岐阜市を流れる長良川沿いの北側に昔からの旅館、ホテルや料理屋が立ち並ぶ地域がある。そこから一本入った狭い道路脇にある老舗の甘味処「松乃屋」。新しく出来た近隣の「うかいミュージアム」を目指して行くと分かり易い。ただ、店の前の道は一方通行ではないものの、車が2台すれ違えないくらい細い道なので注意。一応、店舗斜め前に駐車場もある(3台分)。もともとは餅屋さんだったそうで創業は大正末期とのこと。人通りの多い道ではないが、子供、家族連れやご老人などが次々と入って来て、地元の人の憩いの場になっているようだ。
店入口の左側には和菓子が入ったガラス・ショーケース。その奥に小さなテーブルが4つ程あり、中で食べられるようになっている。注文したのは「バクダンアイスクリーム」の抹茶味。不穏な名前だが、私が子供の頃は、更に過激な「原爆アイスクリーム」という名前でも通用したはず(同じような商品を扱っている店が関市にもありますが、そちらではまだ「原爆」と表記してあるはず)。昔はインパクトはあれど別に何ともなかった名前も、最近はいろいろと難しいので穏便に変えてしまったのかなと思ったが、こちらの店の壁に貼られた新聞記事を読むと、柳ケ瀬界隈では前から「バクダン」と呼ばれていたそうなので本当のところはよく分からない。どちらにせよ名前の由来はステンレスの取っ手付きのガラスコップに盛られたアイスクリームの形状がキノコ雲のようだからに違いありません(注・おっと、これも諸説あるようだ)。おばちゃんが、店の奥にあるブリキの蓋のついた低くて古い冷蔵庫からアイスを掻き出して容器にこんもりとよそってくれます。このアイスクリームはもちろん持ち帰り出来ず、店内限定。
アイスは氷成分の多いものであっさり食べられるタイプ。自分は乳脂成分が多いこってりとしたものよりこちらの方が好き。抹茶の風味も充分。市販されているアイスクリームでいうとロッテの「爽」みたいというと分かり易いだろうか。壁の新聞記事のコピーには製作過程も書いてあったが思いのほか色々な工程を経ていて手がかかっている。アイス最中も食べたかったが、この日は風が冷たく、バイクで来ているので帰りの道中が厳しいだろうと断念。買って帰るつもりだった和菓子(どらやき、栗きんとん、饅頭など)も買い忘れてしまったので次回はぜひ買ってみよう。
どの街を訪れてもこういう子供が小遣いで立ち寄れるようなお店は本当に少なくなってしまった。今ではコンビニがあるし、レディメイドの菓子類が山ほど発売されていて何処ででも手に入れる事が出来るから、経営していくのも本当に大変だろうと思うが、出来るだけ永く続いて欲しいね。
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お店の紹介がしてあったサイト
※残念ながら平成28年12月末を以って閉店されました
※平成29年7月18日に「ツバメヤ」プロデュースのもと「松ノ屋」として柳ヶ瀬で復活されました
松乃屋 (まつのや)
岐阜県岐阜市長良弁天町93-2