JR西日本では昨日付けで、今年春まで名古屋・米原~金沢・富山方面で今年春まで運行しており、ダイヤ改正後は他車両の転用で運用離脱となった「しらさぎ」号用683系の用途変更を正式に発表、既にこのニュースリリースをご覧になった方も居られるかと思います。
(写真は「しらさぎ」号に充当されていた頃の683系電車です)
北陸方面を運行する在来線特急車の一部を、北陸新幹線開業後に他地区へ転用するという話は、新幹線開業以前から持ち上がっており、大阪市内発着の一部在来線特急に、国鉄から継承した経年車も含まれています。
そのため683系を転用し、経年特急車の代替を行う事自体は順当な話で、特に驚くことではないと感じています。
大阪市内発着の在来線特急で、経年車が多数充当されているのは、福知山線など北近畿方面へ向かう、「北近畿ビッグXネットワーク」(大阪ではなく京都発着も含む)と呼ばれる系統の各列車と、紀伊半島方面へ向かう「くろしお」などに2分されます。
特に「北近畿ビッグXネットワーク」を運行する特急列車は、JR車両に限れば近年まで古参の国鉄継承車のみで運行しているという状況で、同区間を走る一部普通列車(写真)よりも見劣りする程でした。
近年では一部列車に新型車両・287系(左側写真)が導入され、以前に比べると随分改善され、普通列車との「下克上」状態も改善されたのでは…と感じますが、それでも一部に国鉄継承車の381系(右側写真)が残存する状況です。
「くろしお」に関しても、現在287系と381系が併用されている状況で、塗装こそ異なりますが、充当形式だけを見ると「北近畿ビッグXネットワーク」と大差ない状況になっています。
北陸方面から381系よりもずっと程度の良い683系を転用するとなると、この機会に現行287系をどちらか一方へ集中配属し、転用車をもう一方へ集中配属するのも…と感じます。
しかしJR西日本が発表した683系転用計画の概要を見ると、北近畿方面と紀伊半島方面の双方に配置され、381系を淘汰代替する
事になっており、両地区で複数形式を併用する状況は相変わらず…という事になります。
(紀伊半島方面は他に「オーシャンアロー」で活躍する、少数派の283系電車も存在します)
鉄道特にJR車両に関する知識をお持ちの方であれば、683系は形式を見ただけで交直両用車である事が容易に推測でき、今回683系が転用される各路線は全て直流電化区間ですので、直流専用車への改造→形式番号変更も合わせて実施となります。
(近年の交直両用車→直流区間専用車への転用でも、「スワローあかぎ」などに充当されるJR東日本651系の様に、番台区分変更のみで形式番号変更を伴わない事例も存在します)
ちなみにJR西日本では、過去に交直両用の特急型・485系電車を、「北近畿ビッグXネットワーク」へ転用する際に、直流専用車へ改造して既存の直流特急車183系の別番台とした事例や、逆に直流専用の近郊型車両・113系電車を交直両用車へ改造し、既存の交直両用近郊型車・415系の別番台とした前例があります。
前者の中には、同時期に福知山地区の普通列車で活躍していた車両程ではないものの、中間車を先頭車化改造したゲテモノ車両が含まれていたのも大きな特徴で、この車両も北陸特急からの転用車でしたので、「歴史は繰り返す」と感じます。
JR西日本における183系や415系への改造前例を踏襲するとすれば、287系の別番台へ改番するのが順当と感じますが、今回は新形式「289系」となるのが大きな特徴で、この新形式登場は少々予想外で驚いたものでした。
今後「北近畿ビッグXネットワーク」と紀伊半島方面の特急は、「オーシャンアロー」で活躍する少数派の283系を除くと、両地区共に287系と289系の2形式が併用される状況となります。
287系自体が683系をベースに、若干の設計変更を行った車両ですので、両者のサービスレベルはほぼ同等、同一料金を支払っても列車によって大きな設備格差が存在する現状は、今後大きく改善される事になります。
その気になれば、両形式を併結しての運行も不可能ではない気がしますが、今後両形式を併結しての運用が出現するのか否かも気になる所です。
またJR西日本では今回車両代替となる「北近畿ビッグXネットワーク」と紀伊半島方面以外にも、岡山~出雲市間を結ぶ伯備線経由の特急「やくも」号でも381系が活躍、こちらは近年になって大規模リニューアルも施されていますので、まだ暫くの活躍が期待できる気がします。
「くろしお」は振り子式車両から、振り子式や車体傾斜式などの曲線の高速通過対応を行っていない車両への代替となりますので、ダイヤへの影響(所要時分増大)が発生するのか否かも気になる所です。
JR西日本で最近になって新車導入の話題が続くのは、大規模更新で既存車両の延命を続けるにも限界がある事に加え、震災以後の節電必須な世相も後押ししている気がします。
電車の代替はかなり進んできた感がありますが、気動車に関しては主力の40系列が延命工事などを施され、まだまだ活躍しそうな雰囲気ですし、軽快気動車キハ120形もそろそろ代替か更新を考えなければいけない時期かと思いますので、一般型気動車の動向も気になります。
国鉄型の残存率に関しても、岡山も結構高い印象がありますが、マリンライナー用223系の導入などもありますので、広島から乗り入れる車両とキハ120形以外の一般車両は国鉄型ばかりの山口に比べると…という感もあり、両者は似た様な状況かと思います。
またJR西日本は経年車をアーバンネットワーク→中国地方へ転属させる事がしばしばですが、現在アーバンネットワークで多数が活躍しているJR化以後に導入された221系や223系、207系などの中堅格的存在の車両に関しても、今後新形式導入→中国地方転属という動きが生じる事がないのかも気になる所です。
特急もやくも号用の381系は、かなり大規模なリニューアルを施されている上に、振り子式車両と言う特殊性もあり、まだ暫くの活躍が見込まれると重いますが、長期使用を想定するなら主回路更新などの動きが出ても不思議ではなく、今後の動向が気になりますね。
確かに『しらさぎ』に683系が導入されてた頃は素晴らしく思いましたが、こないだ乗った『しらさぎ』は『はくたか』お下がりの681系であり、うっすらと「whitewing」のロゴ跡が見えて、『しらさぎ』は遂に格が落ちたものと感じました。
素朴な疑問ですが、他線区に転用させるのが何故、683系なのでしょうか?681系でも良さそうに思いますが…!
しらさぎの681系化は、以前使用していたしらさぎ仕様の683系が塗装だけでなく、基本編成の両数(5両)や、ドア位置などが他の681・683系と異なり、北陸方面特急の車種統一による運用性向上と、6両編成増解結なしでの運行による輸送力適正化を目論んだ結果かと思います。
また681系と683系は互換性のある車両ですので、681系充当自体は悪くない気もしますが、681系の一部だけをしらさぎ仕様に塗装変更して充当している事で、印象が悪くなっている気がします。
本来ならサンダーバード基本編成と運用共通化し、681・683系を共通運用した方が…と思いますが、681系は今後リニューアルも発表されており、リニューアルされた車両が充当されるようになれば、また印象は変わりそうな気もします。
現状であれば、誤乗対策を除けばしらさぎだけ別編成を用いるメリットは特にないと思いますので…