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遂に運行終了・セマウル号用PP動車~一時代を築いた花形も最後はあっけなく…

2013-01-15 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

MAKIKYUは何度も足を運んでいる韓国では、現在KTX(高速列車)がKORAIL(韓国鉄道)における花形列車として有名な存在で、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、ご存知の方も多いかと思いますし、中にはKTXに乗車した事がある方も居られるかと思います。

このKTXは2004年春に運行を開始し、その後も高速新線区間の延伸や運行区間延長、新タイプ車両(KTX-山川)登場などの発展を遂げて現在に至っています。

このKTXが開業する前の韓国鉄道は、最重要幹線の京釜線(ソウル~釜山)でも非電化区間が大半を占め、列車線の各列車はディーゼル機関車牽引による客車列車やディーゼル動車列車が大半、21世紀に入った2000年過ぎの釜山駅でも、電車や電気機関車の姿は皆無と言う状況でした。

MAKIKYUが初めて海外に足を伸ばしたのは2002年、その時も福岡から高速船(その頃はJR九州直営だった「BEETLE」)で釜山に入り、その後韓国内各地を周遊したものでしたが、その際に列車線で初めて乗車した列車が、当時の韓国鉄道庁(韓国国鉄→現KORAIL)の花形的存在だったセマウル号でした。


セマウル号は車両の老朽廃車などによって、運行本数は減少傾向にあるものの、現在でもKORAILの一部路線で運行しており、日本の特急グリーン車並みの非常に豪華な設備を誇りながらも、比較的割安な運賃で利用できる列車として支持されています。
(設備的には車両による差異は殆どないものの、座席モケット柄などに複数のバリエーションが存在しています)

このセマウル号の充当車両は専ら動力集中方式を採用(運行開始から間もない1980年代などは、現在は存在しないタイプのディーゼル動車も走っていた様です)し、KORAILの列車線ホームは高さが低い事から、乗降口もバスの如く何段かのステップが存在しているなど、動力分散方式の電車・気動車が主流を占め、高床ホーム採用でステップなしか、僅かなステップが存在する程度という某島国の列車とは様相が大きく異なります。

一般列車でも線路幅は標準軌(線路幅1435mm)で車両も一回り大柄、列車本数も比較的多く、現地入りしてからの乗車券購入も比較的容易であるなど、海外の鉄道としては最も手頃に乗車できる列車の一つでありながらも、異国の鉄道・大陸の鉄道ならではの雰囲気を存分に堪能できるのも有り難いものです。


また動力集中方式を採用しながらも、機関車牽引による客車列車だけでなく、前後に専用の動力車を配したディーゼル動車編成も存在し、こちらが最盛期における主流派を占めていたのも大きな特徴で、この車両はDHCやPP(プッシュプル)動車などと呼ばれています。

MAKIKYUが初めてセマウル号に乗車した際も、PP動車の方に当り、この車両は個人的には海外鉄デビューと言う意味でも記念すべき存在です。

その時には今はなき食堂車(現在はカフェ車に改装され、韓国の定期旅客列車での食堂車営業は廃止されています)でコムタンを注文したのも思い出話です。

その後もMAKIKYUは何度も韓国へ足を運び、KORAILを利用しているだけあって、このPP動車によるセマウル号には幾度も乗車しています。

エンジンの振動などでお世辞にも快適とは言い難い両端の流線型動力車端にある僅かな区画の客室(車端に座席5列=定員20名)にも2回程当たっていますが、余り芳しくないと感じたこの車両への乗車
(さすがにKTXの両端に連結されている動力車よりはマシですが…)も、今となっては懐かしの思い出話です。

しかしながら最近になってPP動車の運行は激減し、流線型の先頭車(動力車)ばかりが何両もソウルの龍山(Yeongsan)にある車両工場の側線片隅に留置されていたり、PP動車編成ながらも機関車に牽引され、動力車はエンジン非稼動状態で運行に充当されているといった異様な姿を目撃しており、そろそろPP動車の運行も…と感じていました。

そのためMAKIKYUが昨年夏に韓国へ足を運んだ際には、釜山~首都圏(ソウル市内)間を移動する際に、本数の多いKTXやムグンファ号ではなく、わざわざセマウル号を狙って乗車した程です。


