久しぶりに晴れて、青空を見ることができました。こういう日は、銀杏の葉が陽を受けて、キラキラ輝いているでしょうね。
『きんのことり』
あまんきみこ 作
荒井良二 絵
先週の金曜日、3年生のクラスでの「開き読み」で、↑の本を読みました。この季節に読むことができて、私的には満足しています。
でも、タイトルと表紙を見ただけでは、なんで「今にふさわしい」本なのか、わかりませんよね?(逆に内容を知っている方は、この時点でニヤッとしていると思いますが。)
赤いフードをかぶった女の子が印象的なので、この女の子が主人公なのかなあと、私も読む前は思っていました。けれど、主人公は右端の木の枝にとまっている「きたかぜのこ」なんです。
この本は「PHPとっておきのどうわ」というシリーズものの1冊で、絵本に比べ、お話もすこし長く、絵も小さいので、ほんとは「開き読み」にはあまり向かないかもしれません。でも、それを補ってもあまりある内容の素敵な本なのです。
ほんとうに、あまんきみこさんは、お話の名手です。
暮れていく秋の日、木枯らし、色づいた銀杏の葉‥
誰でも目にしているにちがいない「季節の端っこ」から、誰にも感じ取れないものを受けて、ひとつのストーリーへとまとめあげ、気持ちの中にすっぽりおさまる「かたち」にして、私たち読み手に届けてくれるのです。
もちろん、もちろん、荒井さんの絵もとても素敵です。
「きたかぜのこ」のかわいらしさ。暮れていく秋の空の微妙な色合い。潔く、深く優しい銀杏の木の、その表情‥。
荒井良二さん、きっと、このおはなしに引き込まれ、心底いいなあ、いい話だなあと思いながら、絵を描いたのだと思うのです。私にはわかります(へへ)。
これ以上、続きを書いていると、ストーリーのことに触れてしまいたくなるので、やめておきます。
もうひとり、重要な登場人物がいるのですが‥あ、裏表紙に居ましたね‥。
教室では、読み終わるのに10分近くかかりましたので、もう1冊は、お話を追わなくてもいいように、『もこもこもこ』を読みました。
最前列の女の子は、私がページをめくるのに手間取っていると、どんどん先を言っちゃうんです。「よく知ってるね」と言葉を挟むと、「だって、幼稚園の時に先生が何度も読んでくれたから」と。
きれいな絵に、谷川さんの意味不明で的確な?ことば。『きんのことり』の世界に集中していた教室の空気が、ふわっと軽くなったようでした。
『もこもこもこ』
谷川俊太郎 文 元永定正 絵