気ままに

大船での気ままな生活日誌

加山雄三ディナーショー in 藤沢

2007-11-23 09:25:00 | Weblog
藤沢のホテルで開催された、加山雄三ディナーショーに行ってきました。加山さんの生のステージをみるのは、ボクらが杉並に住んでいた頃、中野サンプラザでの公演以来ですから、ほぼ30年振り。ボクらも年をとったけれど、加山さんも同じ年だけとって、なななんと今年、古稀を迎えられたそうです。

でも、声は相変わらず張りがあり、サンプラザのときと変わりません。姿だって遠目(笑)には、若大将時代とは変わらない、とても古稀にはみえないです。観客世代は、団塊世代から60代が主力ですが、加山さんの方がずっと若くみえる(ボクを除く(笑))ほどですよ。

加山さんは茅ヶ崎で育ちました。だから、隣町、藤沢は地元みたいなもです。ある日、”お嫁においで”を藤沢駅構内で歌っている人をみつけて、自分のつくった歌がよその人が歌っている、と感動したそうです。その歌を皮切りにヒット曲が次々と。”妹よ”そして、加山さんの歌の中では一番人気だという(ボクも一番好き)”旅人よ”をみんなの合唱で、そして、海の男、加山さんらしい”海、その愛”。

プレスリーとビートルズが大好きで、ラブミーテンダーとイエスタデイも歌ってくれました。プレスリーと会ったとき、あがってしまって最初の言葉が、What's your name?(爆笑)。話しているときプレスリーは隣りの若い奥さんの方ばかりみていたそうです(爆)。

このようにトークも上手で、まるで漫談家みたいです。若大将シリーズで共演した田中邦衛さんは面白い人だそうです。♪京都大原三千院♪の歌を♪京都大阪三千里♪と覚えていたらしく、”加山、京都と大阪は3000里もあるのか”とまじめに聞いてきたそうです(爆)。加山さんは津軽弁がとてもじょうずです。この前の八戸の公演で津軽弁を使ったら、観客が総立ちで拍手してくれ(爆)、ネーティブな津軽弁だ(爆)と誉められたそうです。芸は身を助すくですね、津軽弁は司葉子さんと共演した、津軽が舞台の”乱れ雲”のとき猛勉強したのですよ、と笑う加山さん。

加山さんというと、”理想の父親”のイメージですね。娘さんがニューヨークのオフブロードウエイ公演で主役をとり連日、sold outです、と嬉しそうに語っていました。もう、ワイフは渡米していて、何度も観劇していますが、私も明日、娘に会いに行くんですよ、でも残念ながら今日終了で観られませんが、と目を細くしていました。

瞬く間に、楽しいショータイムが終わりに近づきます。そして、ラストソングはお待ちかね、”君といつまでも”。もちろん、あの台詞入りです。「幸せだなあ 僕は君といる時が 一番幸せなんだ 僕は死ぬまで 君を離さないぞ いいだろう?」ボクはそっと、同じテーブルの60代半ばの、一人参加の女性に目を向けました。亡くなられたご主人が結婚式の日に、”君といつまでも”を歌ってくれたの、と、ディナーのときに話してくれていたからです。彼女は目に涙をいっぱいため(たぶん)、加山さんの歌声に合わせて、小さな声で歌っていました。

これがラストソングかと思っていましたら、本当のラストソングは”マイウエイ”でした。加山さん自身の70年間の、悲喜こもごもの人生の哀感がしみじみと伝わってくる、とてもいい歌声でした。


・・・・・
君といつまでも


作詞 岩谷時子 
作曲 弾 厚作 
歌唱 加山雄三

二人を夕闇が 包むこの窓辺に
 明日も素晴らしい 幸せが来るだろう
  君の瞳は星と輝き
   恋するこの胸は 炎と燃えている
    大空染めて行く 夕陽色あせても
     二人の心は 変わらないいつまでも

「幸せだなあ 僕は君といる時が 一番幸せなんだ 僕は死ぬまで 
 君を離さないぞ いいだろう?」

君はそよ風に 髪をとかせて
 優しくこの僕の しとねにしておくれ
  今宵も日が暮れて 時は去りゆくとも
   二人の思いは 変わらないいつまでも




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帝王ダリア満開 ここもこの世の楽土

2007-11-22 08:40:01 | Weblog
前夜あれだけ飲んだのに、ボクは元気に(笑)午前中には大船フラワーセンターに姿をみせていました。先日訪れた、鎌倉文学館庭園のテイオーダリアが咲き始め、また、今朝の散歩でみた、道沿いのお宅のテイオーダリアが見頃を迎えていました。で、”そうだ、フラワーセンターへ行こう”といそいそ出掛けたのであります。

思った通りでした、見頃でしたよ。薄紫の、経20センチぐらいの花を先端部にいっぱい咲かせていました。ダリアの仲間なのですが、木質化する種類で、”大木”になり、ここのも4、5メートルの高さになっています。

去年は、うっかりテイオーダリアさんのことを、”テイノー(低能)ダリアさん、こんにちわ”と挨拶をして、気位の高いテイオー(帝王)ダリアさんを怒らせてしまいました。花(鼻)に青筋をたてて怒っていました(もともと青系の色ですが)。今日は気をつけて、呼びかけましたが、緊張のあまり、”カイオーダリアさん、こんにちわ”と、また、やってしまいました。とほほ。あまりにも巨体ですので、ついついお相撲さんを連想してしまったのです。まだ、横綱、ハクホー(白鵬)ならメンツをつぶさずに済んだのですが、カイオウ(魁皇)となると、今場所で引退か、と言われる、落ち目の大関ですから、いたく帝王の心を傷つけたようです。

そのあと、ボクが、その堂々たる、グラマーな体つきから、ダリア界の叶姉妹のようで素敵ですね、とか、薄紫の花から連想して、紫頭巾の松坂慶子さんみたいにおきれいですね、とか、おべんちゃらを言ったのですが、バカ、オレは女帝ではないと、ますます怒らせてしまいました。とほほ。ボクは、そばのベンチに髪染めみたいに、へなへなと倒れ込んでしまったのでした。

ベンチに座って、10分ほどして、ようやくテイオーダリアさんが機嫌を直してくれました。それは、ボクが、あなたはケイオーダリア、ケーオーボーイみたいです、加山雄三さんみたいですね、フラワーセンターの若大将ですね(今晩、加山雄三ディナーショーに行くことになっていたので、すぐ思いついたのです)とごまをすったら、にこにこし始めたのです。うそも方便ですね。さらにボクは追い打ちをかけ、ケイオーオールドボーイの詩人、堀口大学さんの言葉”花は色 人は心”を紹介しながら、あなたの心がうつくしいからこんなにきれいな薄紫色になるのでしょうね、とお世辞を言ったのでした。

いや、お世辞でないのですよ。実際、雲ひとつない青空をバックにして、輝くように咲いている、テイオーダリアの薄紫色の花は、本当に見事なものです。ひとりベンチに座って、こんな、うつくしい風景を独り占めしているのだと思うと、しみじみとした幸福感で胸がいっぱいになってきました。”ルバイヤード”のお酒は、確かに”この世の楽土”ですが、こうゆうときも、”この世の楽土”だなと思ったのでした。

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”ルバイヤード”で飲む

2007-11-21 09:23:11 | Weblog
昨晩、大船の”かんのん”で、高校時代の友人と飲みました。飲み助同士ですので、それだけでは終わらず、近くのスナックでもう一杯。ボクはいいけど、川崎まで帰る彼は”午前さま”すれすれになってしまったのでは。反省しきりの、今朝のボクです。とほほのほ。

飲んでいる途中で、面白い本だよ、君にプレゼントするよ、と渡された文庫本。”ルバイヤード”(オマル・ハイヤーム作、小川亮作訳)でした。酒のみのバイブルみたいな本だよ、4行詩(ルバイヤード)なので、どこからでも気楽に読める、とのこと。

お刺身をつまみながら、早速、適当なページを開く。

もうわずらわしい学問はすてよう、
白髪の身のなぐさめに酒をのもう。
積み重ねて来た七十の齢の盃を
今この瞬間(とき)でなくいつの日にたのしみ得よう?

なななんと、歳をもう少し若くすれば・・今の我々ではないか ハハハハハと大笑い。そして、ワカサギの唐揚げをつまみ、また別のページを。

死んだら湯灌(ゆかん)は酒でしてくれ、
野の送りにもかけて欲しい美酒。
もし復活の日ともなり会いたい人は、
酒場の戸口にやって来ておれを待て。

大船(今泉)出身の狂歌師、酔亀亭天廣丸(すいきてい・あまのひろまる)も同じような句をつくっていたっけ。”心あれば 手向けてくれよ 酒と水 銭のある人 銭のない人”アハハハハ、オレもそれでいく。熱燗をごくりとやって、また別のページを。

魂よ、謎を解くことはお前にはできない。
さかしい知者の立場になることは出来ない。
せめては酒と盃でこの世の楽土をひらこう。
あの世でお前が楽土に行けるときまってはいない。

この世の楽土だ、楽土だと、調子に乗って、飲みすぎてしまったのでありんす。
とほほのほ。

・・・

オマル・ハイヤームは11世紀のペルシャの詩人です。訳者の解説によると、彼は万能科学者でもあり、日本でいうなら、平賀源内のような時代を抜いて秀でた万能の人であった、またペルシャのレオナルドダビンチと呼んでいいかもしれない卓越した人だったそうです。ボクのような、ただの、飲んだくれとはエライ違いですね。










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九州場所予想星取表

2007-11-20 09:58:25 | Weblog
九州場所も中日を過ぎましたので、恒例の(笑)千秋楽の星取の予想をしてみたいと思います。今回で3度目になりますが、予想屋としての腕が上がっているかどうか。以下に予想表を示します。そして、千秋楽以降に”能力評価"したいと思います。

予想星取り表           

白鵬     13勝2敗  優勝
琴光喜    11勝4敗
千代大海   12勝3敗
魁皇      7勝8敗 大関陥落 引退
安美錦    7勝8敗  関脇陥落
朝赤龍    6勝 9敗 関脇陥落
安馬     9勝6敗  殊勲賞 関脇昇進
琴奨菊    9勝6敗  関脇昇進

豊真将    5勝10敗  
稀勢の里   9勝6敗  小結復帰  
出島    10勝5敗
豊ノ島    9勝6敗
豪栄道   10勝5敗
栃煌山    8勝7敗
把瑠都  11勝4敗  敢闘賞


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実りの秋 みずき、真央、桃子おめでとう

2007-11-19 10:43:55 | Weblog
スポーツ界も実りの秋を迎えていますね。昨日の日曜日は、テレビづけでした。

野口みずきさん、東京国際女子マラソンで優勝。それも大会新記録、さすが、元金メダリストですね。北京出場も確実な状勢になり、オリンピック連覇も十分狙えます。すごい、すごい、すごいの8乗、八条口、新幹線。早い。

真央ちゃん、GPフランス大会で優勝。”涙のSP”から一転、”笑顔のフリー”で高得点。これで、GPファイナル出場決定となり、2度目のチャンピオンを狙います。すごい、すごい、すごいの5乗、5条大橋、牛若丸。身軽で華麗。

桃子ちゃん、今季5勝目で最年少の賞金女王確定。21才の若さです。さくらちゃんを押さえてのトップですから(桃と桜の対決だったのですね)すごいです。すごい、すごい、池のこい、錦鯉。大金持ち。

3人の女王に共通点があります。お気づきですか。3人とも美人?そ、そうですね、異論もあるかもしれませんが、正解としておきましょう。3人とも負けず嫌い?それは間違いないです、正解です。でも、大正解にはなりません。ヒントは名前です。皆、花がきれい?桃、花みずきはいいですが、真央の花ってありますか?たしかに、麻黄という薬草が黄色の花を咲かせますが、鑑賞用ではないですので、正解とはしません。もったいぶらないで早く教えてって?はいはい、わかりました。

正解は、”いずれも名前のイニシャルがM”です。Mizuki, Mao, Momoko、どうですか、すごい発見でしょ。3M女ですね(汗)。3笑む女ともいいます(笑)。

あるいは、”いずれも名前がマ行で始まる”でもいいでしょう。まお、みずき、ももこ、どうですか、すごい発見でしょ。3ま女ですね。3魔女とも、秋刀魚女ともいいます。旬ですね、食べたい(汗)。

これにメグちゃん(女子バレー)、むむちゃん(募集中)を加えると、”まみむめも娘”で売り出せますね。

冗談ばかり書いてしまいましたが、みずき、真央、桃子の3人の女子選手、本当におめでとうございました。世界制覇に向けて、頑張ってくださいね。





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葉山のツワブキ、そしてあれこれ

2007-11-18 11:40:20 | Weblog
数日前から、ワイフが郷里に帰っており、一人暮らしです。うふふ。で、ちょっといつもと違うことをしてみようと。早起きが好きなボクが”朝寝”してみました。ぽかぽか布団の中でうつらうつら、あゝ!いい気持ち、朝寝が好きな人の気持ちがよくわかる。そして、朝湯。温泉宿の朝風呂みたい、あゝ!いい気持ち。♪りんごの気持ちがよくわかる(?)。そして朝酒。これは止めました。小原庄助さん、これでしんしょうをつぶしたになってしまうと、♪困るのことよ。

お風呂の中で、先日の熱海初島のことが思い浮かびました。島の海岸沿いの道ばたに咲くツワブキの花のきれいだったこと。そのとき、突如こう思いました。”そうだ、葉山へ行こう”と。去年見つけ、ここは湘南一のツワブキの見所だとボクがお墨付き(?)をつけた、あそこへ。

その場所は、一色海岸沿いの葉山しおさい公園。もとは葉山ご用邸の敷地内で大正天皇がここの館でご逝去され、昭和天皇への引き継ぎがここで執り行われたため、昭和発祥の地とも言われています。そこの海岸側のクロマツ林の下にツワブキが自生しているのです。思った通り、見頃です。す、すごい。すごいの2乗、3条大橋(?)。大きいのから、さらに増えつつある子供のツワブキまで一斉に、ま黄色な花を咲かせているのです(写真)。やっぱり湘南一だべ。あゝ!いい気持ち、葉山のツワブキ”。こんなすばらしいとこ、でも人は我のみなり。

中也展をみてから、ボクの心は”昼夜”詩人模様です。すぐ詩が浮かびます。クロマツの林とゆう題です。筆名は北原晩秋。

くろまつの林を過ぎて、
くろまつをしみじみと見き。
くろまつはうれしかりけり。(つわぶき娘に囲まれているので)
たび(さんぽ)ゆくはうれしかりけり。

くろまつの林を出でて、
くろまつの林に入りぬ。
くろまつの林に入りて、
またつわぶきの道はつづけり。

くろまつの林の道は、
われのみか、ひともかよひぬ。
ほそぼそと通ふ道なり。
さびさびといそぐ道なり。

くろまつの林をいでて、庭園の方に回ると、色づきはじめた紅葉のほかに、ななななんと、つつじの花があちらこちらに。1株に十も二十も花をつけている、”くるい咲き”とゆうには、多すぎる、くるいが正常、まともが異常になっている、”ヒトまね”しないでね、つつじちゃん、うふふのふ。

そして、ボクは葉山海岸通りをてくてく。いつも、車で素通りしてしまう通り。発見がいっぱい。歩くっていいな。すぐ、県立近代美術館。土曜日なのに休館?何故だ、見るつもりはなかったけど。そして真名瀬(しんなせ)の漁港。漁船の名前のお店が葉山しらすや今日獲れた魚を売っていた、お客さんもいて、魚をさばいてもらっている、近くの人だろう、いいな葉山の人は。”本日獲れた魚”の案内板。マダイ、カワハギ、本カツオ、午後タイ。ナヌッ、午後タイ?午後の紅茶なら聞いたことがあるけど。アフタヌーンタイのお刺身でアフタヌーン酒飲みたいですタイ(ワイフの郷里の言葉)。うふふのふ。

真名瀬からの海景色すばらしいです。漁港を前景にして、ちょうどいいあんばいに、逗子の岬や江ノ島や裕次郎灯台や海の鳥居が配されていて、そして海にはヨットが浮かんでいて、これでいつもみえる富士山がみえていれば、そしてできれば、蜜柑の如き夕陽がこぼれ(中也の盗作)そして、夕焼け空がまっかか、トンビがくるりと輪をかいて(美智也の盗作)もらえれば、あゝ!(中也の盗作)ここは、湘南一の景色といえるでしょう。

そしてさらに歩く。高橋是清別邸跡もみつけた。この辺りは豪邸やマンションが多い。いい景色でいいな。そして、森戸大明神。ここの海岸で先月、ボクは神の笛、石笛(いわぶえ)を見つけた、裕次郎の石碑もある、葉山の住人であった詩人、堀口大学の歌碑もある。

そしてボクは森戸川を渡り、前回訪ねたとき休館で、行き損ねた葉山町図書館に向かう。小規模だけど、静かないい図書館だった、さすがご用邸の町、皇室関係の書籍が充実していました。全体の評価としては大磯町図書館クラスと判定しました(ボクは湘南地区のほとんどの図書館を制覇していて、葉山は最後の図書館だった)。残念ながら、湘南図書館ベストスリーには入らないです(笑)。どこがベストスリーか知りたいでしょう、今は教えません。そのうち、全調査が終了したらこの日記で発表しますね。ついでながら、まだ調査継続中ですが、湘南海水浴場のトップは葉山一色海岸です。

図書館の二階に”堀口大学文庫”をみつけました。ちょうど”月光の詩人と大正期の文学”の企画展をやっていました。ボクひとり、至福のときでした。多分、堀口大学所蔵のむかしの本、漱石や芥川や斎藤茂吉等小説家や詩人の初版本がずらり。ムカシの本は装幀がすばらしいです、それだけでひとつの芸術作品です。これでは、いつまでも捨てられませんね。いろいろ展示があり、雑学を仕入れました。本郷の赤門の前で生まれたので”大学”の名前をつけられたそうです。幼稚園の前で生まれると”幼稚”になるところでしたね。

今週は詩人であけ(中也)、詩人でくれました(大学)。おわりに、堀口大学さんの、森戸海岸前の歌碑の歌(言葉)をのせますね。

花はいろ 人はこころ (大学)








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あゝ!

2007-11-17 09:27:09 | Weblog
先日、文芸評論家の新保祐司さんの講演”中原中也と小林秀雄”について紹介しましたが、ひとつ書き忘れていたことがありました。それは、中也研究のスペシャリストである新保さんが一番好きな中也の詩のことについてです。

それは、”冬の長門峡”とゆう詩で、中也が晩年、故郷山口の長門峡を訪れたときにつくられものです。新保さんは、この詩の最期の節の”あゝ!そのやうな時もありき、寒い寒い日なりき”、とくにそのはじめの、”あゝ!”とゆう詠嘆の一言にグッときてしまうと言います。この”あゝ!”に、中也のそれまでの人生が凝縮されている、万感の思いが込められている、それが胸をうつというのです。

中也の年表を調べてみますと、28才の3月に長門峡を訪れています。そして、この詩は2年後の中也が亡くなる年、30才のときにつくられています。おそらく、このときにはすでに自分の死を予感していたのでしょう。”あゝ!”という詠嘆の語が自然と口をついたのでしょう。この詩の中で、”あゝ!”は、まるで火山口のようです。そこから中也の地下のマグマのごとき熱き思いが次々と噴き出しているようです。

でも、この”あゝ!”は、めったに使えない手ですね、一生に一つだけの詩にしか使えません。人生の最後を迎え、故郷にもどってつくった、故郷の歌にこの”あゝ!”をとっておいたみたいですね。きっと、中也自身も自作の詩の中では一番お気に入りの詩ではなかったかと想像します。

ボクは中也の詩とゆうと、あの”汚れっちまった悲しみに”ぐらいしか知りませんでしたが、これを機に、この詩もとても好きになりました。

・・・

冬の長門峡 (中原中也)

長門峡に、水は流れてありにけり。
寒い寒い日なりき。

われは料亭にありぬ。
酒酌みてありぬ。

われのほか別に、
客とてもなかりけり。

水は恰(あたか)も魂あるものの如く、
流れ流れてありにけり。

やがても蜜柑の如き夕陽、
欄干にこぼれたり。

あゝ! ----そのやうな時もありき、
寒い寒い 日なりき。

「在りし日の歌」所収
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今場所はいいぞ 稀勢の里 

2007-11-16 09:44:00 | Weblog
この写真は、先場所、国技館に入場するときの稀勢の里関です。なんだか浮かぬ顔をしていますね。先場所はこの顔の通り、浮かぬ場所になってしまい、6勝9敗で負け越し、復帰したばからの小結を転落してしまいました。

