現役の教師時代には、卒業シーズンになると、ゼミの掲示板に山口瞳の『新入社員諸君!』(角川文庫、1973年。ぼくは1974年にサラリーマン生活を始めた)の中から、サラリーマン時代のぼくが共感を覚えた文章に、ぼく自身の感想を添えた文章を掲載して、卒業して社会人になるゼミ生への餞(「はなむけ」と打ったらこんな漢字が出てきたので使わせてもらうことにした)としてきた。
昨年春で定年退職となったのだが、3年次の1年間だけぼくのゼミに在籍したゼミ生4名が、全員無事卒業となり、先日卒業式を迎えたので、彼ら(実は彼女ら)に向けて、例年通りのメッセージを贈ろうとした。そうしたところが、定年後の身辺整理をしていたら、山口瞳が毎年4月1日の朝日新聞のサントリーの広告として載せた、新入社員にむけた激励の文章が3枚出てきた。(1枚は成人式のようだが)。
どれも社会人となる若者に向けたいい文章なので、ここに載せさせていただく。
最初は、「新入社員諸君!」(掲載紙、年月日不詳だが、広告の左下に小さく “S55.4.A-SC01 製造・販売サントリー株式会社” とある。S55 。4は昭和55年4月掲載、Aは朝日新聞、Sはサントリー、Cは会社か広告ということだろうか。以下同)。まさに単行本の書名にもなったもの。
次は「正直貧乏」(“ 製造・販売サントリー株式会社S.58.1 EASC22” 。サントリー・オールドの写真の下に「成人おめでとう」とあるから、昭和58年1月か)。
最後は、「大いなる羨望と大いなる期待。」(昭和62年4月1日、掲載紙は不明だが、当時はおそらく朝日新聞を取っていたから朝日だろう。)
最後のは文字が小さくなってしまい、読みにくいかもしれないが、要約すると、「人生は積み重ねである・・・新入社員諸君も地道に努力を積み重ねていくしかない、きっと誰かが見ていて、認めてくれるはずだ」といった趣旨が書いてある。
がんばれ、卒業生たち!
2021年3月24日 記