Kobby loves 埼玉&レッズ

埼玉と浦和レッズを愛する管理者のブログです。

前にスペースのある限り(柏木陽介)

2007-12-23 17:59:16 | 他チーム
残念ながらJ2に降格した広島ですが、もし主力を引き留められれば、水準的にはJ1中位レベルのものがあります。代表招集がかかる駒野には他チームのオファーが殺到するのは仕方ないでしょうが、一年でのJ1復帰を目指すなら残して欲しい代表格は柏木陽介選手だと思います。今日はその柏木選手の話をします。

柏木のプレーが初めて印象に残ったのは、五輪代表でのプレーです。テレビだと運動量の多さは伝わりにくいので、生で見ることが難しい広島の選手のプレーの印象は、どうしてもスポーツマスコミの評価に頼らざるを得ません。そこで、「走れるファンタジスタ」と呼ばれて評価の高かった柏木が、どこまでできるのかと思って五輪代表でのプレーを追ってみました。

その第一印象は、スペースのあるところに顔を出す、クラブW杯で見たACミランのセードルフタイプの選手だということです。攻守両面で効くセードルフと同様、柏木も前からプレッシャーは掛けますし、戻りも早く素早く守備の体勢に入れます。ただ、今季は柏木にとっては試練の年になりました。

それは、初めての五輪代表とチームとの両立です。U-20代表時代はクラブの試合を欠場して合流していましたから、遠征が続く代表から帰ってトップの公式戦を戦うという経験はおそらく初めてでしょう。そのため、生で見られる好機と思って出かけた、駒場での大宮戦では遠征帰りの疲労が隠せず、どこにいるかわからないほどの不出来でした。

本当にわずかな差で降格したのですから、柏木自身も「あの試合でもっと動けていたら」と振り返る試合は何試合かあったでしょう。しかし、五輪への出場が決まったこともあり、天皇杯に入った途端に柏木のプレーに切れが出ました。今日のFC東京戦、得意のスペースに飛び出す動きは何度も出ていて、1ゴール1アシストの大活躍でした。

ただ、柏木にはまだ課題もあります。スペースに飛び出すまでなら日本でもトップレベルに上りましたが、そこから上がるクロスの精度はこれから上げていかなければなりません。特に利き足でない右足のキックは、A代表を狙うなら克服しなければいけない課題です。将来的には、同タイプの羽生と代表のポジションを争うことになるでしょうが、是非もっとうまい選手になって、日本代表を背負って立つ選手になって欲しいものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダイレクトプレー(伊東輝悦)

2007-12-22 21:50:45 | 他チーム
レッズのいない天皇杯は、寂しい限りですが、それでも今日は寒さのため外出する気分ではなかったので、BSで天皇杯の2試合をはしごしました。今日は、敵ながら好きなチームである清水が出ていたので、観ようかなという気分になりました。

なぜ、清水が好きかというと、どんなときでもチームスタイルを持っていることです。かつてはアレックスのクロス、沢登のFKという武器がありましたし、今では藤本、兵働らの活動量で元気なチームを作っています。その清水の中で、私が特に注目しているのは、ベテランの伊東輝悦選手です。

伊東は、かつてのアルディレスサッカーを現役として唯一知る存在で、どんなときでも清水の守備的ボランチは伊東という安心感のある選手です。負傷が少ないのも魅力的で、伊東を見たいと思って日本平や埼スタに出かけたときは、ほとんど皆勤に近い出場率です。伊東はアトランタ五輪でブラジルを破ったゴールで有名なボランチですが、今ではそんなイメージは忘れ去られています。

むしろ、敵として見たときは、浦和がこのスペースを突けばチャンスになるなと思った場面で、そのスペースをいち早く察し、潰すのが伊東です。フィジカルも強く、相手との体のぶつかり合いには負けないという長所もあり、相手にしたら本当に嫌な存在ですが、今日、その魅力の別の面を発見しました。

伊東は、少年時代は天才FWとして名を馳せた存在で、「テルドーナ」という愛称で呼ばれていたそうです。しかし、成長期に入っても背が伸びなかったため、長身FWの予定が守備的なMFに回らざるを得なかった不運もあります。しかし、そんなテクニックの高さは、33歳になった今でも健在です。

それはどんな場面に見られるかというと、味方のDFから受けたパスを、ほとんどダイレクトでさばいていることに見られます。清水は伊東の1ボランチですから、相手は当然、伊東からボールを奪えばチャンスですから、伊東には強烈なプレッシャーを掛けてきます。そんなプレッシャーをあざ笑うように、伊東はどんな角度にも、ダイレクトでボールをはたき、味方の攻め上がりを助けます。

