おはようございます。
お月さま好きのぼくにはピッタリの展覧会。月岡芳年の”月百姿”展。
川崎浮世絵ギャラリーで月岡芳年の月百姿を前後期、五十枚ずつ、全百枚を展示するというので、前期の最終盤に訪ねた。以前、旧東海道沿いに砂子の里資料館があり、そこが閉まり、最後の浮世絵展が2016年9月に開催された。その後、4000点にものぼる齋藤文夫コレクションがどうなったか知らなかった。たまたま、新聞の地方版に本展が開催されているのを知り、4年振りに川崎に出掛けた。聞くところによると、昨年12月3日に駅前のビルの三階に”川崎浮世絵ギャラリー”として復活し、オープン記念展も開かれていたのだそうだ。駅からも近いし、展示会場も広く、これから、とても楽しみ。
月岡芳年(1839-1892)は幕末から明治期に活躍した浮世絵師で、師匠は国芳、弟子には水野年方がおり、彼の弟子に鏑木清方がいて、さらに伊東深水、川瀬巴水と続くというから、芳年の偉大さがわかるというもの。
月百姿(つきひゃくし)は芳年の晩年の代表作で、歴史上の人物が月と共に描かれている。展覧会場では各図にはそれぞれ、詳しい説明があるので、どんな場面なのか分かるようになっている。
以下、50図のうち印象に残った作品をいくつか。
君は今駒かたあたりほとゝきす たか雄 (吉原、三浦屋の花魁、たかお太夫)題名に用いられた句は墨田川を渡って帰る伊達綱宗へ詠んだもの。
南屏山昇月 曹操 (赤壁の戦いの曹操)
名月や畳の上に松の影 其角 (俳諧師)
月下の斥候 斎藤利三 (明智光秀の家臣、山崎の戦いで秀吉と戦った)
大物海上月 弁慶 ”船弁慶”の一場面
月輝如晴雪
梅花似照星
可憐金鏡転
庭上玉房馨
菅原道真 (道真11歳の頃)
山城小栗晒月 明智光秀が小栗栖で落ち武者狩りに遭う場面。光秀は遠くにみえる。
源氏夕顔巻
破窓月 達磨太子の座禅
垣間見の月 かほよ 太平記から。垣根から風呂上りのかほよ御前を覗いているのは高師直(こうのもろなお)。
稲むらか崎の明ほのの月 新田義貞の鎌倉攻め
賊巣の月 小碓皇子 (ヤマトタケル、女装している)
ほかにも、風俗三十二相、新形三十六怪撰の一部も展示されている。芳年は晩年、大蘇芳年と名乗った。最後に、鏑木清方の”大蘇芳年”を。(展覧会では金木年景の大蘇芳年像が展示されている)
とても楽しい展覧会であった。後期も是非!
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!