あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

吉増剛造著「ヴォワ Voix」を読んで

2024-02-14 13:58:14 | Weblog

 

照る日曇る日 第2018回

 

ムチュ―コ

―ソ

ク、ノ、キジュ

ッツ、ッペ  (「隅!日和山!」より引用)

 

日本語で「声」という詩集だから、読むと同時に、著者が自ら発音して、その声音と共に情報を読者に届けようとするのだろう。

 

吉本隆明が言葉には「自己表出」と「指示表出」の2種類があるというておる。

 

「自己表出」とは、胃が痛くなって「うっ」とか「痛い」と思わず叫んでしまうような人間の内臓の働きや心の動きに結びついた表現であり、「指示表出」とは新幹線から富士山を見て「ああ綺麗だな!」と連れにいうてみたりする、発語の対象が予め措定された表現であらう。

 

普通の文学作品で用いられるのは、殆どすべてが「指示表出」の言葉であるのに対し、この詩集で著者が使っている言葉は、珍しくも「自己表出」の言葉であり、ただその1点においても本書は、既存の詩集と隔絶した固有の値打ちを持っているといえよう。

 

これからの詩はだんだん大脳前頭葉に依存した詩が瓦解して、吉増流のその先にある内臓詩が栄えていくのではないだろうか。

 

「脳詩」消え「臓詩」栄えて肉躍る詩歌の時代そこまで来ておる 蝶人

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辺見庸著「月」を読んで

2024-02-13 10:08:44 | Weblog

照る日曇る日 第2017回

 

フィクションと断りながらも、著者が津久井やまゆり園事件の犯人を念頭において、彼の生活と意見を彼に成り代わってシミュレートしてみた文学的な実験作であることは確かだろう。

 

前半は重度障害を持つ女性の内面を、そして後半ではそういう障害児者を「心失者」と呼んで殺害する男性の内的世界を、モノローグや詩的言語や様々な技法を駆使して浮かび上がらせ、最後は決意を固めた男性の意思表明と殺戮で終える構成だが、成功したとは思えない。

 

ラストは男性の革マル張の大演説だし、先行する前半部分が、彼の思想と殺意の成熟を的確に描写しているとは到底いえないからである。

 

それにしても、この小説を読んでいて、猛烈に不愉快な気分になるのは何故だろう?

それは著者が、あるいは著者もまた、現今の優性思想の跳梁跋扈を描き出すことはできても、それに対する根本的な解決策を持ちあわせず半ば捨て鉢になっているからに違いない。

 

げんざい本書を原作にした映画が上映されているらしいが、あまりみたいとは思わないな。

 

    読みたいなそのうち読もうと思う本みな読んでいる目黒実氏 蝶人

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長谷川宏著「日本精神史 上」を読んで

2024-02-12 09:48:12 | Weblog

 

照る日曇る日 第2016回

 

本邦の時代精神を美術、思想、文学の3つのポイントから総括する規模雄大な歴史書ですが、タイトルのいかめしさとは裏腹に、その内容は第1章「三内丸山遺跡」、第2章「火炎土器と土偶」、第6章「古事記」、第10章「最澄と空海と「日本霊異記」」のようなトッピクス立てで、ドラマティックに展開されていくので、上巻の終りの「正法眼蔵」まで刺激を受けながら興味深く読み進んでいくことができます。

日本精神史の叙述であれば、当然日本精神を代表する幾多の偉人が登場するわけですが、とりわけ平家が東大寺などを焼き払ったあと、老境にも関わらず敢然と立ち上がって再建に孤軍奮闘する重源と、それを背後から力強く支援する源頼朝、既存仏教を全否定して立ちあがり「専修念仏」を唱えた法然と親鸞、「只管打座」で「現実が本来の姿を取る世界に近づこう」とした道元に対する著者の深い思い入れに打たれました。

それは恐らく彼らが荒廃と絶望、終末観に閉ざされた現今と同じような閉塞世界を、蛮勇を振るってこじ開けようとした不倒不屈の精神の持ち主であったからに違いありません。

著者は哲学者だと思っていましたが、専門外であるはずの文学の造詣が異常なまでに深く、「万葉集」「古今集」「伊勢物語」「枕草子」「源氏物語」などのサンプリングとシャッフルの鮮やかさには舌を巻くほかありませんでした。

 

