MAKIKYUが先月末に関西へ出向いた際には、先日取り上げた「たま電車」などが走る和歌山電鐵貴志川線に乗車した後、橋本へ向かい高野山を目指したものでした。
橋本~高野山方面へ向かう際には、公共交通機関を利用する場合、南海高野線に乗車して極楽橋駅を目指し、そこからケーブルカーに乗車して高野山駅へ向かい、更にバス専用道路を経由する南海りんかんバスに乗車する道程に限られます。
その内南海高野線の橋本~極楽橋間は、日本の鉄道では屈指の山岳線区で、最大50‰の急勾配や半径の小さな曲線が相次ぐ区間ですので、同区間に充当可能な車両は1両の車体長が17m程度の小柄な車両に限られ、更に山岳線区向けに特別装備を施した車両を限定充当している状況です。
その上沿線人口も限られた険しい山中を走りますので、近年は観光向けに走る特急「こうや」号を除くと、専ら同区間内のみを走る列車が大半を占めており、この運用には主に2300系と呼ばれる新型車両が充当されていますが、比較的近年まで大阪のなんばから極楽橋まで直通運転を行う急行系列車(通称大運転)がほぼ毎時設定されていました。
(今日でもなんば~極楽橋間を直通運転する快速急行が設定されていますが、運転本数は僅少です)
この大運転がほぼ毎時設定されていた時期でも、末期は専らステンレス製VVVFインバーター制御車の2000系(大運転の大幅削減以後は持て余し気味で、一時は休車車両が多数発生する有様でしたが、今日では一部が南海線普通車用に転用されています)が用いられていましたが、同系の増備が進んで数が揃うまでは他形式も充当されており、その一つが通称「角ズーム」と呼ばれる22000系と呼ばれる車両でした。
22000系は1970年前後に大運転用に導入され、他形式との併結も含めた多彩な編成を構成出来る様に、各編成が2両という短い編成となっており、専ら複数の編成を繋いで運用されていました。
しかし2000系の増備が進み、大運転の運用から外れた後は、一部が廃車になった他、形式を改めて支線用に転用される車両が相次ぎ、その一部は今でも支線区で活躍する姿が見られます。
また熊本電気鉄道に譲渡された車両や、貴志川線用に転用された後、和歌山電鐵移管と共に譲渡された車両の中には、大運転で用いられていた時とは大きく様変わりした車両が存在するなど、多彩な活躍ぶりが見られるのも大きな特徴で、これらの他社移籍組に比べると、南海に残存している車両は地味な印象が否めませんでした。
しかしながら2200系に形式を改め、支線区で活躍している車両の一編成は昨年、観光列車「天空」に改造され、2300系が導入されて2000系ですら影の薄い存在になっていた高野線山岳区間に、奇跡とも言える返り咲きを果たしており、2000系などと併結して山岳区間を走る姿は、大きな注目を浴びる存在となっています。
「天空」に改造された車両は、塗装を緑と赤の派手な装いに改めるだけでなく、観光列車向けに窓割を変えるなど、車体形状も大きく変化しているのが特徴で、同じ和歌山県内を走る「角ズーム」の中でも、塗装や内装を大きく変えながらも、車体形状は余り変化していない和歌山電鐵の各種改造車(南海時代の貴志川線転用改造で、車体形状はかなり変化していますが…)とは対照的です。
また天空は2両共に乗降用の扉が極楽橋方のみに限定されており、極楽橋方の車両はなんば方のドアを埋めているのですが、これによって元々2ドア車として製造された「角ズーム」は、熊本向けに改造されて3ドア車となった車両と合わせ、1・2・3ドア車の各種が勢揃いした事になります。
なんば方の車両はドアこそ2ドアのままながらも、なんば方は展望デッキとして、通常はドアを開けたまま運行(荒天時などに締切可能)しており、車両端ではなくドアを利用した展望デッキは、他に類を見ないユニークなものです。
車内に足を踏み入れると、こちらも観光列車だけあって大幅に改装されており、木目などを多用した内装に加え、段差を設けて展望性に考慮した座席や、極楽橋方先頭車の前面展望に配慮した座席など、かなり創意工夫したものとなっており、外観の派手さに劣らないものとなっています。
しかしながら拡大された窓に面する座席が、改造車の制約故に足元が狭くなっている辺りは、近年廃車となったJR東日本の201系電車を改造した展望電車「四季彩」に通ずるものがあり、ドア付近の座席配列なども如何にも改造車である事を感じてしまい、苦心の痕跡が感じられます。
それでも普通列車扱いとして走るのであれば、全く問題なしと言えるのですが、高野線山岳区間は特殊な山岳線区で、輸送人員も限られる実情を踏まえると普通運賃は比較的安価とはいえ、同区間には2300系という比較的ハイレベルな設備を誇る車両が普通列車として運行している事や、比較的至近を走る「たま電車」などの和歌山電鐵における各種改造車が普通運賃のみで乗車可能な事などを考えると、「天空」乗車には橋本~極楽橋間で500円もの特別料金を要するには、グレード的にはやや不充分なのでは…と感じたものでした。
