先週の金曜日(5月19日)は、今年度最初の読み聞かせの日でした。
その前の週の土曜日に、新しく加わった方を含めての顔合わせがあり、9月いっぱいまでの、ペアも決めました。が、1回目の1年生のクラスは、新ペアのOさんのお仕事の都合がつかず、私ひとりで読むことに‥。
新1年生のための選んだ本は、次の3冊です。
『きつねとねずみ』 ビアンキ 作 内田 莉莎子 訳
『たからさがし』 中川李枝子 文 大村百合子絵
『ぞうっていいなあ』 富安陽子 文 和歌山静子 絵
こどものとも年少版(通巻271号) 1999年10月号
小学生になったばかりの子供たちのために、どんな本を選ぼうかなと考えた時、最初に浮かんだのは、「おなじみの人や動物が出てくる話」でした。慣れない小学校生活の中で、緊張しているにちがいないから、せめて絵本を読んでいる時だけでも、「知ってる」「見たことある」とリラックスできるような‥そんな絵本がいいかなと思っていました。
でも、図書館で探しているうちに、1冊目の『きつねとねずみ』に気がつき、手にとり読んでみたら、短い話だけれど、とてもおもしろいのです。私自身も今回初めて読んだ本だったのですが、何度も小さい声で読み返しているうちに、大きい声で読みたくなってきて、決めてしまいました。
出だしはこんなふう。
きつねの
だんなが、
やってきた。
じろ。
じろ。
じろ。
なにか
いいこと
ないかなあ。
きつねはとってもはらぺこなんです、たぶん。でも、「きつねのだんな」ですから、きょろきょろ、せかせかするわけにはいきません。あたりをゆっくり見回します。そして、シャベルで穴を掘っているねずみを見つけ、尋ねます。
おい、
ねずみ。
ねずみ。
はなが どろんこ、
どうしたんだい?
問われたねずみは、逃げ出すわけでもなく、堂々と答えます。 じめんを ほったのさ。
こんなやり取りが、いくつか続き、結局きつねは すてきな ごちそうに にげられた。 となってお話は終わりです。さらっと読めば2分もかからないくらいの短いものです。
簡潔な文章のよさも、お話のおもしろさも、ゆっくり、「間」を十分にとって読んでこそ、生きてくる絵本なので、物語の本を読むより、かえって難しいくらいでした。
聞いていた側の1年生の反応は‥。
読み終わって本を閉じ、裏表紙、表紙と見せていくうちに、ああ、そういうお話だったんだと「じわじわ」理解が伝わっていっているかあと思いました。
※2冊目、3冊目の絵本は、次回につづく。