とりわけ百済から渡来した仏像と仏教建築が日本人にどのように受けいれられ、どのように変容していったかを法隆寺の百済観音、四天王像、夢違観音像、中宮寺の菩薩半跏像、興福寺の阿修羅像、山田寺仏頭、唐招提寺の鑑真和上像、宇治平等院、浄瑠璃寺、運慶の諸作などを通じて具体的に論じた個所などは本巻の白眉と申せましょう。

 

「新しい戦前」がほんとにやって来た「新しい資本主義」の代わりに 蝶人

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西暦2024年如月蝶人映画劇場 その2

2024-02-11 08:31:12 | Weblog

西暦2024年如月蝶人映画劇場 その2

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3524~28

 

1)オリバー・ストーン監督の「jFK」

1982年の超問題作。ケビンコスナーの最終弁論が冴えわたる。

 

2)イヴ・アレグレ監督の「美しき小さな浜辺」

少年院の出身ゆえの苦悩を生きるジェラール・フィリップの悲劇。年中雨が降る土地の1948年の憂鬱な物語。

 

3)相米慎二監督の「台風クラブ」

1985年製作のアナーキーな青春群像劇。もっとアナーキーかと思っていたが再見するとそうでもなかったのでがっかり。

 

4)川島雄三監督の「幕末太陽伝」

1957年の生きのいい時代劇。加東大介の真価が存分に発揮された川島監督の代表作。

 

5)蔵原准二監督の「不良少女魔子」

夏純子主演の暴れん坊不良少女の漫画活劇えいぐわ。1971年でないと撮れない映画ずら。

 

食草がなければ蝶は生きられないハンノキ植えよカンアオイ増やせ 蝶人

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松本大洋著「東京ヒドロ 1」を読んで

2024-02-10 08:50:47 | Weblog

 

照る日曇る日 第2015回

 

珍しく漫画編集者を主人公に据えた異色の漫画である。某出版社に30年の長きに亙って編集者をつとめた塩澤和夫さんが「一身上の都合により退職」するところからはじまる連載の第1巻だが、抜群の面白さである。

 

画調の趣は、むかしの「ガロ」をちょっとモダンにしたような感じだが、昨近の漫画界の沈滞に絶望して、いったん足を洗ったはずの主人公が、退職金をはたいて小さな出版社を立ち上げ、自分独自の来るべき漫画の世界を構築しようと1歩を住みだすところを描いてすでにじゅうぶん感動的である。

 

国会でヤイノヤイノとせつかれてうすうす思い出す父母未生以前 蝶人

 

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如月の歌

2024-02-09 09:38:26 | Weblog

これでも詩かよ 第306回

 

西暦2023年を総括する「現代詩手帖」の12月号を、ざっくり読んではみたけれど、どの作品のどの1行にもさしたる感銘を受けず、それならむしろ谷川俊太郎翁が、今年の1月24日付朝日新聞の「どこからか言葉が」で書いている

 

意見は言わずに 詩を書きたい私です

書き続けるうちに意味に頼らない言葉が雪のように舞い降りてくる

 

の、「意味に頼らない言葉」の一語のほうが、よっぽどインパクトがあるんじゃないかなあ、と思った。

 

が、待てよ。これまでおらっちの腹にガツンと来た、「意見や意味に頼る言葉」だってたくさんあったはず。

急遽そいつらを呼び出して、今宵の座興にしてみようじゃんか、と思いついた次第。

あえて出典は示さないので、お暇なときに探してみてくださいな。

 

 

西暦2024年如月に贈る言葉10選

 

「われ、山に向かいて目を挙ぐ」

 

「舗道の下は浜辺」

 

「すべての武器が楽器になればいい」

 

「あヽ中央線よ 空を飛んで あの娘の胸に 突き刺され!」

 

「砦の上に我らが世界 築き固めよ勇ましく」 

 

「世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない」

 

 中国に兵なりし日の五ケ年をしみじみと思ふ戦争

 

「人世に意味を! 詩に無意味を!」

 

「かれは、人を喜ばせることが、なによりも好きであった」

 

「いかのぼりきのふの空のあり処」

 

東京駅ラシュアワーに頭あげ主人を導くレトリバーあり 蝶人

 

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最首悟著「いのちの言の葉」を読んで

2024-02-08 09:43:59 | Weblog

照る日曇る日 第2014回

 

津久井やまゆり事件の植松死刑囚との往復書簡として神奈川新聞で始まった連載だが、途中で植松からの返信がなくなってしまった。にもかかわらず著者がいわば自問自答する形で、いのちについて、人世を生きる意味について、根源的に問い続けた60通の手紙である。

