豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

『家族・私有財産及び国家の起源』(西雅雄訳)

2021年02月20日 | 本と雑誌
 エンゲルス/西雅雄訳『家族・私有財産及び国家の起源ーーリュウィス・エッチ・モルガンの研究に因みて--改訳版ーー』(岩波文庫、昭和30年6月20日改版第26刷、昭和4年6月第1刷、昭和21年11月第11刷改版)をネットで手に入れた。
 ヤフー・オークション初体験である。

 前に書いた羽仁五郎『都市の論理』には、エンゲルスのこの本(『起源』)の岩波文庫版が時折引用されるのだが、ぼくが持っている岩波文庫(戸原四郎訳)の該当ページに見当たらない。
 岩波文庫には戸原訳の前に西雅雄訳という旧版があることを知った。ひょっとすると羽仁が引用したのはこの西訳かもしれないと思ってネットで探したところ、ヤフー・オークションに100円で出ているのを見つけた。
 Yahooのアドレスは持っていたので、恐るおそる「入札する」→「次へ」→「次へ」を繰り返しているうちに、「入札されました」→「現在あなたが最高額入札者です」→「まもなく入札が終了します」と何度かメールが届き、入札終了時間が過ぎるとほどなく、「おめでとうございます。あなたが落札しました」というメールが届き、あとは「ヤフーかんたん決済」の手続きで、代金と送料を振り込んだ。
 数日待たされたが、昨日だったか現物が届いた。比較的きれいな状態だった。

 さっそく、羽仁『都市の論理』と照合してみた。
 『都市の論理』89頁に、「この(エンゲルス『起源』の)岩波文庫版の88ペイジに、“歴史に現れた最初の階級対立は、一夫一婦制における男女敵対の展開と一致し、そして、最初の階級圧迫は男性による女性の圧迫と一致する。・・・”と引用されているが、西訳の88頁にそのような文章はない。「吾々は単婚家族において、--その歴史的発生に忠実であり且つ男子の排他的支配によって表明された男女の抗抗争を明示している場合にはーー文明に入って以来階級に分裂した社会が、・・・そのうちに運動しているところの対立及び矛盾の縮図を持つのである」というのが対応する文章なのだろうか。
 前後のページも見たが、羽仁が引用した文章は見つからなかった。
 
 あるいは、西訳の改版以前の昭和4年版のページ数なのか。それともエンゲルスの文章を羽仁自身が訳したのか。
 なお、羽仁142頁には「(『起源』の)205ペイジ、215ペイジなどに、奴隷制と農奴制・・・についておこなっている分析は、注目すべきであります」という記述があって、ここでは岩波文庫ではなく、羽仁の『都市』を引用しているが、西訳の205頁、215頁には、確かにローマにおける奴隷制の記述がある。
 ということは、やっぱり西訳のどこかに「歴史上最初の階級闘争」の記述があるのだろうか。

 ちなみに、Googleで調べると、西雅雄さんという方のことを知ることができる。
 労働者向けのオープン・ユニバーシティのようなところで学んだようで、多くのマルクス主義の書物を翻訳し、最後は検挙されて獄死している。
 ソ連や東ドイツなどの「社会主義国」の崩壊後はマルクス主義は人気がないようだが、格差が極大化しつつある現在こそ、「コミュニズム」が求められる時代ではないのだろうか。


 2021年2月20日 記


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