Alive! / Kiss (1975)
もう今となっては加える言葉もないくらい評価の高いキッス(Kiss)全盛期のライヴ2枚組。飛ぶ鳥を落とす勢いとはまさにこの事で、全キャリアを通じてもこれが最高傑作という人も数多い。
思えば自分とキッスの出会いは少し不幸だったのかもしれない。自分が洋楽を聴き始めたのは70年代中~後半頃。キッスの存在を最初に知ったのは週刊チャンピオンに連載されていた「マカロニほうれん荘」だったかな(笑)。それに8つ離れた姉がハードロックをかじっていて、ディープ・パープル(Deep Purple)、エアロスミス(Aerosmith)、クイーン(Queen)、なんかを聴いていたので当然キッスも聴くことになる。ただド派手な衣装とメイクを知っていたのに初めて聴いたのは「Hard Luck Woman」。もちろん当時のことだから映像はなく音だけ。「これじゃ、まるでロッド・スチュワート(Rod Stewart)…」とそのギャップに落胆することになり、その後聴くきっかけを失う(この曲のいきさつについては後で知る事となる)。伝説の「NHKヤング・ミュージック・ショー」は見たのかな、見てないのかな、しっかりした記憶がない。
その後に聴いたのは全盛期を過ぎたMTV時代。PVと共にかっこいいっと思った曲がメイク無し時期の「Heaven's On Fire」。だけれどこの曲は(たしか)ポール(Paul Stanley)のソロに近い作品だったらしく、ファンの中でも思ったほど評判が上がらない、とキッスの「いい時」をずっと逃し続けていた。他のハードロック・グループはかなり掘り下げて聴いてきたのにキッスだけは上っ面をなぞってきただけ。
いやぁ、確かにいいよ。かっこいい。こうしてあらためて腰を落ち着けて聴くと演奏は意外にシンプル。勢いがあり、数々のステージ・ギミックが頭に浮かぶようで素晴しいライヴ・アルバムだと思う。バンドの活きの良さが充分に伝わってくる。ここに欠けているのは自分の「思い入れ」だけ。最初にこのアルバムを聴いていれば…。
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