尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「原野商法」をすすめる石原都知事は「背任」

2012年04月18日 20時11分10秒 | 政治
 石原慎太郎都知事が「都が尖閣諸島を買う」などという発言を海外で行った。最近は大阪や名古屋に「妄言」パワーを奪われてしまい、何か全国に話題になるようなテーマを求めていたのだろうか。これを「壮挙」などという人がいるので始末に負えない。尖閣問題は国家の問題であって、都税を使うような問題ではない。当たり前ではないか。緊急にちょっと。

 尖閣諸島は(国民としては意味はあるが)、都民としては購入しても全く意味がない。「都民も行けばいい」などと言っているが、行っても何もないから「国境のもめてる地域に行ってみた」体験をするだけである。工場も農地も保養所も作れない。そういう土地を買うことに都の税金を使うという発想。自分の思想、信条のために税金を私物化して何とも思わないのである。これは民間企業なら「背任」として刑事問題になるだろう。全く会社の利益にならない土地に対して、社長が購入計画を立てている。「原野商法」に引っかかったのである。コンプライアンスはどうなってるんだ?

 折しも今日、都は首都直下型地震の被害想定の見直しを発表した
 「首都直下型地震、死者2倍に…都が新被害想定」(読売新聞)「東京都は18日、首都直下で起きるとされる東京湾北部地震(マグニチュード=M=7・3)で、都内約30万棟の建物が全壊し、約9700人が死亡するとの新たな被害想定を発表した。都内の最大予測震度を6強から7に上方修正した文部科学省研究チームの分析を基に推計した結果、死者数は前回想定(2006年)の2倍近くになった。帰宅困難者も約70万人増えて517万人に上るとした。」

 オリンピック招致も断念し、震災対策を進めるべきだ。それなら都税を払う意味を認めるが、尖閣を買うような金があるなら都税を減税してくれ。

 ところで、日本は尖閣諸島に対してどのような立場を取っているのだろうか。それは外務省のサイトで明確にされている。「尖閣諸島の領有権についての基本見解」である。Q&Aにあるように、「尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しません。」というのが日本政府の基本的立場である。「北方領土」はロシアとの平和条約が存在しない現在、ロシア側も領土問題が存在することを認めないわけにはいかないだろう。しかし、尖閣諸島は日本が実効支配していて、ことさら日本側から「領土問題がある」かのように騒ぎ立てる必要自体がないと考えられる。それを考えると、地方自治体が尖閣諸島を保有するという発想自体が、相手の土俵に乗っての発想になっているのではないか。
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