そのお陰でこの時は、随分早い時間に釜山を出発(6時25分発)する羽目になり、写真は乗車したセマウル号車内の案内モニター表示です。

セマウル号PP動車はソウル五輪終了後~KTX開業前の1990年代~2000年代初頭における韓国鉄道の花形的存在で、この頃の京釜線では8両編成程度のPP動車によるセマウル号が昼間はほぼ毎時走っていました。

それも2編成併結による長編成運行も常態化しており、一部は途中駅で2方向に分割する列車も存在するなど、韓国鉄道の一時代を代表する存在と言っても過言ではありません。

これだけの車両ですので、某島国なら全面退役ともなれば大々的に告知され、お別れ記念イベントや多数のグッズ類発売などが催されるのは確実で、現に比較的近年引退した新幹線100系・300系などがその代表例です。

しかし特に告知もなく、今月セマウル号PP動車の運行はあっさりと運行終了を迎えてしまい、今ネット上では本国よりも外様と言える某島国の方が、この事で大きな話題になっているのでは…と感じる程です。

昨年わざわざセマウル号のPP動車充当列車を狙って乗車した価値は充分あったと感じていますが、あっけない幕切れとなる辺りは、僅か200km程度の玄界灘を隔てただけでも、鉄道を取り巻く状況が大きく異なる事を示していると言っても過言ではありません。

PP動車の運行が終了となっても、中間車は機関車に牽引される客車として運用する事も可能で、運用上それでも特段の問題が生じない事も、特別な告知なしであっさりと退役してしまった一因かもしれませんが、最後の餞に登場当時の装いを再現したリバイバル塗装車の運行などがあっても良かったのでは…と感じます。


MAKIKYUは登場当時の赤と青色の装いだった頃は知らない身ですが、現行塗装になる前の「中期色」とも言えるKTX開業前後の20世紀末期~21世紀初頭にかけての装いを纏ったセマウル号には何度も乗車しており、初めてのセマウル号PP動車乗車=海外鉄デビューもこの車両でした。

現行塗装への塗り替えが進む過渡期には、2色の車両が入り乱れた編成が多数見受けられ、また流線型のPP動車も製造メーカーの際などで、前面形状に複数の形態が存在していたのも大きな特徴でした。

中間の客車はまだ暫くの間活躍が見込まれるかと思いますが、PP動車の韓国鉄道における功績は大きく、今後鉄道博物館などへの殿堂入り(保存)などで、その功績を後世に伝えて行く機会が生まれる事を願いたいものです。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、セマウル号PP動車に乗車された事がある方も多数居られるかと思いますが、今月のあっけない引退劇だけに限らず、セマウル号PP動車充当列車に乗車された際の思い出話などありましたら、是非コメントもどうぞ。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
客車itx-セマウル号は… (MAKIKYU)
2018-05-12 16:34:49
Juno様こんにちは、返信遅くなり申し訳ございません。

KORAILの一時代を築いたセマウル号、遂に運行終了となってしまいましたが、最後まで残存した長項線は非電化線区だけあり、車両代替をどうするのか非常に気になっていました。

結果は客車itx-セマウル号への代替となりましたが、ムグンファ号客車の中で新しく程度の良い車両(リミット)を改装使用という事で、既存の電動車itx-セマウルに比べると見劣りが否めないのでは…と感じています。

個人的にはムグンファ号への置き換え、そして長項線ムグンファ号で2クラス制(特室設定)があれば…と感じたものですが、今後ムグンファ号が改装されてitx-セマウル号に格上げされる動きが相次ぐのか否かも気になる所です。
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セマウル号運行終了 (Juno)
2018-04-30 14:53:27
チャン・ハンソン (長項線)で運行していた客車型セマウル号が本日運行終了します
明日から既存のムグンファ号客車を改良したitxセマウルで運行します
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乗車回数をカウントされているとは… (MAKIKYU)
2013-01-20 11:38:11
しんきち様こんにちは。

こちらも韓国訪問暦は2002年以降、現在まで9回(但し長期滞在はなし)ありますが、地下鉄などを含めた鉄道全体の乗車回数はカウントしていませんので、800回以上の乗車にも関わらず、全て把握しているとはさすがです!