 

それは著者によれば「問学」という自己流の試行錯誤なのだが、重度障害を持つ娘、水俣病とのかかわり、東大闘争を闘った助手時代の回想やこの国の過ぎ越し行く末、「個人」という概念がない日本人の特性などを、もはや死刑囚からの返信を期待せず一部に重複もあるが談論風発して物語ったもので、さながら犀のごとく一途に歩む様に共感しないではいられない。

 

さりながら「世の中は人がどうこうできるものではなく、森羅万象は次々になりゆくものである」、とか、「日本人は戦争に負けたのではなく、戦争が終わったのである」、とかパッタリつまずいてしまうような発言もある。

 

戦犯の東条が「悪人正機説」に心酔して幸福な無責任死を死んだ、といいのは本当なのだろうか?

 

なりわいだああなりわいだなりわいだ政治屋2世や3世がなりわい回復を叫ぶ国会 蝶人

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西暦2024年如月蝶人映画劇場

2024-02-07 13:56:51 | Weblog

西暦2024年如月蝶人映画劇場

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3519~23

 

1)山中貞雄監督の「丹下左膳余話」

1935年の傑作コメディ時代劇。大河内伝次郎の丹下左膳大活躍。この底ぬけの楽天こそ山中の天才の発露なり。

 

2)山中貞雄監督の「河内山宗春」

1936年の山中貞雄の名作。結局可愛い子ちゃんの原節子のために河原崎長十郎も中村鴈右衛門もみな死んでいくなり。

 

3)山中貞雄監督の「人情紙風船」

1937年の山中貞雄の名作。中村鴈翫右衛門、河原崎長十郎、霧立のぼるの長屋物だが、山中自身が漏らしたように「これが遺作とはチト、サビシイ」。

 

4)市川昆監督の「こころ」

漱石の原作を市川選手が森雅之、新珠三千代(素晴らしい!)主演で1955年に粛々と映像化しているが、三橋達也と安井昌二の2人の学生がミスキャストでもったいない。

 

5)西村昭五郎監督の「花を喰う蟲」

若き日の太地喜和子主演の1967年の不良少女物。二谷と太地の組みあわせもいまいち、いまに、いまさんずら。

 

昼飯に焼き芋メザシを喰う我はいわゆるひとりのルンペンプロレタリアート 蝶人

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武器を楽器に

2024-02-06 11:12:10 | Weblog

これでも詩かよ 第305回

 

能登半島地震では、家が潰れ、230人もの死者が出て、遭難者は寒さに凍え、水や食物もなくて泣いているというのに、おらっちときたら、朝から晩まで、コーヒーメーカーがコーヒーを抽出しない、と大騒ぎしていた。

 

ガザでは、悪辣非道なイスラエル軍が、おんなこどもを含むパレスチナ人を、見境なしに殺しまくっているというのに、おらっちは、昼ご飯をラーメンにするか、讃岐うどんにするかで、真剣に悩んでいた。

 

ウクライナでは、怪僧のようなプーチンが、おんなこどもを含むキーウ市民を、ミサイルや無人機で、見境なしに殺しまくっているというのに、おらっちは、川柳がうまくできないので、終日いらだっていた。

 

でも、

あっちは戦争、こっちは平和

あっちは地獄、こっちは天国

 

と、簡単には決められなくて、

戦火のさなかにいるひとが、かえって生き甲斐をかんじていたり

いっけん平和のなかにいるひとが、半分死んでいることだって、ありえるのよ。

 

でも、でも、

おらっちが悪いのか、そっちが悪いか、知らんけど

にんげんが悪いのか、神さんが悪いのか、知らんけど

 

いくさ、やめないか?

いくさ、もう、もう、やめないか?

