'11.08.01 『ホームランが聞こえた夏』(試写会)@東映試写室
yaplog!で当選。いつもありがとうございます! これ、タイルトルと爽やかそうな写真に惹かれて応募。上映時間144分と長いので、ちょっと人を誘うの躊躇する長さ(笑) というわけで、一人で行ってきた。
*ネタバレありです
「暴力事件を起こし謹慎処分中のプロ野球選手サンナムは、聾学校野球部のコーチとしてやって来るが・・・」という話で、これは実話ベースのとっても王道なスポ根モノ。もうビックリするくらいベタだけど、そこはやっぱり王道ゆえか感動してしまう。144分という長さにひるんだけれど、正直もう少し短くできる気もしつつ、長さは気にならなかった。ちょっと首が痛かったけども(笑)
これ高校野球の話で爽やかそうだなと思って応募。てっきり日本映画だと思っていたので、始まったら韓国語で話していてビックリ(笑) イヤ、韓国に甲子園的なものがあるとは知らなかったので・・・。チラシによると韓国の高校野球は部活動の一環と言うより、少数精鋭制のプロ野球予備軍の要素が強く、全国で野球部があるのは50数校のみ。韓国の甲子園と呼ばれる”鳳凰杯”にも地区予選はなく、全高校が出場する。本作のモデルとなったソンシム学校野球部は、2002年に9人で創部され、高校野球部として正式に登録。強豪たちが集う大会での一勝を目指しているとのこと。ベースとなっているのは、おそらくこの辺りのことだけかと思われる。全国大会レベルの高校が出場するという意味では、日本の甲子園と同じだけど、ソンシム野球部をとりまく環境というか、温度差はあるのかなと思ったりする。本作も描かれてはいるけど、そういう社会的な事よりも、スポ根モノという要素の方が強いのかなと思う。
冒頭、中学野球部全国大会の決勝戦と思われるシーンから始まる。マウンド上のミョンジェは中学最高のピッチャー。耳に違和感を覚えながらも、自らの投球で勝利を手にした瞬間、激痛と耳鳴りに倒れてしまう。チラシのあらすじによると、このミョンジェを主人公として想定しているみたいだけど、全体的に見ると主人公は暴力事件を起こしたプロ野球選手サンナムのように思う。と、こんな書き方をしていることからも伝わるかと思うけれど、韓国映画にありがちないろんな要素を詰め込んだ作品で、苦手なドタバタもあったし、呆然とするくらい熱いシーンもある。そしてツッコミ所満載だけど、ゲンナリすることなく、泣くことはなかったけれど感動したりしていた。これだけ詰め込んだのに、上手くまとめているのはスゴイと思う。まぁ、144分あるけど(笑)
『ハーモニー 心をつなぐ歌』の感想にも書いたけど、韓国映画の中には感動させるためなら、多少事実を捏造してもOKという作品があることは事実。それは何も韓国映画に限ったことではない。でも、ハリウッド映画ほど笑えるくらいやり過ぎなスケール感でもなく、日本映画のようにサラリとしてもいず、他の国よりも多少見ている側に知識があったりするためか、その捏造ぶりがあからさまな気がする(笑) その辺りがなんとなくお国柄なのかなという気がして、世の韓流ドラマ好きの方々は、そのベタな感じを含めて、感動しているのかなと思ったりもするのだけど、個人的にはその感じがちょっと・・・。もちろん、好きな韓国映画もたくさんある。キム・ギドク監督の作品は好きだし。で、つらつら韓流批判ですかと言われてしまいそうだけど、そういうわけではなくて、好みは人それぞれであるということと、ツッコミ所満載でかなりベタだけど、この作品は嫌いではなかったということが言いたいわけです。最近、何かとデリケートな話題なので・・・(笑)
しつこいけれど、ホントにベタでツッコミ所満載。冒頭のミョンジェはどう見ても中学生に見えないし、野球は名投手が一人いても勝てないというのは分かるけれど、いくらなんでも打たれ過ぎだろうとか、女性教師が「どれだけ強いか見て下さい」と豪語したわりには・・・だし(笑) 展開はあらすじのまま、暴力事件を起こしたプロ野球選手が、嫌々ながら弱小野球部のコーチとなるが、彼らの姿に心打たれて忘れていたものを思い出して再起する話。チームが飛躍的に強くなるためには、スター選手が必要だけど、彼は挫折を味わい野球から離れてしまっている。反発し合いながらも、惹かれあう女性も必要ってことで、これが野球部顧問の女性教師。コーチがやる気になっていくところや、自らスター選手を説得に行くところ、全国レベルを思い知らされて挫折、野球部存続の危機もある。全5巻くらいの野球マンガを一気に読んだ感じ(笑) でも、これが不思議とあざとくなく、感動してしまうのは、王道中の王道だからというだけではないと思う。
女性教師との掛け合いや、サンナムのマネージャー登場シーンは、ドタバタしている。韓国映画にありがちなドタバタが苦手な身としては、ちょっと引き気味だったのだけど、これがあざとさギリギリで笑える感じになっている。この辺は2人の悩みとか夢とか真面目な部分もきちんと描いているからだと思う。そして、それはサンナムについても同じ。彼の傲慢な態度は、実は野球に対する熱い思いや、責任感、迷いなどの様々な感情を上手くコントロールできないからで、それが暴力になってしまうのだということが、きちんと分かるシーンもある。ドタバタと、ものすごく熱―いシーンとの、急激な緩急だけど、ちゃんと伝わってくる。
