MAKIKYUが今月上旬に紀伊半島を訪れた際には、2日間で紀勢本線の大半の区間を乗り通す旅程だったのですが、新宮以西のJR西日本管轄となる電化区間では、105系と呼ばれる通勤型電車に乗車する機会がありました。
MAKIKYUが紀伊半島を訪れたのは、現在は廃止されている通称「新宮夜行」が走っていた時以来という有様ですので、紀勢本線で105系に乗車するのは先日が初めてだったのですが、今日はこの紀伊半島南部で活躍する105系電車に関して取り上げたいと思います。
105系は国鉄標準仕様の通勤型電車・103系を短編成でも運用可能に設計変更した電車(近年は103系も改造で2両編成という短編成が存在しているのですが…)で、国鉄末期の1980年代前半に登場しており、現在JRグループではJR西日本のみに存在する形式となっています。
当初から105系として製造された車両と、103系から編入改造された車両の2種類が存在しており、前者は3扉車であるのに対し、後者は種車の構造を生かした4扉車となっているのも大きな特徴で、両者が混在する地区では、3扉車と4扉車を混成した編成を見かける事もあります。
その中でも紀勢本線南部で活躍する105系は、基本的に当初から105系として製造された3扉車が充当(検査等での車両不足時などは、和歌山線などで運用されている4扉車が充当される事もある様です)されており、紀伊田辺~新宮間の普通列車は殆どがこの車両という程の状況(朝の周参見発着列車に例外が存在します)になっています。
この紀伊半島南部で運用される105系は、以前福塩線などで運用されていた車両で、和歌山地区への転用にあたっては、黄色に青帯の塗装から、如何にも海沿いの区間を走る列車である事をPRするかの様なブルーの装いに改められており、運行線区の特性を考慮してワンマン運転にも対応しています。
また以前紀伊半島南部の普通列車で、トイレなし車両の運行が問題化した事もあって、トイレ取り付け改造も施され、その上リニューアル工事も施工されていますので、内外の見栄えも随分向上しています。
しかしながら所詮通勤型電車で、車内もオールロングシート、その上冷房装置もJR化後に改造で取り付けられた簡易型(それでも以前設置されていた車端部設置型に比べればマシですが…)で、冷房の効き目も吹出口付近以外はイマイチと感じたものです。
その上JR西日本が近年アーバンネットワークで走らせている通勤型車両などとは異なり、駅間が短く低速での運行を余儀なくされる低規格路線に合わせて設計された電車ですので、比較的高速で走行すると走行音も非常にうるさく、軌道状態も決して良いとは言い難い区間(紀勢本線は管轄会社の関係もあってか、非電化区間の方が軌道状態が良好に感じた程です)を走行していますので、見た目は決して悪くない車両とはいえ、居住性はお世辞にも快適とは言い難いのが現実です。
それでも20~30分程度の乗車であれば充分許容範囲と言えますが、紀勢本線の紀伊田辺~新宮間は通して乗ると2時間半~3時間と結構長い上に、特急も含めた各列車の運行も決して多いとは言えず、時間帯によっては普通列車利用以外の選択肢がない状況ですので、否応なしにこの車両に長時間乗車を強いられる事もあります。
MAKIKYUは割安な青春18きっぷ利用(それも小田原から使い始めていますので、新宮に到達して105系に乗車する前に元を取っていますが…)でしたので、青春18きっぷで首都圏から紀伊勝浦や串本辺りまで到達できる事を考えれば文句を言うのも…という所ですが、普通乗車券を購入して新宮~紀伊田辺間を乗り通すともなれば、大いに問題ありと言えます。
運行区間は海沿いの風光明媚な区間で乗り応え充分なだけに、普通列車での長時間乗車でも、もう少し快適に過ごせる車両の導入に期待したいもので、同社非電化区間の普通列車でよく用いられる折戸の軽快気動車よりはマシとは言え、出来ることならこのエリアに他形式車両を導入してこの車両の他地区転用→103系改造の105系老朽車淘汰でも…と感じたものです。
写真は紀伊半島南部で用いられる105系リニューアル車とその車内、通勤型電車からの眺めとは言い難い車窓のワンシーンです。
紀伊半島は観光資源が豊富にありますし、普通列車を利用する観光客も少なくはないと思いますが、これではあまりに貧弱で、せめて最近山陰本線に投入されたワンマン対応の223系位導入できないのかなとも思いますね。
ところで、この105系、いつ見てもデビュー当時の飯田線119系に見えてしまいます(最近、119系に原色が復活しましたが)。
