昨日に引き続き、カズコ・G・ストーンさんの作品ですが、「やなぎむら」ではなく、
おとなりの「しげみむら」のお話なんです。春、夏、秋、冬と、やなぎむらのお話が揃った
後も、虫・虫ワールドは広がっています。
『しげみむらおいしいむら』
カズコ・G・ストーン 作
私が最初に、虫たちが住む村のお話を知ったのは、こどものとも2000年5月号の、
この作品でした。すっごくちっちゃい絵、というのが第一印象。すんなり溶け込めたわけではなく、
読み返すほどに楽しさが増してきた、本でした。
しげみむらに住んでいるのは、こんな虫たちです。
こがねむしのブンブンさん、だんごむしのコロコロさん、
くさかげろうのミドリさん、おとしぶみのツツミさん、
はちのチークリファミリー(とうさん、かあさん、ふたごのチークリくん、
チークリちゃん)
そして、しげみむらは おいしいむらとも よばれていて、 みんな とても
おいしいものを つくるのです。
ブンブンさんがみつあめ。ミドリさんがミントのはっぱにたまった露を集めて、
はっかすい。チークリファミリーはかふんだんごを作ります。ここまでは、なんとなく順当ですね。
では、おとしぶみのツツミさんは、なに屋さんでしょう?その名も「つつみや」。
買ったものを、おみやげに包んでくれるお店です。
だんごむしのコロコロさんだって、『のはらのおかしや』には欠かせない存在です。
糸電話を使って、近くに住む虫たちに、開店のお知らせをするんですから!!
そして、ちゃんとデリバリーの注文だって受付てます。
頼まれたのはバースデーケーキ。配達先は、セッセかぞくのぼうやが待つやなぎむらです。
デリバリーの担当者は双子のチークリくんとチークリちゃんです。またしても、アクシデント
が起こりますが、二人はいもりのペタリさんの協力もあって、なんとかケーキを取り戻します。
もちろん、その先には、やなぎむらのみんなが待つHAPPYな場面が待っています。
足元に広がるちょっとしたしげみや、風にそよぐ木の下に、こんなスモールワールドが
展開されていたら、ほんとうに素敵だろうと思います。
でも、何度も何度も本を読んでいると、ちっちゃな虫の、ちっちゃな世界の出来事、とは
全然思っていない自分に気付き・・・。そう、私は登場人物のこと、「虫」って、もう思わなく
なってます。ただそこには、アイデアを駆使してお店屋さんをする楽しさとか、心をこめての
ケーキ作りとか、配達に行った二人(二匹)を待つ、家族の気持ちとか、そういうものがあり、
それらを「共有」する仲間が居る、といった感じでしょうか。