ジェフ・ベック(Jeff Beck)が急逝したとのニュースが入って来た。うーん、これには驚いた。これが何年も音沙汰のなかったアーティストだったりしたら「あぁもう年齢が」とか「あぁ病気だったのか」と思うだけだろうが、78歳だとはいっても現役バリバリ。昨年はジョニー・デップ(Johnny Depp)とアルバムを発表して11月までツアーも行っていた。この年代のロック・ヒーローの中では一番活動的だったんじゃないか。容姿はさすがに老けたとはいえ、ジェフのイメージは70年代頃からずっと変わらないし、ギターは全然衰えを見せていなかったからビックリ。何でも”細菌性髄膜炎”とかが原因で急性のものだそうだ。
自分が彼のギターを初めて聴いたのは60年代のストーンズ(The Rolling Stones)をはじめとするビート・バンドの後追いで聴いたヤードバーズ(The Yardbirds)だったろう。でもジェフのギターを意識して聴いていた訳ではなかったし、当時(80年代)でさえ日本ではヤードバーズのカタログは今ひとつ未整理だったので、へんてこりんな3枚組の輸入コンピ盤「Greatest Hits」を買って聴いた覚えがある。ストーンズ繋がりでジェフ・ベック・グループ(Jeff Beck Group)も聴いていたけれど、こちらはアルバムは持っていなかった。ギター・ケースを模した上記のCD3枚組のボックス・セット「Beckology」は早い時期に購入したのだが、まだ70年代のフュージョン期は興味が沸かず全く聴いておらず、それらを聴き始めたのはごく最近。80年代に入ってロッド・スチュワート(Rod Stewart)と共演した「People Get Ready」のギターが素晴らしくとても気に入っていた。ミック・ジャガー(Mick Jagger)のソロ作品でもギターを弾いていたが、その気難しさから噂はあってもツアーに参加するまでには至らず、自分の中でも”孤高”のイメージが強くなった(だってミックの打診を断れる奴なんてそう居ない)。
ジェフに急に興味が沸いたのがBSかCSで放送された「Performing This Week...Live At Ronnie Scott's」のヴィデオを見返してからだった。小さなハコでとてもリラックスしてメンバーとアイコンタクトで演奏している様子と、彼のフィンガー・ピッキングのギターから出てくる緊張感たっぷりの音色とのギャップにうっとりした。こんなスゲー音を出しているんだと今さら。それから最近のアルバムやライヴ盤を全部揃え、苦手だった70年代のフュージョン期のアルバムも揃えて聴くようになった。
今思うに残念だったのは2017年の来日公演に参加出来なかったこと…。来日を知ってセットリスト予習なんかもしていたのに、なぜかのんびりしていてうっかりチケット入手に出遅れ、いつもの事でぎりぎりネットで何とかなるだろっていたら時すでに遅く、入手出来なかった。あの時もうちょっと気合を入れていたらなァ…。彼のあのギターを生で体験してみたかった。合掌。R.I.P.
Jeff Beck (1944 - 2023)