照る日曇る日 第1980回
「現代詩の母」と称される人の代表作が網羅されていて、興味深い。
いつもよろこびやすい心をもってよい運命をむかえよう。
いつも日光に向う草のように全身を透かしていよう。
よく働らくすこやかな手足をもって
世の不如意それは幻影にすぎないと信じよう。 (「わが運命」より)
優れた詩人の常として、よろこびもかなしみも、生活のことごとくが生きた証としての詩となり、誰も見たものはいないけれど、生きることと詩をつくることとが、同じ俎板の上で静かに行われている。
あらゆることを詩でおこなひ
一呼吸ごとに詩せよ。
日記をかくやうにたくさんの詩をかけよ
手紙をかくようにたくさんの詩をかけよ (「流れるごとく書けよ」より)
流れるように書いた散文詩もよいが、数少ないカタカナ交じりの韻文詩も忘れ難い。
去リシモノハ去リシナラズ
注ギシモノハ永久ニアリ (「イトハルカナル海ノゴトク」より)
要するに彼女は、「初代全身詩人」であった。
世界観という名前の人がいるようだ恥ずかしくて口にできないい 蝶人