来年、清水に入団する法大の本田拓也は、この伊東からポジションを奪うという大変な役目が待っています。正直、1年目は無理ではと思うほど、今の伊東はいい選手です。このポジション争いにも、来季は注目してみようと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

驚愕の戦術(1995年トヨタカップ)

2007-12-21 20:27:05 | ワールドサッカー
トヨタカップは、サッカーを見始めたばかりだった私に、いろいろな戦術があることを教えてくれました。基本形はJリーグと同じでも、SBがオーバーラップした穴を誰が埋めるかや、どういうポジションチェンジをやっているかは、新鮮で興味深かったです。

その中で、唯一Jリーグのチームが決して真似ができない戦術を一度だけ見たことがあります。それは、1995年のトヨタカップで来日した、アヤックス(オランダ)の3-4-3です。確かに、2005年の新潟など3-4-3をやったJリーグのチームはありますが、それはトップ下を置かないダブルボランチのシステムです。

当時のアヤックスは、写真に示すように3トップの後ろにトップ下のリトマネン(10番)を置いて、中盤をダイヤモンド型に組むというアグレッシブな戦術でした。オランダ代表やアヤックスと言えば、1970年代にトータルフットボールと呼ばれる新たな戦術を確立して、世界を驚かせた実績があります。

ボスマン判決という、契約切れの選手の移籍金がただになるという判決が出てしまった影響で、アヤックスは主力選手を次々に引き抜かれてしまいました。そのため、1995年のアヤックスの黄金時代は短いですが、雑誌にアヤックスの戦術の約束事が詳細に書かれるなど、当時のサッカー界にとっては一大事件でした。

そのノウハウの多くはポジションチェンジの多用でした。特に重要なポジションは5番の位置で、当時はボハルデという選手がプレーしていましたが、最終ラインをカバーしながらうまくバランスを取って前で相手の攻めを潰す役割も担っていました。

ただ、この試合は前半で対戦相手のグレミオのDFリバロラが退場になってしまい、アヤックスの最終ラインが相手の圧力にさらされる場面はあまりありませんでした。結局、試合は0-0のPK戦でアヤックスが勝利しました。

しかし、こんな高等戦術ができたのは、当時のアヤックスのメンバーが豪華メンバーだったからというのもあります。後にアーセナル、バルセロナ、マンチェスターUなどのビッグクラブでプレーした選手ばかりです。日本のチームが真似をしようとしても、おそらく1ボランチが引っ張り出されてたちまちバランスを崩されてしまうでしょう。そんなチームが見られるのも、トヨタカップの魅力なのですが。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

俺はもっとできる(ワシントン)

2007-12-20 20:59:44 | 浦和レッズ
最後の試合で2ゴールを決めて、最高の置き土産をくれたワシントン選手の思い出です。私は東京V時代のワシントンも見ていますが、降格したチームで22ゴールとは、ただの選手ではありません。東京V時代のワシントンは、私が見た大宮戦でもゴールを決めていましたが、信じて任せてくれればたぐい稀な決定力を見せてくれるFWというイメージでした。

ただ、当時のワシントンは、浦和と対戦した試合でほとんど完封されています。あまり動くFWではないので、坪井あたりを前からチェックさせて、パスコースを消してやれば、ほとんど存在感がなくなるという欠点がありました。そのため、ワシントンの加入を聞いたときは、他チームに同じ対策を立てられる心配の方が強かったです。

しかし、ポンテと小野伸二が後ろからサポートする、ギドが採用した浦和のシステムではワシントンにボールが入らないということはなくなりました。当時の浦和は組織より個人技で崩すサッカーでしたが、その方がワシントンに合っていたように感じます。ポンテ、小野伸二、ワシントンの3人で何とかするサッカーで、開幕から好調を維持しました。

ワシントンの良いときは、相手を引きずるようなドリブルで強引に突破してゴールを決めるパターンが印象に残っています。また、シュートスピードも速く、多少強引なシュートでも決めてくれました。もともと、持っている能力が高いので、信じて任せてやれば決めてくれる安心感がありました。

しかし、ワシントンにとっては組織サッカーのオジェック監督との出会いは不幸でした。ゼロックス杯でワシントンの個人技サッカーに早々と見切りをつけられてしまい、開幕から永井をアシスト役につけられてしまいました。ワシントンの個人技は封印され、永井や山田がサイドを崩したクロスを、真ん中で待って合わせるという役割がワシントンに与えられることになりました。

確かにこれでもチームは勝ちましたし、ワシントンのゴールも少なくはなかったですが、ブラジル全国選手権得点王の経験があるワシントンは、任せてくれれば自分はもっとできるという不満をため込んでいたと推測します。結果的にはチームの功労者のワシントンを、不本意な形で送り出すのは大変残念です。できれば、フルミネンセをリベルタドーレス杯で優勝させて、南米王者として日本に凱旋する姿が見たいものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

誕生日

2007-12-19 20:56:40 | 雑記
今日はkobbyの30ン回目の誕生日です。この1年間は、2度の手術を経験するなど、激動の1年でした。まだ、病気は完治しておらず、いつかやってみたいと思っているフットサルも来年に持ち越しです。

しかし、この1年は楽しい思いも十分に味わうことができました。それは浦和のACL優勝と世界3位の瞬間を両方生で見られたことです。浦和がここまで勝ち上がってくれたことで、世界のいろいろな国のチームが、懸命に浦和対策を立てて向かってくる姿を見ることができました。

MDPあたりの選手のコメントを読むと、相手チームのことは知らないと言っていますが、試合を見れば実は知っていることは伝わってきます。上海申花戦では、相手の両サイドの攻撃的MFを消してロングボールを上げざるを得なくさせました。シドニーFC戦では、1トップのズドリリッチに堀之内が付いて、ゴール前でポストプレーをさせませんでした。全北現代戦では、相手のカウンターに対する守備の弱さを突きました。

ここまで良く練られた相手対策が見られたのは、サポーターの私にとってもサッカーの見方が広がる財産です。どんな試合でも、何も感じない試合はないというのが私の考えですが、ACLの戦いは、自分のサッカーに関する観察眼のすべてを投入して見ようと気合いを入れて見ました。そんな幸せな時間を、何度か味わえたのが、今年最大の収穫です。

ただ、それができたのは、苦しみながらも1年間仕事ができて、周りに迷惑を掛けずに済んだからです。いろいろなことがありましたが、いろいろな場面で両親が助けてくれて今日という日があります。この場を借りてありがとうございます。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

祝MVP(ロブソン・ポンテ)

2007-12-18 20:10:55 | 浦和レッズ
今日はMVP受賞のポンテについて話します。ポンテは生まれた国が不運なことに、代表争いが世界一厳しいブラジルなので、残念ながら代表歴はありません。また、ポンテはボランチもできないし、サイドハーフもスピード的に苦しいので、ポジションはトップ下しかできません。

ただ、このサッカーセンスをベンチで眠らせるのは惜しいので、ドイツの強豪のレバークーゼンでは半分以上の試合に出ていました。おそらく、監督がポンテをトップ下に置くために、苦労して戦術を決めたものと思います。

ドイツのレベルで、自分に合わせて戦術を変えてもらえるほどの選手なら、Jリーグなら断トツの存在になります。浦和に加入した当時は山瀬功治の退団でちょうどトップ下が空いていたので、ポンテは当たり前のようにトップ下に入り、FC東京戦のミドルシュートで実力の確かさを証明しました。

今季はACLを戦った浦和ですが、ポンテは欧州CLの経験があるので、未知の相手にいかに早く対応するかは身を以て知っています。最終的にはACL得点王になったポンテですが、強烈なプレッシャーを受けてチームが浮き足だっていたアウェーのシドニーFC戦で、1点を返す貴重なゴールでチームの雰囲気を変えたのは忘れられません。

私が選ぶポンテのベストゴールは、11/7に行われたアウェーのセパハン戦(ACL決勝第1戦)で決めた、左サイドからのミドルシュートです。この試合の浦和の出来は、グラウンドコンディションの影響もあって相当悪かったです。そんな苦しい試合を引き分けに持ち込めたのは、間違いなくポンテの先制点でチームに自信が出たからです。

チームの雰囲気を変えたという意味では、第2戦の永井のゴールより価値は大きいです。ACLの優勝は、ポンテと阿部勇樹の貢献が大きいと思います。ただ、今回のMVP受賞はACLは関係なく、リーグ戦での活躍ですが、雑誌選定のアシストランキングで断トツのトップだったことが効いていると思います。

また、ポンテは相手ボランチがマンツーマンで付いても、相手が一人なら何度かは振り切ってくれます。そんなイメージが相手チームの選手にあったからこそのMVPでしょう。リーグ優勝は逃しましたが、それだけのインパクトは十分残したと言っていいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パススピード(12/16ACミラン対ボカ・ジュニアーズ)

