今日の午後は、都市計画学会北海道支部の事業で、恵庭市の恵み野の商店街で行われている「ガーデンによるまちづくり」に参加してきました。
恵み野の商店街では、駅前の道路の歩道をとても広くとっていて、ここの植栽桝をガーデン化してきれいに植栽をすることで、魅力的な地域を作っているのです。
最初のきっかけは、1990年に開かれた「恵庭花とくらし展」でしたが、これを受けて、ガーデンのまちと言えば、ニュージーランドのクライストチャーチだろう、ということで、この町まで市民有志が出かけて、ガーデンのまちづくりを見てきたのだそう。
その後、ガーデニングに関わる地域団体などを作りながら、ガーデンに対する市民意識を高めてきたところへ、恵庭市がバリアフリーに応えるために駅前の歩道工事を行うことになり、それに合わせて地元が立ち上がって管理が行き届かずにいた植栽桝をより良い形に作り直したのでした。
仕掛け人の内倉真由美さんによると、商店街の人たちに納得してもらえたポイントは、「今までよりも植栽面積を小さくして、管理をより安く、しかもしやすくなるという提案でした」とのこと。
高くて良いものならいくらでも作れます。ガーデンの商店街を作るのに協力してきた商店会会長の小笠原さんは、「最初は内倉さんと言えば、『どんどん花を植えましょう』と言うのかと思ったら、『管理しやすくするためには花を植える面積を少なくしましょう』と提案してきたので、まずびっくりしました」と笑います。
今ではこのガーデンのまちづくりは景観デザイン大賞を受賞するなど、大きな評価を受けています。
小笠原さんに、「商店街として、ガーデンのまちづくりをするのに抵抗はありませんでしたか?」と訊くと、「うちの商店街は、私が割と若い立場で商店会会長になったことで、上の世代が後ろに一歩引いてくれて、役員は一気に若返りました。と、同時に、年上の世代の人たちが、肉体労働部分を引き受けてくれています。企画は若いものが作り、実施する段になってかつて役員だった年上世代が、文句ひとつ言わずにテント設営などのような労働部分を担ってくれています。そういう雰囲気があるので、ガーデンと言っても反対はありませんでした」という答え。
かつては市が作りっぱなしで、管理が放置されたような植樹桝でしたが、内倉さんがデザインを提案して、植樹桝の前のお店が管理を担うという形を了承して、今では皆が愛情をこめて管理をしています。
地域づくりとしては大成功の事例なのですが、都市計画学会としては、これを特定の人がいたおかげ、というのでは話はそこで終わってしまいます。
この中から、普遍的な手法と内倉さんなどが使ったオリジナルな手法をわけて分析して、成功事例を少しでも多くの地域で共有したいというのが大いなる目標です。
良い事例をたくさん見る中で、目を肥やして分析の能力を高めたいところです。
恵庭市恵み野の商店街のガーデンによるまちづくり、必見です。