いくさ、はよ、はよ、やめてけれ。

 

ああ、世界中の人々が願っているように、

すべての武器が楽器になればいい。

そうすればおらっち、もっと大きな声で、生きてる喜びなんかを、歌えるのに。

 

妖艶な年増が男に媚びを売るSNSの「リールとショート動画」 蝶人

 

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浜田寿美男著「「私」とは何か」を読んで

2024-02-05 09:50:51 | Weblog

浜田寿美男著「「私」とは何か」を読んで

 

照る日曇る日 第2013回

 

いきなり回答不能な難題を突き付けられて、はてどうしたものか、読むのを止めようかと思ったけれど、じっと我慢して著者による「ことばと身体の出会い」による人間発達のありように耳を傾けてみる。(私は昔から論理的思考が苦手で、ほとんど1分間しか物を考えることができないのです。)

 

はじめは人間以下同然だった生物が、生まれながらに備わった身体の原資に助けられて言葉を獲得し、他者との関係性の中で本源的な自己に目覚め、社会的存在として生き生きと成長していく。その心的動機と実態を、「発達論的還元」という手法によってあからめていくのだけれど、折に触れて自閉症児の発達についての記述が登場する。

 

そしていわゆる健常児の健全な発達と、それができない自閉症児の発達障害が、陰と陽、ネガとポジのような形で明るみに出されていくのが興味深かった。

 

健常児は生まれながらに主体的な存在であり、両親をはじめ周囲の他者からの働きかけをしっかりと受け止め、これに積極的に反応していくことによって大きく成長するのだが、自閉症児はこの相互運動と関係性の内部に入れず、社会的な意味世界と絶縁した「無意味世界」のただ中で孤立していることが多い。

 

だから自閉症という忌まわしき命名がなされたのだろうが、私たち親は、生涯に亙って孤島に住むひとりぼっちのロビンソン・クルーソーと付き合い、交流することを通じて、彼らの意味世界への介入を続けているのである。

 

余談ながら、自閉症の発達障害のこのような内実と、自閉症の真因としての脳障害説あるいは遺伝子異常説とは、相互に矛盾することなく並立していると考えてもよいと思う。

 

中国に買収されて買いやすくなったかヴォルヴォ街で増殖 蝶人

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夢は第2の人世である 第133回

2024-02-04 09:15:13 | Weblog

 

西暦2023年神無月蝶人酔生夢死夢百夜

 

東大に東大平和会というレコード鑑賞の組織があったはずだが、今はどうなっているのだろう、と思って本郷へ行ってみたが、その形跡はてんで無かった。10/1

 

日曜日に、家族そろって町に出かけようと、電車に乗った。買い物なんかしてから、また電車に乗って、帰宅しようとしたのだが、乗った車両が、ホームからはみ出していたので開かず、そのまま、隣の駅まで運んでいかれたのよ。10/2

 

おらっちは、悪人リストをつくっては、順番に暗殺していった。10/3

 

久し振りにオグロ選手と出会った。彼と会うときは、いつもどこかで御馳走してくれたものだが、今回はそういうことを期待することも、また実際にそういうこともなく別れたのだが、何度も御馳走されたおらっちは、たった一度も彼に御馳走し返したこともなかったのを申し訳なく思った。10/4

 

3、4、5番のナンバーが記された、名建築家の設計による木製の椅子を、超ヒレツな男が、こっそり教会の外に持ち出そうとしているので、隠し持ったワルサ―で消してやった。10/5

 

余の畢生の大詩集が陸続と返品になって、狭い我が家に殺到するので、寝るところもなくなってしまったずら。10/6

 

親分がいつのまにか零落したので、仕方なく150人の食客ともども、今を時めき権勢を誇る第一子分のところに身を寄せているそうだ。10/7

 

こないだタチウオを呉れたお兄ちゃんが表通りを歩いていたので、「やあこんにちは」と挨拶すると、いくら食べても減らない万能御飯を呉れた。10/8

 

その天気占い師の予報は、とてもよく当たると評判なので、試しに手相を見てもらったら、「おらっちがいつどこでどんな風に死んでいくのか」を延々と語り始めたので、怖ろしくなって逃げ出した。10/9

 

この辺りは、英米贔屓の地方かと思っていたのだが、ことごとく独逸、それもナチ贔屓の家ばかりなので、驚いているうちに、村八分に遭ってしまった。10/10

 

ナンシーが、「緑色のコンブ状の異物が漂っている風呂の水をきれいにしてほしい」と再三再四頼んでくるのだが、そのコンブが大好きなおらっちは、その都度断っているのだ。10/11

 

眠っている間に大量の寝汗を出しながら、物凄く怖い夢を見たので、夜中に箪笥の中から取り出した別のパジャマに取り換えたのだが、またしても怖ろしい夢を見そうでこわい。10/12

 

家族みんなで山間の宿に泊っているのだが、とても寒いので、こたつの中に入っていると、いつしか妹と2匹の犬になってしまって、お互いの頭と頭を突き合わせ、もたれあって体を温めあっている。10/13

