この本も、「詩人が贈る絵本」シリーズの中の1冊です。
『十月はハロウィーンの月』
ジョン・アップダイク
長田弘 訳
ナンシー・エクホーム・バーカート 絵
原題は『A CHILD'S CALENDAR』 子供時代の1年間の、詩のカレンダーです。
本を開いて‥左のページにその月の詩と小さいカット、右のページ全体に、その月に
とてもふさわしい絵、という構成になっています。
題名には「10月」が入っていますが、表紙に使われている絵は、JUNE 6月のものす。
でも、違和感を覚えないのは、パステルグリーンのチェックの地のせいでしょうか。
今は5月なので、そのページの詩を、ここに残しておきたいと思います。
May
5月だ。子どもたちは
外へ でてゆく。
上着なし で
キャンディー・ストアへ。
5月だ。 リンゴの木 が
枝いっぱいの 花を
空中に 浮かべている。
梨の木も。
5月だ。父親は
クワを とりだしてくる。
家の横の 土のところに
トマトを 植えるのだ。
5月だ。そのあとは
もう 何も しない。
たぶん 野球を 見る。
テレビを つけて。
月ごとの絵の中には、そこにしか吹いていない、その季節の風までもが
描きこまれています。
5月の風は緑の葉を揺らし、6月の風は川面をなで、8月の風はブランコに乗る
女の子の髪の中で遊び、12月の風は、うっすら積もった窓枠の雪の上に佇んでいます。