こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

生きるとは時間を失いながら前に進むこと

2012年06月18日 | 生き方について考える
人に限らず、生き物は何を持って生まれて、生きていくうちにそれをどう失っていくのか。



それは”時間”だ。

人は時間だけを持って生まれてくる。
人は、時間を持って生まれ、時間を失いながら生きていく。

そして、時間は前にしか進まない。したがって、生は前にしか進まない。

生物学的にいえば、受精卵は様々な性格、機能を有する細胞に分化して個体を作る。
ほ乳類は胎児として子宮の中で成長するが、その過程でもいろいろな細胞が生まれては消えていく。
そして、子宮の外で最低限生きていける機能が身に付いたところで子宮の外に出てくる。
皮膚の細胞のように一ヶ月で入れ替わる細胞があれば、脳の細胞のようにずーっと生き続ける細胞もある。だけど、細胞にも150年くらいの寿命がある。この細胞の”寿命”がすなわち、人が持って生まれた”時間”に相当する。
多くの人が長生きするようになった現代社会は、文明の進歩によって多くの時間を獲得したと言える。若い人、幼い人の多くが命を失う戦争、無差別なテロ行為は、時間の浪費、略奪にほかならない。



時間の失い方は人それぞれ違う。
ちまちま失いながら長生きする人がいる一方で、ぎゅっと濃縮した時間の失い方をする人もいる。
「生き急ぐ」、という言葉は言い得て妙だ。自分が持って生まれた大量の時間をわずかな生にこめて、早世してしまう。

時間を上手に失う(使う)ことができればいいが、下手に失う(使う)人もいる。どう失っていこ(使お)うが、人それぞれ自由だ。時間はそれぞれの人のものでしかないのだから。

生きるとは時間を失いながら前に進むこと



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