 

夕方2匹で宿を出て、くらくふ谷を下って町の方へ降りて行くと、四つ角に大きな獅子のように獰猛そうな謎の動物が瀊居していて、ウオオオ、ウオオオと威嚇するので、怖ろしくなって宿まで逃げ帰ったのよ。10/14

 

宿に戻って、また炬燵に入って2匹の犬になってお互いの頭と頭を突き合わせ、もたれあっていると、だんだん温かくなって体中が気持ちよくなってきたのよ。10/15

 

明日3名の死刑囚の刑が執行されるのだが、3人とも短歌の詠み手なので、三者三様の辞世の歌を遺せるよう、獄中歌人指導員のおらっちは、朝からてんてこ舞いの忙しさだ。10/16

 

そのうちの一人は、知る人ぞ知る偉大な歌人なのだが、いったん確定した挽歌を、2度3度と書きなおし、執行寸前におらっちに口伝えた最終改訂版が、全集に収録されることになった。10/17

 

「我が身にフライトあるやも知れず」、というフレーズが脳裏に浮かんできたので、大いにもがいていたら、不意に空中に浮かんでしまった。10/18

 

逝きし春の頭を台座から取り外して、その本体はもとより、汚れたネジや蝶つがいを綺麗な水で丁寧に洗い流すこと。私はその作業を率先して「やります!」と名乗り出たのだが、それが軽い認知症のしるしだとは夢にも思わなかった。10/19

 

年に1、2回だけ東京に出て、芝居か展覧会を見物することがあるのだが、その時昔ながらの上品な良家の奥さんを見て心が動くこともあるが、もう若さも元気もないので、日本画の中の登場人物を眺めるようにして、しばらく遠くから眺めているのよ。10/20

 

これは、女性が妊娠しているか否かが分かるダンスだと誰かがいうたが、いくら見詰めてもさっぱり分らんかったずら。10/21

 

編集長にレイアウトを見せながら、色々相談しようと思っていたら、酔っぱらった編集長の傍に、問題のあるキャメラマンが同席していたために、ちゃんとした打ち合わせができず、ヤバイことになっちまった。10/22

 

巴里の街中で私が迷っていると、親切なモノンクルオジサンが、「これで好きな所へ行けるよ」というて、自転車を貸してくれた。シャトレ座での子ども作文教室が終わったので、「ラインの黄金」を見物しようかとも思うのだが、どっちのオペラ座なのか分らないのだ。10/23

 

私は統一庁から何百万人という大家の治安を維持するように命じられたが、具体的にどうしていいのか分からないので、アオバセセリを捜して野山をほっつき歩いていた。10/24

 

あたしは関西支社ではいつもチヤホヤしてもらっているので京都支局を拠点に関西ネットアークを構築し、すちゃらか大放送を繰り広げようと秘かに構想を巡らせていたのだが、大阪と神戸支局の大反対で脆くもついえさった。10/25

 

わが大全集を、自由が丘まで持参することになったのだが、あの部厚い5冊をどうやって詰め込んだらいいのか考え続けていると、いつの間にか朝になっていた。10/26

 

ドコモが1万円で売り出したので、こっちは9千円で対抗することにしたが、どっちもどっちなので、盛り上がらないずら。10/27

 

エレガントな婦人服を、思いっ切りパンクなイメージで売ったらどうなるだろう、と意欲的な宣伝広告キャンペーンを展開してみたのだが、売上はまったく変わらなかったので、阿呆らしいことをした、と反省したのよ。10/28

 

万事が絶好調で推移しているので、顔の助が、急に自信過剰になって「やいおめえら、よっくこの顔の助の顔を見ておけ。いまおらっちが、オタケビを上げるからな」といって雄叫びを上げた途端に、龍になって空の高みに飛び去った。10/29

 

「クイズの塔」という名ののっぽビルジングが立っていて、例えば3階は人文、4階は地理、5階は人情というふうに、カテゴリー別に分類してあるのよ。10/30

 

    「お父さんが2人もいる!」と叫んでた巽クンちに泊った翌朝 蝶人

 

 

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すべての言葉は通り過ぎてゆく第124回

2024-02-03 11:29:01 | Weblog

西暦2024年睦月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第422回

 

 

MISIAの喉は凄いが、ただそれだけ。福山雅治はテクニシャンだが、ただそれだけ。1/1

 

