The Slide Guitar (Bottles, Knives & Steel) / Various Artists (1990)
ブルース音楽を彩る奏法の特徴のひとつに、スライド・ギターがある。弦を抑えるのに、指にはめた瓶の首やナイフを使い、文字通り弦の上でスライドさせることで音に抑揚をつける。これが何とも味わいがあり、ブルースという「嘆き」を表わす音楽にマッチした、呻き声とも泣き声ともとれるような特別な音で音楽を彩っている。初めてスライド・ギターを意識して聴いたのは誰の曲だっただろう? やはりストーンズ(The Rolling Stones)かな。名手と呼ばれるようなアーティストもたくさんいるが、このアルバムはその中でもカントリー・ブルースと呼ばれるような、わりと初期のアコースティック・ギターを主体とするシンプルな演奏曲を集めたコンピレーション。演奏者はスライド・ギタリストとして有名なアーティストばかり(もちろん1とか2とか自分が聴いた事のないアーティストもいる)。
ブルースを紹介するあるビデオ作品で、ギターを買う事もままならなかった貧しい黒人達がハードな農作業の間の余暇として、木にゴムや針金で弦を張り演奏したと描かれていた。本当かどうかは分からないが、そういった恵まれない環境からこの音楽が生まれたのは間違いないし、そういった簡易なものから音楽を奏でようとしたら、きっとこの奏法のように様々な演奏が試されただろう。
自分にとってブルース音楽は好きなアーティストのルーツという視点から入っているので、普段あまりディープなブルースを聴く事はない。特にこの音楽の場合、比喩、擬人化やダブル・ミーニングが重要なので、原詩が言語として体に入ってこない非ネイティヴ・スピーカーである自分はその魅力の半分も理解していないだろうと思う。このアルバムに収録された素晴しい曲の数々もやはり歌詞よりも音の方に気がいっているなぁ。音楽としては大好きなんだけど…歯がゆい。
01 WEAVER & BEASLEY - Bottleneck Blues
02 Barbecue Bob - Untitled
03 Blind Willie Johnson - God Don't Never Change (78rpm Version)
04 Blind Willie Johnson - Dark Was The Night, Cold Was The Ground (78rpm Version)
05 WEAVER & BEASLEY - St. Louis Blues
06 Ruth Willis & Blind Willie McTell - EXPERIENCE BLUES
07 Sylvester Weaver - Guitar Rag
08 Tampa Red, Georgia Tom - You Can't Get That Stuff No More
09 Charlie Patton - High Sherriff Blues
10 Blind Boy Fuller - Homesick & Lonesome Blues
11 Leadbelly - Packin' Trunk Blues
12 Casey Bill Weldon - I Believe I'll Make A Change
13 Buddy Woods - Don't Sell It (Don't Give It Away)
14 Buddy Woods - Muscat Hill Blues
15 Robert Johnson - Traveling Riverside Blues
16 Bukka White - Bukka's Jitterbug Swing
17 Bukka White - Special Stream Line
18 Sister O.M. Terrell - Swing Low, Chariot
19 Son House - Pearline
中古店にて購入(¥500)