2007-12-17 15:44:21 | ワールドサッカー
昨日は横浜国際競技場にいたので、当然ミラン対ボカも見ました。まず、驚いたのが、浦和対サヘル戦のスピードに慣れた目で試合を見ると、ミランのパススピードにしばらくは目がついていけなかったことです。さすが、FIFAの公式大会の決勝戦ですから、審判も超一流でプレーはほとんど切れないし、一回取れば素早く攻撃につなげます。

これまで、欧州代表がクラブW杯に賭ける気持ちには若干弱いところがあって、コンディションが整わず南米代表に足元をすくわれていました。しかし、今回のACミランは1週間前に来日してコンディションを調整し時差対策も万全でした。

今や世界最高レベルの選手になったカカは、その個人技が冴え渡り、何人もに挟まれた狭いスペースでもボールをキープできました。また、柔らかいタッチのパスを出すピルロの存在感も抜群で、前半5分でいきなりインザーギの足元へ正確なパスを送っています。

対するボカは、バネガをトップ下に置き、バタグリアの1ボランチでカカに対抗しようとしました。しかし、本気で来れば、世界中から代表選手を集めているACミランの方が地力は上です。インザーギの先制点は、カカが個人技でこじ開けたところから決まっています。

ボカも、アルゼンチン代表のパラシオのゴールで一時は同点に追いつき、勝敗の興味は後半につなぎました。しかし、慎重策に思えたミランの1トップは、逆にカカやセードルフが後ろから走り込むスペースを作るための布陣でもあったのです。左右に振り回され続けたボカの中盤はとうとう持ちこたえられなくなり、ミランの3連続ゴールで、試合の決着はつきました。

やはり、生で見る世界のトップレベルは違いました。これが相手では、浦和レッズが対抗しようというのはまだまだです。私はこのブログの文章のネタにするために、試合中メモを取っているのですが、このミラン対ボカではあまりにも速い展開に、メモを取る手を止めざるを得ないことが何度かありました。

浦和戦だと、まだまだ十分にメモを取る時間がありますから、私の観戦記録が取れなくなるくらいに、浦和のサッカーがスピードアップしてくれることを期待したいものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レッズのエンブレム(12/16浦和対エトワール・サヘル)

2007-12-16 22:59:57 | 浦和レッズ
ここは横浜国際競技場のバックスタンドの入り口です。ここにレッズのエンブレムがあるという事実が嬉しいです。この日は3位決定戦のエトワール・サヘル戦で、守備とカウンターのサヘルなら、浦和もある程度ボールを回せるのではと期待していました。

しかし、前半4分にロングボールの処理を誤った坪井がPKを献上して、早くも追う展開になってしまいました。こうなると、サヘルは無理をせず、相馬のドリブル突破に二人つける慎重策でリードを守りにきました。そんな苦しい展開で、相手の負傷で一瞬試合が切れていたタイミングで、オジェック監督は山田を呼びました。

何だろうと思っていたら、トップ下の山田を右アウトサイド、右アウトサイドの細貝をボランチ、ボランチの長谷部をトップ下に回す布陣変更でした。細貝は自分で突破するタイプではなく、周りを使うタイプなので、どうしてもアーリークロスが多くなっていました。

そのため、山田をこの位置に置いて、思い切って仕掛けて欲しいというのがオジェック監督の狙いに思えました。オジェック監督は、あまり試合中に動く監督ではなく、スタメンの11人を選んだら自分の仕事の8割は終わっていると言っていたトルシエタイプと思っていたので、この策には驚きましたが、これが大当たりでした。

ワシントンの同点ゴールは、山田の上げたクロスがクリアされたところを相馬が拾って、ダイレクトで上げたクロスがワシントンの頭に合ったものです。これ以外にも、山田の突破から、ワシントンがクロスバーに当たるシュートを放つなど、浦和はペースをつかみました。しかし、サヘルも山田対策を打ってきました。

前線に7番を置いて3トップにして、山田を自陣に押し込んでしまおうとする策です。これで山田が7番の対応に追われ、後半はサヘルペースでした。FKでうまく勝ち越し点は奪えましたが、やはりサヘルのカウンターでシェルミティに都築が突破されて同点にされると、最後は辛うじてPK戦に持ち込むのがやっとでした。

しかし、PK戦はホームチームが有利です。城南一和戦で成功した、大旗をゴール裏で振る手は使えませんでしたが、雰囲気は浦和有利で、勝って3位になることができました。策の打ち合いだったこの試合は面白い試合でしたが、坪井にミスが出るなどもあったので、もっと楽に勝てた可能性は否定できませんが。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エトワール・サヘル戦プレビュー