紀伊半島は首都圏からは行き難く、新宮夜行廃止後は尚更ですので、なかなか行く機会がなく、先日久々の訪問となったのですが、中京圏に居られるそちらでもなかなか訪問の機会がないとは…
また紀勢本線電化区間の普通列車も、223系レベルの車両を入れてしまうと、国鉄型特急車との居住性逆転となってしまい、特急の利用率が低迷する可能性もありますので、新車導入は厳しいかと思います。
ただ御坊~紀伊田辺間で乗車した113系ワンマン改造車(後日取り上げたいと思っています)は、輸送力的にはっ同等の車両ながら、居住性は105系より遥かに優れており、この車両を増備出来ないものかと感じています。
あと紀伊半島南部で活躍する105系が、119系の登場当時の印象と重なってしまうのは同感で、知人に写真を見せた際にも「飯田線?」と聞かれた程です。
終焉近い119系も105系とほぼ同等の車両で、余り居住性の良い車両ではありませんが、ボックス席が設けられているなど、多少は長距離乗車を考慮した設計になっていますので、廃車解体する位ならJR西に売却し、紀伊半島で使うのも悪くないかもしれませんね。
(105系リニューアル車転用→103系改造の老朽105系取り替えも出来ますので…)
新宮まで223系221系で直通してほしいところですね。
現在浜松からアクセスしている管理人MAKIKYUです。
>Unknown様
はじめまして。
阪和線内だけでなく、紀勢本線でも和歌山方には221系などで運転される列車が何本もありますので、紀伊田辺以南はそれに比べると格段に見劣りするのは否めませんね。
同区間の需要を考えると、長編成での普通列車運行も望みは薄いですが、現在周参見まで乗り入れる機会がある113系(日によっては転換式クロスシートの車両も)位は新宮まで行っても…という気がします。
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>6994様
路線の状況や乗車時間を考えると、ロングシート通勤型の105系は紀伊半島南部のローカル輸送には不適と言わざるを得ないのは同感ですが、和歌山線などで用いられる4ドア車に当たるとは、珍しさと言う点では当りですね。
こちらは古い車両で、その上座席数も少ないなど、歓迎できない点もありますが、冷房装置は簡易型ではないそこそこ効き目のあるモノを搭載した車両が大半を占めていますので、この事は数少ないメリットでしょうか?
(4ドア車で数少ない分散型冷房装置の車両であれば、何の有難みもないですね)
また岡山地区213系とのトレードは、車両の設備やスペックに加え、ステンレス車体で海沿いを走る路線の塩害対策にも有効ですので、こちらも是非期待したいものです。
紀勢本線は台風の影響で不通となっておりますが、カネ掛けて復旧させても南海地震等新たな自然災害、そして過疎化による更なります
沿線人口減で赤字が拡大するのは分かりきってるんだから道路整備した上でバス転換を考えた方が良いでしょう。
そもそも和歌山は車社会で鉄道を使う文化はないですし。
和歌山レベルの県で旧国鉄線で廃止・3セク転換になった支線が存在しなかったのがその証拠です。(和歌山市近辺の連絡線とかの突っ込みはなしですね)
初めから鉄道が発達してなかったからこそ「県内JR線全線電化」
全線未電化の対岸の徳島の方が遥かにマシでしょう。
紀伊半島水害で被災した紀勢本線も、最近になって不通区間の復旧見込みが発表され、東日本大震災による津波被害等で未だに復旧見込みすら立たない路線に比べれば、被害規模は決して小さくないとはいえ、まだマシと言う気がします。
また紀伊半島南部では、地域内輸送としては自家用車のウエイトがかなり高く、公共交通は振るいませんが、高速道路の整備も遅れているなど、交通関連は全体的に立ち遅れている状況です。
そのため大阪などの大都市への速達交通確保という観点からも、採算性の面では芳しくないとはいえ、JR特急の運行は必須かと思います。
ただ紀勢本線の和歌山県内でそこそこの高速化が行われた時期がもう少し遅ければ、四国の土讃線の様に振子式気動車による特急運行を行い、電化はしなくても良かったかもしれません。
とはいえ和歌山県の場合は大阪府と隣接しており、当然陸続きで線路が繋がっていますので、この事も考えると大阪方面への交通手段は専ら淡路島経由の高速バスで、鉄道が専ら四国内移動をターゲットとしている徳島とは事情が異なりますが…