紅白でいちばん印象に残ったのはゲスト審査員吉高由里子のへんちくりんな大正婦人会ヘア。1/2

 

地震津波火事飛行機事故火事また火事。なんでもありの3が日。ほくそ笑んでいるのは異次元男。矢でも、鉄砲でも、持ちって来い、ってんだ!1/3

 

昔むかし「世の終わりが来た。悔い改めなさい!」というプラカードを掲げて、街頭に佇んでいた新興宗教?の宣伝マンを見かけたが、今頃になって彼らの気持ちが分かるような気がしてきたずら。1/4

 

その人の思想や主義主張なんかではなく、黙ってその人と対面した一瞬間に、その人の人徳というか、独特の存在感にただならぬ感銘を受け、ああこの人なら信じられる、この人についていこう、という気持ちに駆られることがあるものだ。1/5

 

ロッポンギの住所兼用のスタジオにおける篠山紀信の仕事ぶりはまことに目覚ましく、六六のキャメラの前に登場するモデルと洋服を、ヒョウのように鋭い目でねめつけながら、ビシバシと流れ作業のように撮っていくのだった。哀悼!1/6

 

天災、人災相次いでいるなか、国内政治で気になるのは、やっぱ安保法制の閣議決定、軍事費の超絶的突出、健康保険証の廃棄、福祉関連の求人急減を、いかにしてひっくり返すか、だね。1/7

 

新年早々、紫式部の母親、藤原為信の女が藤原道兼によって斬り殺されてしまった!道兼がいかに冷酷で粗暴な正確であったとはいえ、そこまでやるだろうか?ついでにヒロインも殺せば良かったに。大河ドラマの脚本家の妄想で「史実」を勝手にでっち上げないでもらいたい。1/8

 

毎年「ウィーン・フィル元旦コンサート」を聞きながら思うのは、シュトラウス親子のワルツやポルカなら別に指揮者なんか無しでもええじゃんかということ。今年のティーレマンは「美しく青きドナウ」の途中で無理やりテンポを落として弱音にしたりしていたが、わざとらしい。コンマスだけで普通にやるのがウィンナワルツさ。1/9

 

松本人志ほどではなくても、この頃テレビで見かける芸能人や政治家や放送人種は、みな人相が悪い奴ばかりだと気が付いて、改めて驚く。偶には、何も言わずにただ座っているだけで、おのずと心が洗われていくようなひとを見たいものだ。1/10

 

日本人は広島、長崎に2発も原爆を落とされ大きな被害を受けたくせに、その当事者のアメリカに抗議せず、「なんなら3発目も落として下さい」と言わんばかりの、卑屈な奴婢と化している。ようにみえる。1/11

 

すぐに感情的になるおらっちは、プーチンのウクライナ侵略戦争以来、怪僧の愛弟子、ゲルギエフが指揮した演奏を毛嫌いして、一切聞かなくなってしまったずら。1/12

 

すぐに感情的になるおらっちは、イスラエルのパレスチナ人虐殺戦争以来、ユダヤ民族を悪意の眼で見るようになってしまったずら。1/13

 

公凶放送のBS番組表を見ると、いままで毎日午後1時からやっていた映画が消えてなくなっている。微々たる値下げの対価がこれか。1/14

 

新年早々毎日歌壇伊藤一彦氏に拾ってもらったずら。

「ウクライナ、ガザ、ジミン、オスプレイ 大谷さんに夢中な理由 蝶人」1/15

 

図書館から借りてきた「現代詩手帳12月号」をパラパラ眺めていたら、田中庸介さんが「佐々木眞詩歌全集」を今年度の「印象に残った詩集」に挙げて下さっていた。田中さん、有難うございます。1/16

 

かのイソップ童話を思い出すような「北風と太陽の戦い」が、世界中の人々の心の中で続いているが、最後には太陽が勝つと信じたい。1/17

 

谷川俊太郎による谷川俊太郎の「かっぱ」の朗読は面白いが、私が「かっぱ」を黙読するときの面白さには到底かなわず、むしろその内声的な音楽の喜びをいたく傷つけるていのものである。1/18

 

多くの詩人や歌手やアナウンサーによる中原中也の「サーカス」の朗読は面白いが、いずれも私が「サーカス」を黙読するときの面白さには到底かなわず、むしろその内声的な音楽の喜びをいたく傷つけるていのものである。1/19

 

