ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

神田 笹鮨 @東京・神田

2015年05月12日 | 東京都(老舗)

初めて神田鍛冶町の老舗鮨屋「神田 笹鮨」へ。創業は明治36年(1903)とのこと。出自は屋台だそうで、いわゆる街場の鮨屋なんだけれど、昔ながらの江戸前鮨の仕事を守る貴重な店だということで、前からずっと訪問したいと思っていた。HPにも戦後に出て来たようなタネは置かないと、甘海老やネギトロなんかも出さないし、季節にないタネも出さない、と書いてある昔堅気の店。椀物も出さないというから徹底している。

ガラスの4枚引戸を開けて暖簾をくぐると、右側にカウンター、左側にテーブル席がある。建物は古そうだが、中は綺麗に改装してあるようだ。この日は遅い時間ではあったが、先客がカウンターに若いカップル2人と常連と思しき中年男性1人。この日はあえてカウンターへは座らず、最初からお決まり1人前を食べようと思っていたのでテーブル席に腰を下ろした。おしぼりを持ってきてくれた若い衆(注・主人と比べて)にお茶を頼み、漬け場に立つ老齢の主人に握りの「並」を注文した。ピシッと返事をされた主人が黙々と握り始めた。主人は鮨職人という言葉がぴったりの雰囲気で、なるほどこの人なら昔からの仕事を守り通しそうだと思う。見るからに頑固そうな主人だが、一見客の若造である自分にも受け答えは丁寧で、しっかりと「わきまえている」人だという事が分かる。

しばらくして皿盛りの「並」一人前が運ばれる。赤身、白身、烏賊、締め物、煮烏賊、玉子、巻物という王道の盛り。握りは今の感覚でいうとやや大きめ、酢飯はしっかり酸味が強い。タネはもちろん高級店のそれとは比較出来ない。特筆すべきはやはり煮ツメが塗られた煮烏賊と、薄焼きの玉子。どちらも江戸前の古くからある握りだが、今となっては出す店も限られている(と思う)。鞍掛けじゃない薄焼き玉子は日本橋の「吉野鮨本店」かその系統くらいしか思い浮かばないけど、他にも出している店はあるのかな。冷たくなった厚焼き玉子を乗っけるよりも絶対この方が旨いと思うんだけどな。この日は総じて酢飯の口当たりが自分の好みとはちょっと違ったが、煮る、締める、漬ける、といったような基本的だが廃れつつある仕事のされた江戸前握りを、安価で手軽にいただく事が出来るというのは本当に素晴しいと思う。次は好きにいろいろ頼んでみたいな。(勘定は¥1,500)

 

 ↑ 神田須田町にある海老原商店(昭和3年・1928建造)。近辺はバブル期に地上げ屋に狙われ(不審火多発で、こちらも被害にあったとか…)、看板建築も僅かしか残っていない。

 ↑ 少し先にある銅板の緑青が渋い「岡昌裏地ボタン店」(昭和3年・1928建造)。こんな建物がずらっと並んだ街並みを見てみたかったなァ。

 

 ↑ 鍛冶町の中央通り沿いにある「山梨中央銀行東京支店(旧・第十銀行)」(昭和6年・1931建造)

神田 笹鮨

東京都千代田区鍛冶町2-8-5

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