my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

究極のにほんご

2006-05-11 14:57:40 | 好きな本

 たった2つの音なのに、言ったわたしも、言われた誰かも、気持ちがすこしやさしくなって、くふっとしたり、きゅんとしたり・・・そんな極めつきのことばは、なんでしょう。なんだと思いますか?
                                                                                    
         すき(理論社)  
            
   『すき 谷川俊太郎詩集』
    
和田 誠  絵

 
 好き という日本語ほど、短いのにインパクトがあって、前向きかつ肯定的で、まっすぐなことばはないんじゃないかなと、この本の表紙をみただけで、思ってしまいました。

 書店では、黄色の帯が巻かれていて、「谷川さんから、子どもたちへのメッセージ。最新書き下ろし詩集です!! 詩のなかに、ぼくがいる。わたしがいる。」と書かれていました。
 谷川俊太郎さんの書き下ろしの詩で、和田誠さんの絵 の本なら、もう迷うことなんか全然ないです。ろくに中味も見ずに買ってしまいました。

 目次を開くと、1~5までの見出しがあって、「3 はみ出せこころ」に括られている5編の詩は、小学校の校歌として作られたようです。 たとえばこんなのがありますよ。

  かんがえるのって おもしろい
 
 かんがえるのって おもしろい
 どこかとおくへ いくみたい
 しらないけしきが みえてきて
 そらのあおさが ふかくなる
 このおかのうえ このきょうしつは
 みらいにむかって とんでいる 
(※校歌として歌う時は最後に学校の名前が入るそうです)

 
 
いいですね、ひらがなだけで、書かれた校歌。もう一度小学生になって、真っ白な気持ちで、勉強したくなっちゃいます(笑)。

 ひとつだけ、この本の中の詩を載せたいないなあと思って・・すごく迷っています。なんだかもったいなくって、全部読んでないせいもあるのですが。
 表題作の『すき』もいいし、最初の『きいている』も『いる』もとても好き。けれど、あえて「4 まり」の括りから選んでみました。

   はこ

 もしぼくがはこだったら
 だれにもなにもいれさせない
 からっぽがいいいつまでも

 でもちきゅうのうえにあるのだから
 からっぽはくうきでいっぱい
 においもおともかくれてる

 もしぼくがはこだったら
 ふたはあけておいてくれ
 みえないものをいれるために

 いっしょにいたいひとにあったら
 はこをきもちでいっぱいにする
 「すき」がはこからあふれだすまで

 

 
 
谷川俊太郎さんの話題の続きなんですが、ほぼ日刊イトイ新聞 のGW特別企画で「谷川俊太郎質問箱」というのをやっていました。あらかじめ寄せられた質問に、毎日一つづつ答えていく形式で、13この質問とその答えを読むことができます。

 質問12は、「自業自得で苦しい時、どうやってその苦しさに立ち向かっていったらいいのでしょう?」というものでしたが、こんなふうに答えていました。

 苦しいのも生きている味わいのひとつだから、
 苦しみのグルメになれるといいなあ。
 苦味や渋みや刺すような辛さに、
 かすかな甘みもまじっているその複雑な味を知ると、
 喜びの味も深まるからね。
 この質問には
 古今東西のさまざまな宗教が答えを用意してますが、
 それはあんまりあてにしないほうがいい。
 お金取られたりするからね。

 さすがですね、すごいです。なんかこの先、つらいことに遭遇しても、この言葉を思い出せば、なんとかやっていけるかも、と思ってしまいます。

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする