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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

きんのことり

2006-11-29 14:35:43 | ひらきよみ(読み聞かせ)

 久しぶりに晴れて、青空を見ることができました。こういう日は、銀杏の葉が陽を受けて、キラキラ輝いているでしょうね。

  きんのことり(PHP研究所)
   
   『きんのことり』
   あまんきみこ 作
     荒井良二 絵

 先週の金曜日、3年生のクラスでの「開き読み」で、↑の本を読みました。この季節に読むことができて、私的には満足しています。
 でも、タイトルと表紙を見ただけでは、なんで「今にふさわしい」本なのか、わかりませんよね?(逆に内容を知っている方は、この時点でニヤッとしていると思いますが。)

 赤いフードをかぶった女の子が印象的なので、この女の子が主人公なのかなあと、私も読む前は思っていました。けれど、主人公は右端の木の枝にとまっている「きたかぜのこ」なんです。

 
 この本は「PHPとっておきのどうわ」というシリーズものの1冊で、絵本に比べ、お話もすこし長く、絵も小さいので、ほんとは「開き読み」にはあまり向かないかもしれません。でも、それを補ってもあまりある内容の素敵な本なのです。

 ほんとうに、あまんきみこさんは、お話の名手です。

 暮れていく秋の日、木枯らし、色づいた銀杏の葉‥
 誰でも目にしているにちがいない「季節の端っこ」から、誰にも感じ取れないものを受けて、ひとつのストーリーへとまとめあげ、気持ちの中にすっぽりおさまる「かたち」にして、私たち読み手に届けてくれるのです。

 もちろん、もちろん、荒井さんの絵もとても素敵です。

 「きたかぜのこ」のかわいらしさ。暮れていく秋の空の微妙な色合い。潔く、深く優しい銀杏の木の、その表情‥。
 荒井良二さん、きっと、このおはなしに引き込まれ、心底いいなあ、いい話だなあと思いながら、絵を描いたのだと思うのです。私にはわかります(へへ)。


 これ以上、続きを書いていると、ストーリーのことに触れてしまいたくなるので、やめておきます。
 もうひとり、重要な登場人物がいるのですが‥あ、裏表紙に居ましたね‥。



 教室では、読み終わるのに10分近くかかりましたので、もう1冊は、お話を追わなくてもいいように、『もこもこもこ』を読みました。
 最前列の女の子は、私がページをめくるのに手間取っていると、どんどん先を言っちゃうんです。「よく知ってるね」と言葉を挟むと、「だって、幼稚園の時に先生が何度も読んでくれたから」と。

 きれいな絵に、谷川さんの意味不明で的確な?ことば。『きんのことり』の世界に集中していた教室の空気が、ふわっと軽くなったようでした。

 

 『もこもこもこ』
 谷川俊太郎 文  元永定正 絵







 

 

コメント (4)
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