この国の政治家にいちばん大事にされているのは、実際にやることではなく、いかにもやっているように見せる「やってる感」だ。プーチンやネタニヤフのように、実際にやってる政治家がいないのは、幸か不幸かは分からないが。1/20

 

たとえジミンの支持率が1%になっても、いざ選挙になれば、大勢の阿呆莫迦有権者がジミンに投票するんだろうな。1/21

 

終活の為に書斎を片付ける為には、まだ読んでいない大量の書物と、まだ視聴していない大量のLPやカセットやLDやビデオやCDや外付けHDDや録画済みのブルーレイディスクを片付けなければならないが、半死にの老人にそんな蛮行ができるだろうか?1/22

 

プリンセス・プリンセスの1990年「横浜アリーナ・コンサート」を視聴。ちょっとシンディ・ローパー風だが、冒頭から物凄い勢いで疾走し、飛び跳ねるので驚く。思えばあれから30年かけて、この国の、この無尽蔵のエネルギーが失われたのだ。1/23

 

昔コピーライターをやっていた頃、「白い世界からやって来た不思議な男なのだ」というのんを書いたら珍しく上司から褒められたのだが、今も昔も、「どのように白くて、どのように不思議なのか」を言わなければ、全然ダメだと思うわけ。1/24

 

昔銀座のバアで、電通の古川チャンが「あんたのはゲバコピー。ゲバコピーはあきまへんで」と説教を垂れくさったが、半世紀以上経った今では、もっとゲバゲバなゲバコピーをどっさり書いておけばよかった、と思うのだ。1/25

 

トランプがまた大統領に返り咲けば、プーチンとネタニヤフは大喜び。ただでさえ悪しきこの世は、もっともっと悪くなる。本邦では、死んだはずの安倍蚤糞が蘇ったりして。1/26

 

年賀状が売れないので郵便局は困っているそうだが、みずほ銀行と提携して1等賞金20億円の年始ジャンボ宝籤として発売すれば、年末ジャンボに倍する売り上げになるだろう。1/27

 

さっきの地震は、来るべき関東大震災の前触れではないだろうか。もしそれがやってきたら、耐震対策ゼロで基礎と支柱が超弱い我が家などは、ひとたまりもない。上の山や道路が崩れその直下に建つ家ごと圧し掛かってきたら、もっと悲惨なことになるだろう。桑原桑原。1/28

その悪しき政策を強行する政権を打倒する代償行為として行われる、気休めの署名請願運動は、いつものことながらむなしい。1/29

 

昨年の新人音楽家のベストは藤田真央。チャイコフスキーコンクールの2位よりもクララハスキルコンクールの優勝者として歴史に残る天才だろう。ハスキルだって彼のように生まれたてのゼフィルス蝶のような清新なモザールを弾けなかった。1/30

 

007シリーズ全体のジェームズ・ボンドを総攬すると、初代ショーン・コネリーが「金の時代」、(次の1作だけのジョージ・レーゼンビーを飛ばして)、2代目ロジャー・ムーアが「銀の時代」、3代目ティモシー・ダルトンが「銅の時代」、4代目のピアース・ブロスナンが「鉄の時代」、そして5代目の現在のダニエル・クレイグが「石の時代」のボンドということになろうか。1/31

 

その昔一夜の宿を借りた友 憲法原理主義者巽知良 蝶人

 

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なにゆえに第114回~西暦2024年睦月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2024-02-02 09:09:45 | Weblog

 

ある晴れた日に 第718回

 

なにゆえに太平の夢忽ち破れる我らが住むは薄氷の上

 

なにゆえに妙な事件が次々起こるそれが末世の習いなれば

 

なにゆえに4日の朝から施設に出かける自閉症者は律儀なゆえに

 

なにゆえにまだぬくぬくと生きておる殺されもせず生き埋めにもならず

 

なにゆえに震災指揮官役を演じているレームダックの異次元男が

 

なにゆえに森とか馳は惰眠する珠洲と輪島をなんとかしなさい

 

なにゆえに支持率17%がエばってる増税メガネが作業服着て

 

なにゆえにカール・ベームは振らなかったウィーン・フィルの元旦コンサート

 

なにゆえに次から次に人を殺す殺される人の親子を思え

 

なにゆえにペラペラペラペラ捲し立てる下らぬ事件に下らぬコメント

 

なにゆえにジミンがジミンをサッシンできる毒が毒に中毒するだけ

 

なにゆえに世界中が専制国家日本はなかではマシなほうか

 

