先月MAKIKYUが初めて足を運んだ長崎県の離島・対馬は、対馬へのアクセスとして船をイメージする方は多いかと思いますが、対馬島内の足としても旅客航路が運航されています。
この旅客航路が対馬市営渡海船「ニューとよたま」で、空港にも近い旧美津島町・雞知地区の樽ヶ浜~旧豊玉町・仁位の間を、1日2往復運航しています。
雞知地区~仁位の間を移動するだけであれば、対馬交通の路線バスの方が運行本数も多く、樽ヶ浜~仁位の全区間を乗り通すのは、浅茅湾の観光遊覧を目的とした観光客程度かと思います。
(一応普通運賃ならば、対馬交通の路線バス利用よりも割安で、写真は全区間片道の乗船券(下船時に回収)です)
しかしながら途中旧豊玉町内の入り江にある小集落にも寄港し、これらの集落の中には市営渡海船が地域で唯一の公共交通機関となっていたり、路線バス利用では著しく不便な地域もありますので、これらの地域では重要な交通手段にもなっています。
(樽ヶ浜~加志々を移動する場合、渡海船だと30分もかからずに移動できますが、路線バスだと仁位乗り継ぎでかなりの大回り、運賃も
割高になる上に、加志々を発着する路線バスの運行本数も限られ、バスで両者を移動するのはかなり大変です)
MAKIKYUが乗船した際には、観光目的で全区間を乗り通したMAKIKYUを除くと、後は樽ヶ浜から旧豊玉町内の途中寄港地まで乗船した地元住民と見受けられる乗客だけと言う状況でした。
公共交通機関を利用して厳原や美津島など対馬南部から、中部の豊玉方面へ足を伸ばす場合、交通手段自体が限られる対馬で、選択手段が増えるのは有難い事で、運航本数が限られますので利用し易いとは言い難いものの、うまく運航時間とあうようなら利用価値はあると思います。
渡海船では対馬を南北に分断している万関橋などを眺める事はできないものの、路線バスやレンタカーなどの道路交通とは異なるルートを航行し、海上から島を眺める事ができるのも魅力で、途中では写真の様な小集落に設けられた小さな船着場を幾つも経由します。
(便によっては一部寄港地を抜港したダイヤになっています)
仁位入港前(或いは出航後)には、海上から和多都美(Watazumi)神社の鳥居を見る事もでき、これも渡海船ならではの光景かと思います。
ちなみに渡海船「ニューとよたま」は19t・路線バス1台分よりは少々客席スペースが多い程度の船で、大きさは瀬戸内海の短距離航路などでよく用いられている小型客船などと同等の船ですが、椅子席の他にカーペットではなく畳を敷いた区画が設けられているのも特徴です。
ローカルな生活航路の色彩が強い航路ながらも、異国に近く、近年外国人観光客の訪問も多い国境の島を運航する船としては、畳敷きというのは意外と評価されるのでは…とも感じたものです。
対馬市HPの渡海船に関する紹介項目でも、運航時刻や運賃などと共に、渡海船からの景色に関しては大々的にPRしているものの、船内設備に関しては余りPRされていませんので、今後もっとPRに努め、外国人観光客の取り込みなどを図っても…と感じたものでした。
他交通機関との結節利便性という観点では、樽ヶ浜の港周辺は、路線バスの経由便(これだと乗り場のすぐ前までダイレクトに到達できます)も限られるものの、縦貫線などの便が発着する「樽ヶ浜入口」バス停からでも徒歩10分はかからず、雞知地区では土地柄も踏まえるとまずまずかと思います。
しかしながら仁位の船着場は、対馬交通車庫や旧豊玉町役場などとは結構離れており、船着場を発着する路線バスは存在しない上に、10分程歩いたバス通りまで出ても、この通りを運行する路線バスの運行はかなり限られます。
徒歩で船着場~豊玉営業所(仁位バス停)間を移動するとなると、25分以上を要しますので、仁位方での他交通機関との結節利便性も少々難ありと感じ、仁位発着で渡海船の出入港時刻に近いバス便を、船着場発着に出来ないのだろうか…とも感じたものでした。
対馬島内の公共交通機関は、厳原市内や厳原~美津島南部(雞知・空港など)を除くと、どれもかなり本数が限られますので、実質的には通学時間帯などに合わせた運行などで調整は難しいのかもしれませんが、各交通機関・路線の運行時刻などを調整する事で、現状の運行本数程度でも実質的な利便性向上を図る事も…と感じたものでした。
(比田勝→仁位も接続時間などが開くものの、縦貫線が走る西側ではなく東側を通るルートでも、小鹿乗継で移動可能なダイヤもあります
ので、現状でも仁位で1泊すれば、公共交通機関利用でも縦貫線とは別ルートで比田勝→小鹿→仁位→樽ヶ浜と移動する事も可能です)