鎌倉で散歩をしていると大きな深い穴が掘られている空き地にしばしば出会う。古くなった家が取り壊され、次の家が建つだろうと思っていると、その前に深い穴が掘られる。二十数年前に鎌倉に越してきたばかりの頃、東京者の私にはこれが一体なんなのかわからないでいたのだが、妻に教えてもらって合点がいった。なんと、家が取り壊されるて更地になるとそこを発掘調査するというのだ。
出土するものはたいてい鎌倉時代の土器、陶磁器、瓦とか遺構などの歴史的なものだ。それでも、古戦場のあったところでマンションを建てた時には大量の人骨が出たとか、長谷の方では鎌倉時代以前の人骨が出たとか、インパクトのある話を聞いたりする。建築業者も大変なようだ。それもそうで、発掘調査費用は地主負担だけど、出土品は市のものになるそうで、工期を考えると結構なリスクだ。
幸い、私の家は、すでに発掘調査が終わっていたところだったので助かったが、時々、更地にだけなってそのまま計画が頓挫している土地をみる。土地を購入したはいいけど、地主が発掘調査費用を出せないで困っているのかと思うと、ちょっと気の毒になる。
発掘調査が終わったら、この穴は埋め戻される。
文化財は大事です