富士重工業が路線バス車体製造から撤退して結構な月日が経過し、排ガス規制による古参車の車検更新が出来ない大都市圏特定地域では、同社製ボディのバス自体目にする機会が減っていますが、その中でもモノコック車体末期~スケルトン車体初期の大型路線車(5Eボディ)は製造から概ね25年以上が経過した今日、大都市圏はおろか地方へ足を運んでも、姿を見る機会は限られる存在になっています。
大都市圏の排ガス規制特定地域に生活拠点を置くともなれば、日常生活ではまず乗る機会のない車両になっていますが、各メーカー共に古参車の多い沖縄ではまだ活躍しています。
沖縄本島の大手4社中、専ら三菱車を用いている沖縄バスや、日野車を用いている東陽バスでは、共に純正仕様が殆どですので、富士重工製ボディの路線車自体を見る機会がない状況です。
(過去には僅かに中古車の導入があった様ですが…)
とはいえ第一交通産業傘下の2社(琉球バス交通・那覇バス)は、元々が富士重工製車体のバスが多数存在する日産ディーゼル(琉球バス)やいすず(那覇交通)の車両を多数導入していた事業者だけあり、MAKIKYUが4月に沖縄本島を訪問した際には、何台かの車両が活躍する姿を見る事が出来ました。
那覇バスで活躍している車両は、如何にも都市型路線車と言う雰囲気の中4枚扉で、一般路線ではなく特定輸送(貸切)に充当されている姿を、那覇空港で目撃する事が出来ましたが、首都圏大手事業者からの移籍車両で、左側後部にルーバーが存在する事で判別できる方も多いかと思いますが、那覇バスでは多数派のいすず車です。
同種車両は移籍前の大手事業者と、高速バス共同運行を行っている秋田中央交通などに多数移籍事例があり、MAKIKYUが秋田中央交通の路線バスを利用した際には、何度かこの富士5Eボディの中4枚扉いすず車に乗車した事がありますが、同社でも現在は…という状況です。
同じ秋田県内で路線バスを運行し、移籍前の大手事業者と良く似た装いのバスが活躍している事でも知られる羽後交通でも乗車した事がありますが、今やこの大手事業者で活躍していた中4枚扉の5Eボディいすず車に乗車できる路線は、現行主力車種のいすずエルガ・ノンステップ車ですら地方転出が始まっている状況では、国内各地を探してもどれだけ存在しているのだろうか…と感じる程です。
また5Eは那覇バスだけでなく、琉球バス交通でも活躍中の姿が見られ、こちらは自社発注車と移籍車の双方が導入されたものの、古参車だけに廃車も進行し、MAKIKYUが姿を見る事が出来たのは自社発注車の方だけでした。
自社発注車は郊外線用のトップドア車で着席重視仕様、スモークガラスを採用した黒逆T字窓になっているなど、古参車ながらも豪華な路線車という印象を受けます。
旧琉球バスでは元々日産ディーゼルと日野の2メーカーを導入していた事もあり、当然ながら富士重工製バスでは最多数、かつ富士重工業のバス車体製造中止までの間は、標準車体として指定されていた日産ディーゼル車は活躍しており、那覇滞在中に何度か那覇バスターミナルに足を運んだ際には、常に写真の1台が待機している状況でした。
TOMYTECのバスコレクションでもこのタイプの車両が製品化され、MAKIKYUの手元にも1台ありますが、製品化されているのは5Eボディの主流となっている日産ディーゼル車ではなく、旧琉球バスが日産ディーゼルと共に以前から導入している日野車の方になります。
こちらはエンジン音などが全く異なり、乗車すれば運転席廻りなどを見ただけでも一目瞭然ですが、非公式側(客ドアと反対側)の後部ルーバーが灯油ポリタンクの様な妙な形をしており、バスターミナルに停車している姿を見ただけでも比較的容易に識別できます。
(バスコレクションでもきちんとこのルーバーは再現されています)
バスコレ製品の車両は、残念ながら撮影していないのですが、同形車が琉球バス交通の主力路線・23番(那覇バスターミナル~具志川バスターミナル)で活躍している姿を目撃しており、目撃頻度こそ少ないものの、探せばまだ何とか乗車も…という状況でした。
琉球バス交通の5Eは随分数を減らしたとはいえ、自社発注車だけでも2メーカーが混在、そして前面行先表示も字幕式とLED式に取り替えられた車両が混在するなど、よく見ると幾つものバリエーションが存在するのも注目です。
沖縄でも有名な「730」と共に注目の存在となりつつあり、5Eボディでは比較的少数派の日野車は、豪華仕様もあってか特に注目の存在ですが、古参車が多い沖縄でも大都市圏移籍車の大量導入などにより、車両入れ替えは着実に進んでいますので、あとどれだけの活躍が見られるのかも気になる所です。
すっかり見掛けなくなりました
丸っこいモノコックボディの旧型バスや昭和テイストの
ボンネットバス達と比較して注目度が低い点からも
もっと撮っておけば良かったと思うばかりです。
悔やんでばかりいられませんので、全国で最後の
活躍を見せる5E達も見かけたら撮るようにして
おります。バス車両は鉄道車両よりも一期一会の
出会いが多いものですから
一期一会といえば沖縄で出会えなかったバスに
「電気バスのガージュ号」があります
沖縄初の電気バスとして2013年2月末まで
走ってましたが、4月には既に運用を終了して
おり大変残念でした
コストを抑える為に中古いすゞジャーニー改造バス
だったと聞いていますが、どこに行ったのかガージュ号
いまもどこかの街角で電気バスの実証試験に
活躍していれば良いのですが・・・
富士重工業のバス車体製造中止から結構な年数が経過し、最終モデルの新7Eですら第2の活躍舞台に移る車が…という状況ですので、ここ数年で年式の古い5Eは地方でも見る機会が稀な車両になってしまいました。
年式の割に他車両よりも古く見える風貌は、他車種よりもやや見劣りが否めず、こちらも以前から積極的に撮影と言う状況ではなかったですが、デジカメ普及で気兼ねなく撮影ができる今日ですので、5Eに限らずありふれた車両でも、機会があれば積極的に撮影しておきたいものです。
現在の富士重工ファンの趣味対象は、主に地方移籍した7Eに比重が移り、これもあと数年したら結構数を減らすかと思いますが、中型は7Eの中型版と言える8Eだけでなく、5Eの中型版・6Eの製造中止が結構遅く、首都圏でも平成5~6年程度の車両が茨城県辺りなどでまだ結構走っていますので、これも結構注目の存在かと思います。
(茨城で活躍する6Eは、自社発注だと床が板張りの車両が多いのも注目点かと思います)
また電気バスは最近所々で実証運行が行われ、こちらも沖縄訪問の帰りには、徳之島で実証運行を終了したポンチョの姿を見ていますが、新車ベースでの運行が大半となる中で、沖縄の事例は中古車ベースと言うのは興味深いものですね。
沖縄では大都市圏中古車の中でも、元京急グループ車の数や比率が突出しており、その中でも多数派のいすゞ車ですので、電気バスでなければありふれた存在、電気バスでも通常塗装で運行したら意外と目立たない存在になってしまうかもしれませんが…