あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

谷川俊太郎編「永瀬清子詩集」を読んで

2023-11-12 11:17:44 | Weblog

照る日曇る日 第1980回

 

「現代詩の母」と称される人の代表作が網羅されていて、興味深い。

 

 いつもよろこびやすい心をもってよい運命をむかえよう。

 いつも日光に向う草のように全身を透かしていよう。

 よく働らくすこやかな手足をもって

 世の不如意それは幻影にすぎないと信じよう。 (「わが運命」より)

 

優れた詩人の常として、よろこびもかなしみも、生活のことごとくが生きた証としての詩となり、誰も見たものはいないけれど、生きることと詩をつくることとが、同じ俎板の上で静かに行われている。

 

 あらゆることを詩でおこなひ

 一呼吸ごとに詩せよ。

 日記をかくやうにたくさんの詩をかけよ

 手紙をかくようにたくさんの詩をかけよ (「流れるごとく書けよ」より)

 

流れるように書いた散文詩もよいが、数少ないカタカナ交じりの韻文詩も忘れ難い。

 

 去リシモノハ去リシナラズ

 注ギシモノハ永久ニアリ (「イトハルカナル海ノゴトク」より)

 

要するに彼女は、「初代全身詩人」であった。

 

 世界観という名前の人がいるようだ恥ずかしくて口にできないい 蝶人

コメント
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