でも、今場所は、初日から稀勢の里の顔がいつもの、苦虫をかみつぶしたような顔と違うなと思いました。表情に、かすかに(笑)明るさが感じられたのです。なにか、ふっきれたに違いないとボクは思いました。初日は大関、魁皇を見事な相撲で破りました。その後も、横綱白鵬に善戦、千代大海戦では、勝負に勝っていましたが、判定で負けてしまいました。そして、昨日の宿敵琴欧州戦、見事な完璧な勝利でした。

これで、対横綱・大関戦はすべて終了です。彼らに対して、内容的にも、星的にも2勝3敗と、ほぼ互角の力を示しました。あとは、関脇以下の、実質、力は稀勢の里より下のもの(笑)ばかりです。でも、結構”取りこぼし”が多いので、気をつけなければなりません。とくに、今日対戦の豊ノ島と小結安馬そしてボクが稀勢の里の次ぎに応援している、礼儀正しい豊真将とわんぱくぼうず豪太郎(豪栄道のこと)には慎重にとって欲しいです。

今場所はぜひ10番勝って、三役復帰して欲しいです。恒例の(笑)有力力士の星取表予想は中日を終えて時点で、発表しますので楽しみにしてくださいね。ええッ、誰も楽しみにしていないって?・・オザワル(プッツンした顔のこと)・・
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名句をリメイクする

2007-11-15 10:11:52 | Weblog
今朝の散歩で、お寺の境内の梅の木に、一輪だけですが、花が開いていました。連日の小春日和に、もう春かなと思って顔を出してみたのでしょうね。お正月頃の梅の開花はよくみますが、こんな早いのは初めてでした。でも、まだ”くるい咲き”の期間でしょうね。ここのお寺さんはとてもいごこちがいいので、お梅さんもついつい、ぼーっとしてしまったのでしょう。で、恒例の(笑)駄作を。

のどかなり 小春日和に 梅一輪 (汗)
われに似て 小春日和の 梅一輪 (滝汗)

ついでに、俳句の勉強をしてみたいと思います。先生は秋の名句が多い芭蕉さんです。小林秀雄さんは、評論「モーツアルト」の中で”模倣は独創の母である、ただひとりの本当の母親である、模倣してみないで、どうして模倣出来ぬものに出会えようか”と述べています。評論の神様のお墨付きですので、俳句の勉強のためにとゆうことで、芭蕉さんのメイクをリメイクしてみることにしました。

(メイク) 秋深き 隣りは 何をする人ぞ 
(リメイク)秋深き 隣りは 芋をくう人ぞ (昨夕、ワイフがうまそうに焼き芋を食べていた、芋と栗が大好き)
        
(メイク) 一つ家に 遊女も寝たり 萩と月
(リメイク)一つ家に ミンシュも寝たり 禿とデブ (大連合構想、ミンシュ主導なら”ジミン”に)

(メイク) 物いへば 唇寒し 秋の風  
(リメイク)物かへば ふところ寒し 秋の風 (年金生活者)

(メイク) 荒海や 佐渡に横たう 天の川
(リメイク)荒相撲 佐渡に横たう 琴欧州 (佐渡ヶ嶽部屋の大関琴欧州、早くも2敗、部屋でふて寝しないでね)     

(メイク)   むざんやな 甲の下の きりぎりす
(リメイク)  むざんやな パオの下の 朝青龍  (来場所復帰なるか)

(メイク)   あかあかと 日はつれなくも 秋の風
(リメイク)  あかあかと 常総赤鬼 勝ち進め (稀勢の里がんばれ、今日は琴欧州戦)

(メイク)   菊の香や 奈良には古き 仏たち
(リメイク)  菊の香や 嵯峨伊勢肥後の 古典花 (県菊花展の悠久の美を讃う) 

(メイク)   この道や 行く人なしに 秋の暮れ
(リメイク)  この道は いつか来た道 秋の暮れ (野川を歩きて思う)
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中也と小林秀雄は似てる?