2007-12-15 17:19:35 | 浦和レッズ
この事前視察が(少なくともブログ上では)役に立つ日が来るとは、嬉しいような残念なような複雑な気持ちですが、実際に見た印象を元にして、エトワール・サヘルの分析をしてみます。

エトワール・サヘルは慎重な4バックの布陣を引くチームです。SBはたまには上がってきますが、基本は自陣に引いてバランス重視の作戦を取ってきます。中盤はダイヤモンドで、Jリーグで言えば清水の布陣と同じです。ただ、今回はトップ下の10番が警告累積で出場停止なので、ボックス型で来る可能性はあります。

私が見た、パチューカ戦では、1ボランチで試合中ほとんど上がってこなかったナリー(24番)のミドルシュートという意外な武器が出て1-0と辛勝しました。しかし、チームが本当にやりたい攻めは9番のシェルミティを使った攻めでしょう。シェルミティはそんなに激しく動き回るFWではありませんが、サッカーセンスが高く、相手の意表を突くパスが出せます。

また、エトワール・サヘルで警戒する必要があるのは、そのシュートレンジの長さです。Jリーグなら無理と思われるような距離から、積極的に打ってきます。DF陣は前目から思い切ったチェックが必要でしょう。

弱点は、SBの前のスペースです。パチューカはそれをよく知っていて、守備をほとんどしないトップ下のアルバレスをその位置に置いていました。ここからスルーパスが出て、パチューカは試合を優勢に運びました。浦和でその位置に入るのは、細貝と相馬になります。

特に相馬は、セパハン戦であれだけできたなら、その再現を是非期待したいです。アーリークロスでもいいから思い切って上げて欲しいです。延長はなく、90分で決着がつかなければ即PK戦というルールのはず(去年はそうでした)なので、思い切って攻めて勝利を呼び込んで欲しいです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

通用した点もあり(12/13浦和対ミラン)

2007-12-15 13:00:58 | 浦和レッズ
携帯メールで書いていた原稿の、自宅PCへの到着が遅れ、更新が遅れたことをお許し下さい。

一昨日のACミラン戦、まず驚いたのがACミランの試合の入り方でした。普通、格上チームが格下チームと戦うときは、早い時間で決着をつけようとして、最初から激しいプレスを掛けてきます。ところが、この日のACミランは、ジラルディーノの1トップに、アンブロジーニ、ピルロ、ガットゥーゾの3ボランチを置く慎重策でした。

このスタメンを見たとき、浦和の攻撃はほとんど機能しないのではと思っていました。しかし、浦和も結果は0-1の敗戦でしたが、通用した部分もありました。それはサイドの攻防と中盤のパス回しです。細貝や相馬は守備で頑張り、相手のクロスを通させませんでした。

阿部勇樹や鈴木啓太は、攻撃につなげるという意味では多少物足りませんでしたが、長谷部を含めた中盤3人相互間のパスはある程度回っていました。しかし、一番浦和とACミランの差を感じたのは、浦和のFWがボールを受けるときのプレーです。Jリーグの感覚なら通るだろうと思われるスルーパスやサイドからのクロスは、全てACミランのDFにカットされてしまいました。

もちろん、ワシントンの個人技もまったく通用しません。浦和の攻撃はサイド攻撃が主体とは言っても、FWがポストに入ったり、サイドに流れたりといった、組み立て段階でのFWの関与は不可欠です。それが完全に封じられた事実には、やはり世界のDFはレベルが違うと感じました。

ただ、この試合をワンサイドゲームにしなかったのは、ネネの貢献が大きいです。ネネは足は遅いですが、相手に攻め込まれたときに確実に流れを切ってくれる老練さがあります。これが効いて、ACミランに連続攻撃を浴びないで済みました。

しかし、ACミランの技術の高さ、フィジカルの強さは思わず見入ってしまいます。カカのドリブルは、浦和のDFがいつもなら止められるだろうと思っていそうな動きをしていても、それを嘲笑うように突破していってしまいます。ピルロも、一見パスミスに見えるようなロングボールが、実は味方の走るスピードを計算していた絶妙なパスだったりします。

得点を決めたセードルフの運動量は、31歳の今でも健在です。これが世界だという技術を全面に出したミランを見て、やはりクラブW杯の真剣勝負は違うなと、この舞台(アジア王者)に辿り着いた浦和の残した結果に、感心した次第です。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする