高橋幸宏(敬称略)が亡くなった。以前から病に臥せていた事は知っていたが、坂本龍一が癌を公表した上でライブ収録を行ったりというニュースを見ていたこともあって、そちらばかりに気が行って正直彼がどのような状態にあるかということは全く失念していた。そこに唐突に逝去のニュース。ショック…。ついこの間ジェフ・ベック(Jeff Beck)の急逝に驚いたばかりだが、小さい頃からという思い入れの深さが違う。病状からいったら予想されたことだったかもしれないが、ヒーローの1人が亡くなるのはどうにもつらい。
自分が一番最初にイエロー・マジック・オーケストラ(Yellow Magic Orchestra, YMO)の音楽に触れたのはいつだったかしっかり思い出せない。小学生であったことは間違いない。ユキヒロが在籍したサディスティック・ミカ・バンドやサディスティックスは当時まだ聴いていない。ファーストはなけなしの小遣いの中から購入したが、US盤(もちろんレコード)を買っているのできっとセカンドの「Solid State Surviver」とほぼ同時か、少し後に買っただろうと思う。そうなるともう世間的にある程度話題になってからだったのかな。自分の周りでは聴いている子は多くなくてそんな感じはしなかったけれど。
YMOのメンバーの中で一番ファッショナブルでかっこよく、品があって、英語で歌が歌えて、と自分の彼のイメージはずっと変わらない。ホットなドラムを叩いている姿さえクールでお洒落だったなァ。テレビ等に出るようになっても必ず彼にはクールさの中にユーモアがあって(よく「タモリ倶楽部」にも出ていた)、歳をとってもますますかっこよくなっていった。ただ何度も再結成したYMOを含めて近年の彼の音楽活動はしっかりと追っていた訳ではないし、どうしても80年代初めまでのYMO周辺が強烈過ぎて、その辺りの音源ばかり聴き返してしまう。恥ずかしながら代表曲「ライディーン」が彼の作曲だって知ったのは随分と後になってからだった。
YMOのディスコグラフィーは特にレアなものを除きだいたい所有しているが、正直83年の”散会”の頃の音はあまり好きでなくて興味を失っていった(今聴くと何がそんなに気に入らなかったか分からないが…BPMかな)。今は偶々手の届く所にあった「Over Seas Collection」(ジャケ写真1枚目)というアルファが粗製乱造した(苦笑)コンピ盤で追悼。これ、各国で発売されたシングル・ヴァージョンを集めたというマニアックな内容だが、その実は実際の該当するヴァージョンを使っていなかったり、後から適当にでっち上げたらしい”トンデモ”な一品。それでも一時はYMOのバック・カタログが不足していてプレミアで高値になったこともある珍盤。とりあえず今はこれで。合掌。R.I.P.
高橋 幸宏 (1952-2023)