにゆえに20本の映画感想文が消えちまうおんぼろPCの電源トラブル

 

なにゆえに水と食料を与えないナチスだってそれくらいはした

 

なにゆえに大悪が怪物を喰らわんとするその大悪が産んだ小悪を

 

なにゆえにものみなすべて値が上がる身入りはどんどん減っていくのに

 

なにゆえにバイデンはネタニヤフを支援するおめえら最近評判悪いぞ

 

なにゆえに国連安保理でダダをこねる停戦反対のアメリカ野郎

 

なにゆえにハマスハマスと叫んでるウクライナにはもう飽きたから

 

なにゆえに夜遅くまで配達している哀れアマゾンの奴隷となりて

 

なにゆえに羊のように棒を振る一生一度は爆演してみろ

 

なにゆえに経済経済と喚いてる安倍 岸田が潰した日本経済

 

なにゆえに昼寝の後で呆然としている我はあの世から戻ってきたのだ

 

なにゆえにイスラエルはぶうたれる事務総長がいうとおりじゃんか

 

なにゆえに救急車がサイレンを鳴らす近所の年寄りに何かが起こった

 

なにゆえに金曜日がざわつかない阿呆莫迦クイズ番組になっちまった

 

なにゆえに雨があがって晴れてきた60年に一度の円覚寺おおがね祭り

 

なにゆえに耕君の虫歯に手をつけない普通の歯医者はみな逃げる

 

なにゆえに異次元男は生き延びる政権延命だけを考えている

 

   激烈に介護保険を使い倒す老人夫婦に嫉妬する我 蝶人

 

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西暦2023年神無月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2023-11-01 11:28:46 | Weblog

ある晴れた日に 第713回

 

Xを「X(旧ツイッター)」と書く夜長かな

 

やおよろず行きて帰らず神無月尽

 

1400人殺されしイスラエル8000人を虐殺中なり

 

カタバミの黄色い花にしがみつくヤマトシジミに吹く風やまず

 

意を決し発熱外科を訪ぬればコロナにあらずインフルエンザ

 

熱が出て咳は止まらず眠れないまたもやコロナにやられたのか

 

「彼彼女」と書けばクリアしたと思ってる「彼彼女そのほか」というべし

 

中秋の名月の夜の満月が月下美人の花弁をひらく

 

ミッドウェイの6千米の海底でいつまでも澤地久枝を見上げている7冊の本

 

まえがきもあとがきも著者紹介もなき歌集あり潔きかな

 

藤沢の市役所行けばメダカ池に藤沢メダカが泳ぐ10月 

 

13日の金曜日に下水の溝の穴に落っこちたアクアの鍵を取り戻すまで

 

3流の指揮者を招いて3流の演奏を続ける公凶楽団

 

30分受付を増やして待っている君を待たせて昼寝している

 

なんじゅっかいゴミに出そうと思ったか今なお現役ダウン入りベスト

 

個人的な意見ですねといわれてる個人的でない意見がどこにあるのか

 

埒もなき詩をうんとこさ書き溜めて思潮社から出すのが夢なんだって

 

赤と青1500円の買物袋どちらにするかがいいか夫婦で迷う

 

10回に3点取られて諦めず4点取って逆転するとは!

 

この次に何を言おうかお互いに息を呑んでる黙が震える

 

「仕方が無かった」と言いたくはないがそうとしか言えない時もあるのだ

 

紀伊国屋に10冊残る我が詩集誰か買わんか誰も買わんか

 

アマゾンに13冊残る我が詩集誰か買わんか誰も買わんか

 

世の中にいいことなんか何もなく大谷本塁打王1面トップ

 

「広辞苑」は第4版で充分よと短歌の好きな遠縁のおばさん

 

白内障髭剃り禁止と命じられゴッホの顔で目医者に通う

 

夢もなく希望も見えぬ出版界に光り輝く吉本隆明全集

 

いざというときにはスパッと腹を切るそれも社長の大事な仕事 

 

アキさんと西村朗氏の掛け合いが昨日の様だ「現代の音楽」

 

雨が降り槍が降ろうがなんのその生魂たばしる川内優輝

 

 

 予算委でそれなりの美脚を誇示してる経済安保大臣高市早苗 蝶人

 

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