prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」

2020年03月25日 | 映画

テレビスターと11歳の少年の「文通」というのを、2006年というスマートフォンは出てなくても携帯電話は登場してメールが使われるようになった時期に設定したのが巧妙なところ。

直接会ったことはないというチャイコフスキーに対するフォン・メック夫人ばりの異様なプラトニック?ぶりがかえって危ない感じがする。

ナタリー・ポートマンが母親役で男が絡まないというのも珍しいのではないか。
息子に手を焼いている感じがドノヴァンの母親スーザン・サランドンと共通する。

文通した子供が成長して女性ジャーナリストのインタビューを受けて話す内容が主な本筋になるわけで、「市民ケーン」みたいな構成になるのかと思うと、彼が知らないドノヴァンの親や男娼との関係などは特に誰かの視点を経ないでくっつけられてしまい、なんだか座りが良くない。

オープニングのアウトフォーカスの思いきった使い方に引き付けられ、その後のインタビューシーンなども背景のボケ味の生かし方が印象的。

エンドタイトルを見ていると大作映画というわけでもないのに部分的に65mmフィルムを使っているのに気付く。





ショートショート・シナリオ

2020年03月25日 | ホラーシナリオ
「なんで人を殺しちゃいけないの?」

子供「なんで人を殺しちゃいけないの?」
大人「じゃあ、おまえ殺されていいのかい」
子供「いいよ」
大人、子供の首を絞める。
子供、大人の腕をタップしてギブアップ。
T「今のは、結末1」
子供、絞め殺される。
T「今のは、結末2」
ギブアップしてぜいぜい息をついていた子供、反撃して首を絞め返す。


「写す」

電器量販屋の店先に来た男。
突然、商品のテレビ画面にその姿が写る。
ぎょっとしたようにのけぞる男。
見回すと、全てのテレビに姿が写っている。
落ち着かなくなり、足早に逃げだすが、どこに行っても写っている。
ふっと、その姿がテレビから消える。
と、同時に男も消える。


「釣り」

プールに釣り糸を垂らしている女がいる。
まわりはがらんとして、誰もいない。
離れた所で、不思議そうにそれを見ている男。
近寄ってくる。
男「釣れますか?」
女「釣れますよ」
釣り糸に当りがくる。
女、釣り上げる。
と、釣り糸の先に、男がかかっている。

「ハルマゲドン」

「善」と書かれた紙。
「悪」と書かれた紙。
2枚がくんずほぐれつ交錯する。
銃撃、爆撃の音、怒号。
ぐしゃ、と泥靴が2枚を一度に踏みつぶす。
地面でひしゃげた紙から去って行く足。
その向こうに、街が広がっている。