先日北近畿タンゴ鉄道(KTR)の特急列車「タンゴディスカバリー」号などに用いられる特急用気動車・KTR8000形に関して取り上げましたが、同社はこの車両を導入する以前にも、特急用気動車を導入しており、その車両が今日取り上げるKTR001形気動車です。
この車両は1990年のJR宮津線→KTR転換時に、KTRの看板車両として3両1編成が製造された特急用気動車で、その後もう1編成が増備されて今日に至っていますが、「タンゴエクスプローラー」と呼ばれる愛称を持つこの車両は、今も同名の特急列車を主体に活躍しており、活躍する2編成は塗装などに差異が存在している様です。
またKTR車両の車庫(宮福線車両を除く)が西舞鶴にある事から、現在特急列車の設定がない宮津線・西舞鶴~宮津間においても、普通・快速列車の一往復に充当されていますが、編成が3両という事や、運用上の都合などもあって、同じKTRの特急用車両でも、「タンゴディスカバリー」に比べると、普通・快速列車での充当は極めて少ない状況です。
(ちなみに同車使用の普通・快速列車は宮津発西舞鶴行き最終普通と、西舞鶴7時台発の宮津行き快速が該当し、この列車は時刻表上では「タンゴエクスプローラー」とは別列車扱いですが、列車はそのまま特急→普通・快速→特急となり、現地ではその旨も案内されています)
MAKIKYUが先月下旬に丹後半島を訪問した際には、「タンゴエクスプローラー」号への乗車機会こそなかったものの、西舞鶴→宮津間の快速列車でKTR001形の第2編成(後に増備された編成)に乗車する事ができ、その車内は特急普通車では一般的な背面テーブル付きの回転式リクライニングシートが並んでいるのですが、そのヘッドカバーには「タンゴディスカバリー」と同様に丹後ちりめんを用いるなど、沿線の地域性を打ち出しており、「乗った瞬間から丹後半島」と言える車両になっています。
そしてこの車両の大きな特徴と言えるハイデッカー構造の客席は、側面窓がカーブして屋根肩まで届く程で、その上天窓まで設けられているなど、展望性を重視した構造になっているのも特徴で、先頭車最前部からの展望性も考慮されているなど、KTRの花形に相応しい車両に仕上がっています。
ただこの様な構造故に荷物棚が客席上部に設置できず、空港アクセス列車の如く車両端部に設けられた荷物スペースに置く様になっている点は、使い勝手の面ではやや難があり、またハイデッカー構造故にバリアフリー対応の問題もあります。
とはいえKTR乗り入れ列車をはじめとする北近畿エリアのJR特急は、福知山で各方面列車が接続するネットワークの利便性を謳い、車両にその事を派手に宣伝したステッカーまで貼り付けていますが、特急にしてはさほど早くない上に、未だに国鉄から継承した旧式車両ばかりが走る有様ですので、グレードの面でもお世辞にも…という状況です。
そのため登場から15年以上の月日を経た今日においても、設備面や車両の独自性といった点では、やはり同車の特急車両である「タンゴディズカバリー」と共に、北近畿方面へ向かう特急列車の中では、気動車でありながらも突出した存在である事には変わりなく、日本三景の一つに数えられる天橋立をはじめ、KTR沿線やその周辺を訪問する機会があれば、是非乗車したい車両の一つです。
写真は丹後由良駅に停車中の快速列車充当中のKTR001形気動車と、その車内の様子です。