先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた東海汽船・橘丸ですが、今日はその続編で船内の様子に関して取り上げたいと思います。
橘丸は就航からまもない新造船という事もあり、船内が非常に綺麗なのは当然としても、それ以外にデザインに関与した人物のサインや展示物などが船内に多数展示されている事や、木目を多用した船室内部など、外観やメカニズム以外にも様々な特徴が見受けられ、船内も個性の強い客船と感じたものでした。
最も割安で一般的な客室とも言えるカーペット敷きの2等船室も、竹芝発では夜行運航となる事もあってか、最近他社長距離フェリーの一部でも取り入れられている「頭部分の仕切り」が設けられ、区画境が色分けされて各自の区分が明確化されているのが大きな特徴となっています。
船室自体も何十人もの乗客が相席となる「大部屋」ではなく、10数人程度の「中部屋」といった雰囲気の船室が幾つも設けられた形態となり、100円リターン式ロッカーが各自に用意されるなど、既存の「さるびあ丸」のカーペット室(2等和室)とは随分様相が変化しています。
船室の色彩も3通り存在し、カーペットや壁面の色彩に差異が見受けられるのも大きな特徴で、インフォメーション近くにはバリアフリー船室も存在しています。
バリアフリー船室は通常閉鎖されているのですが、MAKIKYUの乗船時には船員の方の好意で見学する事もでき、こちらは大人数で相部屋となる事が少ない事に加え、船室の性質も影響してか、頭部分の仕切りや100円リターン式ロッカーなどが設けられていないのも大きな特徴です。
しかしカーペット室の設備向上が図られた反面、既存大型客船のさるびあ丸に設けられていた2等の椅子席(JR特急グリーン車並みのリクライニングシート)は、片道夜行となる航路の性質上、余り評判が芳しくなかった様で、カーペット室の需要が高い事もあってか、廃止されていますので、この点は評価が分かれる所かと思います。
(個人的には昼行で海況が穏やかな状況であれば、リクライニングシートも悪くないと感じていますので、選択肢が一つ減ってしまったのは少々残念な気もするのですが…)
また橘丸は既存大型客船のさるびあ丸と同様に、2等室以外にも幾つもの上級客室が存在しており、MAKIKYUが乗船した際には、夜行となる往路は少々奮発して「特2等」を利用したのですが、こちらは2段ベッドがズラリと並んでおり、夜を越す航海で空席があれば個人的には是非…と感じたものです。
ただ東海汽船の八丈島航路では、竹芝~八丈島の片道でも2等運賃に加え、特2等へのランクアップでも4000円以上の追加出費を要します。
これでもJR寝台列車などに比べればまだ割安とは言えども、このレベルの設備へランクアップした場合に+2000円程度の航路が多い国内他社に比べると、やや割高感を感じたのも事実で、多客が見込まれる夏季シーズンは別としても、それ以外の時期には割引料金設定があっても…と感じたものでした。
(東海汽船の場合は人口の少ない離島へ向かう事に加え、他社に比べて割引制度が多く、実質価格が若干下がる事も影響しているかもしれませんが…)
船室以外の共用スペースに関しては、乗船時間の関係もあってか、長距離フェリー程充実したレベルではなく、比較的小規模なラウンジや食堂が設けられている程度ですが、ラウンジの椅子は特徴的な船体塗装と同色になっており、壁面には先代橘丸にまつわるエピソードが記されているのも一見の価値ありと感じたものです。
食堂も40席程度とさほど大きなものではなく、軽食コーナーと言った趣きで、営業時間も限られたものになっていますが、近年では長距離フェリーでも食堂営業なし・自動販売機対応(それでも近年続々と廃止されたJRブルトレに比べれば遥かに上等ですが…)に比べれば、これでも食堂営業があるだけ…と感じます。
離島航路の船内という制約故に、メニューも比較的限られたもの(MAKIKYUの利用時には、決して多くないメニューの中でも、食券販売機には売り切れランプ点灯が幾つもありました)になっており、市価に比べると割高感が否めない状況で、就航地ならではのグルメが見受けられないのも少々残念と感じたものですが、乗船記念も兼ねて一度利用したものでした。
(他社船のご当地グルメとしては、佐渡汽船(おおさど丸・現在は退役)船内のタレカツ丼や、マリックスライン(クイーンコーラル8)の鶏飯などを注文した事があり、うどん・そばを明日葉入りにするなどの特色を打ち出しても良さそうな気がします)
ちなみにMAKIKYUが注文したのは「骨付きインドカリー」で、骨付き肉が添えられているだけでなく、カレー自体もインドカレーらしい酸味が感じられ、骨付き肉は骨まで食べられるなど、味の方はまずまずと感じたものでした。
今月初乗船となった「橘丸」は、独創的な装いだけに留まらず、船自体の快適性も既存大型客船の「さるびあ丸」に比べて大幅に向上した感があり、両者を乗り比べてみるのも面白いかと思いますが、航路の性質も影響してか様々な価格がやや高めと感じるのと、MAKIKYUの乗船時は海況が芳しくなく、大時化で船体が大きく揺れる航海となったのは惜しいと感じたものでした。
今月初訪問となった八丈島では、町営バスも運行しており、島内で乗車する機会がありましたので、こちらも近日中に追って取り上げたいと思います。