KORAILの列車線は一応この区間でこの列車に…という程度の把握はしており、PPセマウルは京釜・湖南・長項線で計6回(内2回は動力車)、客車セマウルは中央線で3回という状況、中央線方面以外での客車セマウルはそこそこ走っている割には、こちらは1度も当たった事がありません。

個人的には運賃が比較的安く、その割には設備もそこそこで、本数も多く車種も豊富であるなど、列車の旅を楽しむには絶好の存在と言えるムグンファの利用が圧倒的に多く、他には旧CDC~RDCも結構乗っている気がします。

釜山~首都圏間の移動でムグンファを利用した事も幾度も…という状況で、逆にKTXは2005年以降4回(釜山と東大邸からソウルまで各2回)、その内特別室と山川が各1回ずつと、便利な選択嗣ながらも高い割には面白みが…という事で乗車回数が少なく、各種別毎に意識して乗らないと、意外と乗っていないという事になるかもしれません。
(ちなみに客車旧統一は2回、ヌリロは2回、ITX-青春は1回です)

また長項線に関しては、比較的長閑な印象があるものの、ソウルからさほど遠くない割には、KTXの恩恵をあまり受けないエリアである上に、韓国では強大な勢力を持つ高速バスの勢力が小さく、鉄道が比較的優勢な印象を持っており、対ソウルではそこそこの乗車時間になり、ゆったりとした設備の本領を発揮できるなど、個人的には意外と悪くない舞台と感じています。

ただ現状はムグンファと所要時間面での格差が小さく、実質的に全車普通車(一般室)特急と全車グリーン車(特別室)特急が入り乱れている状況と言っても過言ではなく、たまたま乗車したい時間の列車がセマウルなら…という状況になっているかと思います。

PP動車廃止→固定編成化の必然性なしとなった現状では、各列車共にセマウル・ムグンファ客車混成でムグンファに統一し、セマウル客車を特室(セマウル一般室と大差ない運賃設定・場合によっては現セマウル運賃適用)にでもした方が、サービス面で良いのでは…と感じています。
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案外乗っていないものですね。 (しんきち)
2013-01-15 23:01:51
こんにちは。いつも有益なレポート感謝します。

私の記録を見てみますと、仕事による2度の長期滞在も含め計11回の訪韓で、韓国の鉄道(地下鉄も含む)には計835回乗っていますが、そのうちセマウルには6回乗っているだけですね^^(1988年1回 2000年1回 01年2回 05年1回 08年1回) さらに動車セマウルへの乗車はわずか3回です(01年、05年、08年各1回)

1988年11~12月の初訪韓時(下関~釜山間は往復関釜・釜関フェリー)に、初めてセマウルに乗りました。ソウルから釜山までの帰路、韓日共同切符での乗車でした。お陰で相当安く乗れましたね。(ちなみに、往路は当時毎時1本走っていた急行トンイル!でした。この往路が、私の韓国・そして海外初の一般鉄道乗車でした。)
しかし、この時のセマウルは、機関車牽引・客車の方でしたので、PP動車編成に初めて乗ったのは2001年3月になってからでした。

当時長項線沿線の忠北・洪城郡廣川邑に住んでいた友人に会いに行ったのですが、ムグンファに乗るつもりが、金浦着の飛行機が少し遅れてしまい、止む無く次発の動車セマウルに乗ることになりました。
その時一番思ったのは、栄光のセマウルも長項線のようなローカル線(失礼!)で走るようになったのかということでした。夜の乗車だったからかもしれませんが、セマウルらしからぬノンビリしたスピードで走る、ガラガラの車内でちょっと侘しい思いも抱きました。

その後05年2月に湖南線の木浦から天安まで、そして08年4月に再度長項線の廣川から永登浦まで動車セマウルに乗ったのが最後という次第です。

03年に8ヶ月ソウルに長期滞在した時、ちょうど新吉駅(私のHNの元になった駅ですね^^)のすぐ近くの、線路のすぐ横のアパートに住んでましたので、居ながらにして、動車セマウル始め各種列車・電車、当時試運転をしていたKTXも、嫌というほど見られたんですが(騒音が半端じゃなかった!です。しかし、半月と経たず慣れました^^)実際動車セマウルに乗車したのは、本当に数えるほどなんですね。

動車セマウルの以前の塗装についてですが、私の手許にある88年11月号時刻表の、表紙の次のページに鉄道庁の広告が載っています。そこに載っている写真の動車セマウルは、赤・青塗装ですから、当時はやはりその塗装だった(らしい)ということがわかります。
私自身ははっきりした記憶がないんですけどね。

長々と失礼しました。引き続きのレポートを楽しみにしています~。私も久しぶりに訪韓したい~^^
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