こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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新型コロナウイルスワクチンの副反応

2021年04月20日 | 自然災害・事故・感染症
 私は新型コロナワクチンの接種は感染拡大防止に効果があり、副反応があるものの、接種は推進すべきだと考えている。そして、副反応というものを闇雲に怖がらないで、”そういうものだ”と捉えて過剰な反応をしないでいただきたいと考えたので、私なりにここで情報を提供させていただく。
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 先週末、新型コロナウイルスワクチンの2回目を接種してもらった。その前の日にやはり2回目の接種したコメディカルが発熱で欠勤したという話を聞いたので、少々怖いと思いながらも、明日は休みだから発熱しても大丈夫だろうと意を決し、10時過ぎにうってもらった(もちろん注射そのものの痛みはほとんど無い)。今回は15分ほど待機室で静かにしてアナフィラキシーショックを起こさなかったことを確認してから、病理診断科の部屋に戻ったが、しばらくしてから頭がなんとなくクラクラというか頭痛がするようになった。

 ”ああ、(副反応が)出たな”と思っているうち、12時ごろに迅速診断の検体が出てきた。標本作成の処理をしながら、検体を持ってきた担当医に”さっき、ワクチン打ったら、なんだか調子が悪くなっちゃったよ”とボヤいたら、”2度目の方がきついっていうから、そうなんですかね”と言われた。”おっさん(57歳)だから大丈夫だと思っていたんだけどね”などと返した。幸い診断に影響するほどではなく、ホッとした。

 午後になってから外科の医者が別の用でやってきて、そのついでに”先生(副反応は)大丈夫ですか?”と聞かれた。

 噂、千里をかける。

 もともと病院なんてところは閉鎖空間で、さらには医療従事者同士の情報交換が必須だからいろんな話があっという間に広がる。病院として新型コロナウイルスワクチンの集団接種を行なったので、職員同士の共通の話題としては興味深い話だ。それほどひどい副反応が出ることはないとわかっていても、やっぱりそれは軽い方がいいに決まっている。新規開発されたワクチン、医療従事者だって大なり小なり漠然とした不安は持っている。何はともあれ、この話は”噂というのはあっという間に広がるものだね”ということで終わった。

 さて、終業時間になり、頭痛もだいぶ収まり、無事帰宅した。もちろん、15時ごろからは打った場所の痛みが始まったが、これは1回目とどっこいどっこいかそれより強いぐらいだったが、想定の範囲内。寝るときに打った場所を下にしないだけで対応可能だった。翌日は発熱もなく、打った場所の痛みも軽減して、翌々日にはすっかり改善した。痛みの引きは1回目よりもよほど早かった。

 新型コロナウイルスワクチン接種の高齢者への接種がやっと始まったものの、それはいまだ限定的。医療従事者に対する接種が完了していない状況での接種開始については賛否あるだろうが、病医院というところを”清浄区域”にしておかなくては何かあったときに大変なことになる。医療現場というのは当然のことながら感染リスクは高く、それでいてクラスターを起こしてはならない。ワクチン接種がそういうリスクの高い施設、医院に勤務する人に対して優先的に行われるべきなのは仕方ない。

 あらためて、こうして自分がさっさとワクチン接種を済ませたことをここにあげるのはどうかと思ったが、副反応に関する報道があまりにも少ないことに危機感を持ち、冒頭に述べたような考えに基づいて報告することにした。

 ワクチン接種の説明書には副反応として、注射した部分の痛み、頭痛、関節や筋肉の痛み、だるさ、寒気、発熱等があり、これらのほとんどは数日から1週間以内に自然に回復します”と書かれている。そもそも副反応の起きることを隠してはいないし、実際のところ院内の追跡調査でも大体そんなところだったようだ。

 接種部位の疼痛はほぼ必発で、痛みに慣れていない人にとってはそれは激痛と感じられるかもしれない。アレルギーの既往のある人は、アナフィラキシーショックを起こす可能性がないとは言えない。でも、これは決してネガティブなことではなく、そういうものなのだ。副反応を上回る利益があるので、ワクチン接種に反対するようなことはしないでいただきたい。接種されるのが嫌だという人は黙って受けなければいいだけの話で、他の人の選択を邪魔するようなことはしないでほしい。

 残念ながら、国民全員へのワクチン接種の目処が立つのは9月ごろになるようだ。あと半年程度は我慢を強いられることになるが、ワクチン接種を受けたから、どこにでも行ける自由を得られるわけではない。”軽くかかった状態のキャリア”となって周りの人にうつしてしまうかもしれない。なんといっても、ウイルスのほうも変異を繰り返して、ワクチン耐性株が出現してくるにちがいない。結局のところ、ワクチンを接種されたからといって、マスク・手洗い・個食といった生活様式を変えることはできない。それでも皆で協力して、新型コロナウイルスを抑え込まなくてはいけない。
オリパラには間に合わないか

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