名古屋では知らない人がいない中国台湾料理「味仙(みせん)」。こちら今池店が本店で、名古屋市内に支店が何件もある。創業は昭和37(1962)年とのこと(HPによる)。現在、名古屋名物となっている「台湾ラーメン」の発祥の店。ご存じの方も多いと思うが「台湾ラーメン」という食べ物は台湾には無く、完全にこの店のオリジナル。もとはまかないのメニューだったそうだ。炒めた豚の挽肉とニラ、ニンニク、そして大量の赤唐辛子がのる激辛ラーメンだ。
自分が初めてこれを食べたのはまだ学生だった頃。友人に連れて行ってもらい、何も予備知識無く、「ちょっと」辛いラーメンと騙されて思い切り啜り、むせ返った覚えがある。普通あまりに辛いと味覚が麻痺して旨いも何も、なくなってしまうものだが、それでも何故かあとを引き、鉢に残った挽肉をレンゲでさらえて完食してしまった。こんな激辛ラーメンは普通、一般メニュー化はしないだろうと思うけれど、永年に渡って愛されて、いまだに模倣されるのは、シンプルで決して濃厚なラーメンではないという事と、この「あとを引く」味加減が重要なんだろう。自分では試したことはないけれど、辛さを抑えた「アメリカン」(笑)というオーダーも出来るそう(メニューで見たことはない)。その逆で辛さを増した「イタリアン」(→エスプレッソから連想とか…)もあるのだとか。ホントかな?
久しぶりに入った味仙。この今池本店も4年ぶりくらいかな。夜遅い時間にも関わらず大箱の店内は客が一杯で賑やか。遅い夕食や飲み会、あるいは飲み会の締めで立ち寄っただろうサラリーマンが多い。ひとりだったのでカウンターに座る。そこから見える厨房の中にはいったい何人雇っているんだろうというくらい大勢の調理人がいた。ここは炒め物のメニューが旨いが、酒も食事も充分いただいた後だったので台湾ラーメンだけ注文した。
ちょっと小振りな鉢に並々とスープが入れられている。ミンチとニラ、それにおびただしい量の唐辛子。麺は細いストレート麺。熱々の麺を啜り出すが最初はあまり辛さを感じない。だがすぐに口の中が火事に。「あぁ、こうだった、こうだった。」とその辛さの加減を思い出した。辛い、何しろ辛い。でも箸は止まらない。さすがにスープを飲み干すことはなかったが、底に残った挽肉までしっかりいただいた。現在この中部地方の大陸系、あるいは台湾系の中華料理店には必ずといっていいほどこのメニューがあるが、どれも食べ易くしてあって、むせ返るほどの辛さを持っているものはごく少数。オリジナルにしていまだに(たぶん)一番過激というのも素晴しい。こういう食べ物は化学調味料がどうとか野暮な事は言いっこなし。ただ全身から汗を吹き出しながら食べるのみ。
味仙 今池本店
名古屋市千種区今池1-12-10
(みせん 今池店 いまいけほんてん)