先週の土曜日、4月22日にK市のアートギャラリーがオープンしました。
そこは元々Sビール工場の広大な敷地の一角。工場撤退後に、ショッピングセンター、住宅、公園、スポーツクラブを有する「新しい街」として生まれ変わった際、Sビール会社が、K市に、ギャラリーを建立し寄贈したのだそうです。
展示室が2つにスタジオが1つ、それとカフェスペースだけの小さな施設ですが、公園に面してウッドデッキがあるので、今までK市にはちょっと見られなかった「息抜きの場」的な雰囲気があり、なかなかいい感じです。
さて。オープン記念として、鉄のゲージツ家であるクマさんこと、篠原勝之さんと、かつてキューポラのある街として知られたK市の鋳物とのコラボレーションを目指したワークショップが開催されました。簡単に言うと、市内の子どもたちが集めた鉄を、クマさんに「作品」として仕上げてもらおうという内容です。
うちの娘もこれに参加していたので、近所の工場や、荒川土手あたりまで出かけ、鉄を集めました。
そんなわけで、招待状まで頂いたし、親子3人その出来上がった作品の除幕式に出かけました。
なんかウッドデッキの側にトラックが停まっていて、シートに覆われているけど・・
なにやらデッキの隅のほうに黒い鉄の柱が立っているけど・・
そんなことを思いながら、公園で遊ぶ人たちを漠然と見ているうちに、人だかりがデッキの方へと移動し、赤いTシャツ姿のクマさんが現われました。私もさささっーと群集の一人に。
「じゃあ、のせちゃって」的なクマさんのしぐさで、突然トラックの上のシートがはずされ全貌が明らかに。
巨大なたまご?まゆだま?
わーわー周りがうるさい中で、いつのまにか市長が来ていて、「クマさん、作品の説明してよ」と。
クマさん曰く。「ここはもう、鋳物の街じゃないってことがよーくわかったよ。子どもたちに鉄拾ってこいって言ったけどよ、なんか家庭の廃品ばっかでよ。なんでも集めればゲージツ作品になるわけじゃないんだよ。それでオレも考えてよ、オレが集めてきた鉄の中に、子どもたちの鉄を入れて作ったわけよ。イメージとしてはだな、未来への旅たちだな。『SEILING TREE』っていう名前にしたから」
ほうっーーー。 セイリング・ツリーときたね。でも、あの中に本当に「うちの子の鉄くず」が入っているのだろうか??? 周りの人たちの気持ちの揺れが伝わってきました(笑)。
そのあと、「クマさん、子どもたちと一緒に写真撮ってやってよ」の市長の一声で。
どこに自分のうちの子がいるのかわからないうちに、写真撮影は終了し、色々尋ねる広報やケーブルテレビの人たちに「あんたがた、聞いてばっかいねえでよ、少しは自分で考えろや」と言って、クマさんは去っていきました。
オブジェの全貌です。製作過程はクマさんのHPにありました。
ギャラリー内ではオープニング記念として「KUMA'S FACTORY」が開催されています。
私は、クマさんの作品を見るのは初めてでしたが・・予想をはるかに越えた繊細さを感じました。絵がないのが残念ですが、廃材の鉄と古い釘を組み合わせた、ひと目で動物だと分かる作品があったんです。尻尾の感じとか、前足をあげたところとか、頭に見立てた皮のサドルの傾きかげんとかで、小さな恐竜みたいにも見えるんですね。で、なんてタイトルなのかなあと思ったら「SKINNY MOON」。やられた~と思いました。