またMAKIKYUが乗車した際は敢えて閑散期の乗車率が悪そうな列車を選んだ事もあって、ガラガラで空席へ移る事も出来たのですが、予約方法も事前に電話で予約し、グループ客に配慮してか当日にならないと座席が確定せず、希望を出す事も出来ないシステムも考え物(空席がある場合は橋本駅などで、当日乗車前に直接購入も可能ですが、極楽橋駅での購入が出来ない点は要注意です)で、車両自体はなかなか独創的でユニークな存在ながらも、運用面の工夫がもう少し欲しいと感じたものです。
高野山観光客向けに確実に座席を確保する事も、「天空」運転目的の一つと言う事を踏まえると、さすがに「天空」を繁忙期に一般の普通列車扱いで運転するのは難しいと思いますが、閑散期のみ普通運賃で乗車可能な扱いにするか、なんば~極楽橋間を「天空」と特急「りんかん」号を乗り継いだ場合に、特急「こうや」号乗り通しと同額程度になる様な料金設定(「天空」の特別料金を値下げするか、「りんかん」との乗継割引を設定)程度はあっても良いのでは…と感じたものでした。
私の勝手な印象ですが、ファンサービスが乏しい企業です南海は…(笑)一度 支線に追いやった車輌が再就職するのは異例です(笑)
将来の高野線最高速度引き上げるために、2200系と2000系が併結した時に100km/hしか出ないから2200系を支線に追いやったんです… その後2000系は7次車まで増備したのはいいものの、17m車体と2扉が幸いして、朝ラッシュ時の運行から撤退し、さらに急行の運行が難波~橋本間の中心となり、ズームカーの運用は橋本~極楽橋中心へとシフトしましたが2000系の保安設備の関係上ワンマン運行が出来ないために2300系が製造されました。南海は高野山が世界遺産に登録されたのを期に…とか言ってますが、実際にイタイ増備だったと思われます…
結局は現在も高野線は100km/h位で運行されてるんで、2200系の支線転出は無意味だと思いました。結局それによってムダな車輌増備を2回した事になりますが…
うだうだと文句ばかりで申し訳ありません
南海が2300系を増備した際、2000系は一部が長期離脱→その後南海線普通車に転用となっていますが、車両増備の計画性のなさを示してる様に感じられ、この有様は呆れた限りです。
しかも17m車で収容力がないにも関わらず4両で運用する様は、何を考えているのだろうと感じてしまうもので、こんな使い方をするよりもなんば~橋本間急行系列車(首都圏の感覚からすればボロ以外の何者でもない車両がゴロゴロしていますので…)などで活用する事が出来なかったものかと感じてしまいます。
また高野線観光列車(天空)を設定する際、角ズームを種車にすると聞いた時は、最初随分驚いたものですが、車両の寿命を考えると2000系を充当した方が…と思ったもので、大手私鉄では振るわない私鉄程考えてる事も…と感じてしまいます。
(こんな事をいったら、最近「特急政策の変更」と称し、経年10年未満の車両を廃車解体に追い込んだ中京圏の大手私鉄などはもっと酷いですが…)
高野線で通勤してる身な者で、17m2扉車が好きなんです(笑)
かつて朝ラッシュ時は極楽橋を4両で出て、橋本で4両増結して 河内長野で2両増結して、10両運転もありましたが…(折り返しは急行 高野山行で、河内長野で一気に6両開放してました)
やっぱり収容力は20m車に敵わなかったんで…
朝ラッシュ時から撤退しました(泣)
かつて朝ラッシュ時は4両だけでなく増結はしていたみたいですね 昔の高野線は急行=17m車と言う図式で車輌の役割を決めていたので… 20年位前に朝ラッシュ時に20m車の急行が走った事が驚かれた記事を雑誌で読んだ事があります…
17m車は1両当たりの収容力が劣るとはいえ、両数を繋いで20m級車両並みの長さにすれば、さほど収容力は劣らないはずです。
ホームなどで設備事情が許すならば20m強の車両8両の代わりに、17m級車両10両の編成で急行を走らせれば、ドア数が少なく座席数も確保できるメリット(運転台付き車両が多いと、なかなか上手くいきませんが…)を生かし、急行などで積極的に登板させて欲しいものです。
また個人的には、2000系は比較的良い音を奏で内装も高級、その上各車両が電動車と良いことずくめの車両ですので、なるべく選んで乗りたい車両の一つです。
ただ南海線普通車の4両激混みは勘弁して欲しいもので、中型車運用は6両にするなどの運用改善(普通車で大型6両も結構走っていますので…)にも期待したいもので、使い方を工夫すれば充分活用できるだけに、今後の改善に期待したいものです。
天空は元ズームカーで高野線から退いたのに、
運用を開始して、大改造して新車のような車両
で、ラピートなどより寿命が長いこと
運用されるのでしょうね。
天空に改造された角ズームですが、古い車両であるが故に、もし実績が振るわなければ数年で…という事で、敢えて種車に抜擢された可能性も考えられるかと思います。
最初から長く走らせるつもりならば、車齢はさほど古くない割には大量に持て余し、長期休車の後に、導入当初は想定外だったと思われる南海線普通車に転用される車両も大量発生した2000系の方が妥当なはずです。
ただ様子見で敢えて古い車両を観光列車用に改造して走らせ、大ヒットして予想外の緊急追加改造を行ったJR九州キハ40系列のいさぶろう・しんぺいの様な事例もありますので、天空も好評が続いて長く走り続ける事に期待したいものです。