なにゆえに日本会議は暢気なとうさん現世秩序にタダ乗りするだけ

 

なにゆえに見境なしに人殺す悪魔と化したイスラエル軍

 

なにゆえにオパレスチナ人を殲滅する江戸のかたきを長崎で討つ

 

なにゆえにまたぞろトランプがしゃしゃりでるお前が勝てば世界が潰れる

 

なにゆえにブロムシュテットを有難がる指揮より立派な容貌の故

 

なにゆえに「岸田派解散」を口走るなんでもいいから生き残りたいなり

 

なにゆえに安倍派幹部を起訴できない裏金大好きの権力亡者を

 

なにゆえに大悪栄え小悪滅ぶ中途半端が一番イケない

 

なにゆえに八王子市でジミン勝つ裏金なんて関係ないのさ

 

なにゆえに障碍者ホームを建てさせんかった横浜金沢区の住民たちよ

 

なにゆえにミドリシジミがヒナタボコ1月なのにどういうわけだ

 

なにゆえに遥々土佐に流された藤井元彦76歳

 

なにゆえに遥々越後に流された藤井善信35歳

 

なにゆえに作品撮影を許さない県立美術鎌倉分館

 

なにゆえに「大丈夫大丈夫」と叫んでるほんとは大丈夫ではないくせに

 

なにゆえに辺野古移転をなお急ぐ米国人は誰も知らない

 

なにゆえに家族の世界を描くのかそこが最初で最後の定位置

 

なにゆえに僅かな貯金が目減りしていく国の綻び我の綻び

 

「黄昏のビギン」に送られ黄泉の世へ憲法原理主義者巽光良 蝶人

 

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西暦2024年睦月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2024-02-01 13:41:27 | Weblog

 

ある晴れた日に 717回

 

憲法の第9条を抱きしめて黄泉比良坂を下っていこう

 

ハンノキがあるから生きられるミドリシジミの命の母よ

 

歴代のジェームズ・ボンドを見比べるコネリー・ボンドは極楽トンボ

 

毒水に汚染されたるヒノモトの魚を喰って中国退治!?

 

鎌倉の小町通の雑踏に暗香浮動の在りかを探す 

 

東アジア反日武装戦線の桐島聡がほんとの自分にたどり着く日

 

「吾輩は桐島聡である」というて死ぬある意味見事な人世だった

 

掌の急所を抑えて左目を癒し呉れし人葉月に逝きぬ

 

半島の最果てにある珠洲の読み広瀬すずのすずと覚える

 

シャンシャンと鳴る鈴の音よ甦れ能登半島の珠洲の町に

 

裏金を貰ったやつは今すぐに議員を辞めよ政治から去れ

 

なゐ揺れて津波が湧きて飛行機が丸焼けなるとも戦さ終わらず

 

見つかった! 何が? 今年の生き方が! 一喜一憂! 大器晩成!!

 

「佐々木眞詩歌全集」は鎌倉のたらば書房で需むべし世界で一番素敵な本屋で

 

後見人が悪い奴でも誰からも首にされない後見人制度

 

何もせずに障碍者の金を自由にできる後見人制度

 

君のその優しき笑顔を誰彼に見せたくもあり見せたくもなし

 

ご主人に断りなしに伸びている20本の手足の爪ども

 

空高く飛ぶ飛行機よ我が腕にミサイルあれば撃ち落とすかも

 

男性の歳は許可なく書くくせに女性の歳は必死で守秘する

 

死ぬ人の話はやめて新しく生まれた子供の話をしよう

 

「逃げるなら南にせよ」といいながら逃げれば南を爆撃するやつ

 

人殺し殺しに殺すイスラエルもうこれぐらいにしたらどうなの

 

日本一のアパレルなどと言われたがあえなく沈んだ戦艦レナウン

 

金曜の帰宅だけを楽しみに月曜朝に施設へ行く子

 

先のこと息子にいうて聞かせれば話の途中で「分りましたあ」

 

日の丸の作業着をまず作り能登会議するキシダ内閣

 

「佐々木様のお宅でよろしかったでしょうか?」よろしくないぞ よろしくないぞ

 

洗剤をどれくらい入れたらよいのかとか悩むくらいの悩みがいくつか

 

「世界観」という名前の人がいるようだおらっちなら目噛んで死ぬだろうな

 

一夜にしてボールガールがパーソンに修正大国ニッポンチャチャチャ 蝶人

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