“主任警部モース”についての書き込みは前回で終わりにしようと書いたら、本当に、きょう(8月26日)の早朝の放映で、ミステリー・チャンネルの“主任警部モース”も最終回になってしまった。
今回こそ、本当の[終]にしよう。
最終回の「悔恨の日」は、世間的に言えば「淫乱な」人妻をめぐる殺人事件。
モースは定年を2週間後に控えており、しかも糖尿病が悪化したために死期も迫っている。
被害者は、かつてモースが入院していた病院の看護婦で、モースは彼女に中年の恋をして、ラブ・レターまで送っている。
モースといい、フロストといい、イギリスの推理ドラマでは、この手の話が頻繁に登場する。
チャールズ皇太子と何某嬢(?)のように、こういった話がイギリス社会では日常茶飯事なのだろうか。
いずれにしても、オックスフォード大学周辺を舞台に、クラシックを聞き、ハーディを読んで、真っ赤なジャガーに乗って現場に向かうモース警部の物語は終わってしまった。
どこかの回で、モースが、自宅のソファーに寝そべって、ハードカバーのトマス・ハーディを読んでいるシーンがあった。書名は分からなかった。
モースはオックスフォードに住んではいるけれど、ひょっとすると、『日蔭のふたり』(ないし『日蔭者ジュード』)のジュードのような、“オックスフォードの他所者”だったのかもしれない。
番組全体のラスト・シーンは、遠くの丘から霧に煙るオックスフォードの町を眺めた風景で終わっている。それがモースの最後の心象だったのだろうが、『日蔭のふたり』の中にも、ジュードがそんな風にしてオックスフォードを遠く眺めるシーンがあったように思う。
一方は警察官、もう一方は中学教師という違いはあるけれど。
また10数年して再放送を見たら、その頃は自分自身も定年が近づいているので、今回とは違った感想を持つだろう。
* 写真は、ミステリー・チャンネル“主任警部モース”の最終回、「悔恨の日」のラストシーン。遠景のどれかがオックスフォード大学の塔ではないだろうか。