北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

週休2日工事の盲点 ~ やっていないことを証明できるか?

2018-08-21 23:55:55 | Weblog

 

 8月前半は、舗装協会として全道各地区の会員企業さんたちとそれぞれの拠点都市を訪れて、日ごろ仕事をする上での課題や不平不満、要望などについて意見交換をしました。

 かなりハードな旅でしたが、やはり現地の方から直接話を聞いて質疑応答をすることで、問題が具体的につかめます。

 ネットやメールではそのちょっとした深みに入り込めないと感じますし、逆に直接顔を合わせて話をすることの大切さを痛感しました。


    ◆


 さて、今年の春からの工事で最もホットな話題は、「週休2日工事」でした。

 これは、工事を受注して施工する際に、工期全体を通じて「週休2日」を実現すれば、経費率が2~4%程度上乗せしてもらえるという制度です。

 これまでの工事スタイルは、夏は日曜日は休むものの、他の曜日は晴れていれば基本的には工事を行い、できるだけ休まずに工事を仕上げる、というのが常識的な姿勢でした。

 ところが働き方改革の一環で、このままでは若者に敬遠されてしまい、担い手が入ってこない、という危機感があり、「建設業も週に二日休める産業」にするという大きな方向性が示されているところです。

 ただ、最初から暦通りの土・日休みの実現というのは難しく、まずは第一歩として『工期全体を通じての週休2日の実現』をやってみよう、ということでスタートしています。

 『週休』とは、とりあえず現場の工事を行わず工事現場を閉所すればよい、ということにして、雨など悪天候のために休むこともカウントしてよい、という非常にゆるい基準でスタートしています。

 協会としても会員企業に対して、「まずは週休2日の試行工事としてやってみて、問題や課題を浮き彫りにしましょう」と号令をかけて、やってみたという経験を増やしてほしいと願ったところです。

 そうした前提でスタートした週休2日試行工事ですが、いざやってみて、現場からは様々な戸惑いの声が上がってきました。

 なかでも困ったというのが、「現場が休んでいることをどうやって証明してくれますか」と訊かれたことだったそう。

 現場が動いていることを説明するのは、作業が進んでいる写真でも写せばよいのですが、やっていないことをどう証明するのか?

 ある人は、「まるで"宇宙人がいないことを証明しろ"と言われているようなもので、悪魔の証明じゃないでしょうか」と面白い表現をしてくれました。

 簡単に考えれば、現場から「今週はこの日とこの日を休みます」という工程表を申告・提出することで認めてもらえれば良さそうですが、「本当にその日は休んだことを証明しろ」と言われると、はたと困ってしまいます。

 まるで刑事ドラマのアリバイのように、「その日は○○㎞離れたところで目撃されているので、その時間に現場に行くことはできません」といったようなことが必要になるでしょうか。

 このような"やったことの確認"を履行確認と言いますが、実際にちゃんと施工されたので、お金も払われるという組み合わせはこれまで通り分かりやすいですね。

 しかし、「やらなかったということを履行確認したうえで、経費率を上乗せする」ということになると、やらなかったことが証明されないとちゃんとお金を払えないと言い出す人がいるかもしれません。

 要は、「現場閉所をした」という簡易な確認方法を発注者側が示してくれれば、それに沿った書類提出なり、確認作業を行うだけのことですが、まだ現場の最前線ではそのあたりことが混乱しているようです。

 新しい制度が始まるときには、受注者側にはもちろん、発注者側でも新制度に対する理解不足や誤った理解があって、混乱するものですが、こうした時間とやり取りを経て、より良い制度に仕上げていかなくてはなりません。

 こうした現場の声は、工事が終わるまでのできるだけ早期に一定の整理をしてもらった方が良いので、今日は発注官庁に赴いて、情報提供と意見交換をしてきました。

 今後改善されるかどうかを注意深く見守って行きたいと思います。

 より良いモノづくりができますように。

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