2007-11-14 09:41:29 | Weblog
鎌倉文学館(写真)で”中原中也”展が開催されていますが、その会場で、中也関連の文学講座が同時開催されています。先日、その第1回”中原中也と小林秀雄”を聴講してきました。演者は、文芸評論家の新保祐司さんです。とても、面白い講演でしたよ。

ボクは若い時から小林秀雄さんのフアンで、彼の、多くの著作に目を通していますが(目だけです、頭には入っていない;滝汗)、そのひとつ、”中原中也の思い出”は好きな作品のひとつでした。鎌倉の妙本寺境内の、海棠の名木の前で、三角関係のトラブルのあと、久し振りに再会する二人。”花びらは死んだような空気の中を、真っ直ぐに間断なく、落ちていた、樹陰の地面は薄紅色に染まっていた” ”黙ってみていた中原が、突然、もういいよ、帰ろうよと言った” 二人の和解と言われている名場面です。

演者の新保さんは妙本寺の近くに住んでいて、ときどきこの場所を訪れるそうです。「小林さんのこの場面の文章は名文で、ほとんど”神話”になっているのですが、中也のその日の日記には”小林を誘って日本一の海棠を見にゆく、大したこともなし、しかし、きれいなものなり”とそっけないんですよ」と笑う新保さん。

東京神田の生まれの江戸っ子で、最高学府を卒業した評論家の小林と、山口生まれの”田舎もの”で中学も落第した、詩人の中也。両極端とも思える二人が、何故そんなに気が合うのか、実はとてもふたりは似ているのですよ、と新保さんが面白く説明してくれました。

二人とも、詩人であり大評論家でもあると言われたボードレールのフアンなんです。中也は詩人ですが、実は評論家的気質がかなり強く、彼の日記の中にいわば”直感的評論”ともいうべき記述が結構あるんだそうです。一方、小林の評論には詩的リズムが感じられるし、客観的な(評論)記述より、(詩のように)自分の心のうちを強く出すことで、思いを伝える文章が多いそうです。

たしかですね、モーツアルト論を述べる中で、自分のさまよえる青春時代を語る、あの道頓堀をふらつく場面なんか”詩的”ですね。それに、「モーツアルトのかなしさは疾走する。涙はおいつけない。涙の裡(うち)に玩弄するには美しすぎる。空の青さや海の匂いの様に、万葉の歌人が、その使用法をよく知っていた”かなしい”という言葉の様にかなしい。こんなアレグロを書いた音楽家はモーツアルトの後にも先にもいない」 こうゆう記述もほとんど詩人のそれですね。

ちょっと意外だったですが、二人とも”まともな人間”が好きで、実際、二人とも、結構、”まとも”だったそうです。小林の近所に(扇谷の時代)、島木健作が住んでいましたが、この人は、作風もそうですが、まじめ人間の典型みたいな人だったそうです。この島木を小林はとても気に入り、仲良くしていたそうです。中也も島木と懇意にしていたそうですから、3人とも、心のうちは同じ”まとも”色だったのでしょうね。”字は人を表わす”と良く言いますが、展示場でみた中也の字は、きれいな、まさに”まともな”字でしたよ。

その他、二人とも”古風”であり、また”宗教性”をもつ共通点もあるそうです。中村光夫が、近代批評を確立した小林を”ミスティック(神秘的)”なところのある大評論家だと評したそうです。ふむふむ、むにゃむにゃ、この辺になるとボクの頭では理解できないですが、いろいろ面白い話が聴けたです。

・・
講演のあと展示会場をワイフと一緒にみて回りました。中也と小林が再会した頃の妙本寺境内の満開の海棠の写真もありました。さすが、名木ですね、りっぱな咲きぷりでした。現在の海棠は3代目だそうです。

中也の詩がいくつもパネルに飾ってありましたが、そのひとつを紹介しますね。

・・・
湖上

ポッカリ月が出ましたら、舟を浮かべて出掛けましょう。
波はヒタヒタ打つでしょう、風も少しはあるでしょう。

沖に出たらば暗いでしょう、櫂からしたたる水の音は
ちかしいものに聞こえましょう、ーーあなたの言葉のとぎれ間を。

月は聴き耳立てるでしょう、すこしは降りてもくるでしょう。
われらくちづけする時に 月は頭上にあるでしょう。

あなたはなおも、語るでしょう、よしないことやすねごとや、
漏らさず私は聴くでしょう、ーーけれど漕ぐ手はやめないで。

ポッカリ月が出ましたら、舟を浮かべて出掛けましょう、
波はヒタヒタ打つでしょう、風も少しはあるでしょう。

「在りし日の歌」所収





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