とにかく熱い(笑) 全国大会ベスト4のチームに惨敗した後、学校まで走って帰るシーンを延々と映す。とうとう、次々と倒れてしまうと、サンナムの大演説。「俺達が来た! ボコボコにしてやる! そう叫ぶんだ! ウォー!」と胸をガンガン叩きながら叫ぶ。もちろん泣きながら。そして、野球部員達も次々胸をガンガン叩きながら叫ぶ。熱過ぎるなと思ったら『シルミド』の監督だった。なるほど(笑) でも、相手が少年達であるという事が、この男くさい熱さをとっても爽やかにしている。そして、サンナムは教師や親達が、耳が不自由な彼らを特別扱いしないようにと、過剰反応してしまい、逆に彼らを特別扱いしてしまっていることを気づかせる存在にもなっている。
野球シーンはなかなかの迫力。ルールを知っているとより楽しめるかも。耳が不自由なためランナーの動きが分かりにくく、投球モーションが大きいため盗塁されやすい欠点を克服するため、キャッチャー、ピッチャー、ファーストが自分達でサインを決めてけん制球の練習をするシーンでは、王道ゆえにこれが後に彼らに喜びと、悲しみをもたらしてしまうのではないかと思っていると、その通りに(笑) その悲劇はルールを知らないと、何が起きたのか分からないかも。そんなに詳しくないけど、かろうじて知っていたので、その瞬間理解できて、より切ない気持ちになった。でも、野球シーンも意外とマンガっぽいので、ルールを知らなくても楽しめる。必ず感動シーンが盛り込まれているので、飽きることなく見れるので大丈夫。
キャストはほとんど知らなかった。ユソンは熱心で生徒思いの、ちょっと鼻っ柱の強い女性教師を好演していたと思う。ドタバタ担当でもあるけど、あざとくなかった。彼女とサンナムのドタバタを緩和する教頭先生役のカン・シニルがすごく良かった。教頭先生自身の見せ場はそんなにないんだけど、その存在が場を和ませる。この役者さんの使い方も上手い。マネージャー役のチョ・ジンウンもドタバタ担当であざとさギリギリだけど、野球部のために球場走っちゃうシーンは笑えた。サンナムのチョン・ジェヨンが良かった。ちょっと遠藤憲一似。ツッパっている中にもコミカルで、熱―いセリフも似合っていて暑苦しくない。野球に対する思いも伝わってくる。そして何より子供達がかわいい。演技は正直拙いかもしれないけれど、その真っ直ぐさが見ている側の胸を打つ。
学校のある風景がいい。山に囲まれた田園風景の中、のびのびと好きな野球をする彼らは、実は守られている。一歩踏み出すということは、大きな世界に出て、自分達より大きな相手と対峙しなくてはならないということ。そんなことを表しているのかなと考えつつ・・・。まぁ、実在のソンシム学校がそういうところなのかもしれないけれど(笑)
何度もしつこいけれど、かなりベタな王道ストーリー。144分と長いし、シネマート新宿と銀座シネパトスのみっていうのも気がかりだけど、見て損はないと思う。
『ホームランが聞こえた夏』Official site
yaplog!で当選。いつもありがとうございます! これ、タイルトルと爽やかそうな写真に惹かれて応募。上映時間144分と長いので、ちょっと人を誘うの躊躇する長さ(笑) というわけで、一人で行ってきた。
*ネタバレありです

これ高校野球の話で爽やかそうだなと思って応募。てっきり日本映画だと思っていたので、始まったら韓国語で話していてビックリ(笑) イヤ、韓国に甲子園的なものがあるとは知らなかったので・・・。チラシによると韓国の高校野球は部活動の一環と言うより、少数精鋭制のプロ野球予備軍の要素が強く、全国で野球部があるのは50数校のみ。韓国の甲子園と呼ばれる”鳳凰杯”にも地区予選はなく、全高校が出場する。本作のモデルとなったソンシム学校野球部は、2002年に9人で創部され、高校野球部として正式に登録。強豪たちが集う大会での一勝を目指しているとのこと。ベースとなっているのは、おそらくこの辺りのことだけかと思われる。全国大会レベルの高校が出場するという意味では、日本の甲子園と同じだけど、ソンシム野球部をとりまく環境というか、温度差はあるのかなと思ったりする。本作も描かれてはいるけど、そういう社会的な事よりも、スポ根モノという要素の方が強いのかなと思う。
冒頭、中学野球部全国大会の決勝戦と思われるシーンから始まる。マウンド上のミョンジェは中学最高のピッチャー。耳に違和感を覚えながらも、自らの投球で勝利を手にした瞬間、激痛と耳鳴りに倒れてしまう。チラシのあらすじによると、このミョンジェを主人公として想定しているみたいだけど、全体的に見ると主人公は暴力事件を起こしたプロ野球選手サンナムのように思う。と、こんな書き方をしていることからも伝わるかと思うけれど、韓国映画にありがちないろんな要素を詰め込んだ作品で、苦手なドタバタもあったし、呆然とするくらい熱いシーンもある。そしてツッコミ所満載だけど、ゲンナリすることなく、泣くことはなかったけれど感動したりしていた。これだけ詰め込んだのに、上手くまとめているのはスゴイと思う。まぁ、144分あるけど(笑)
『ハーモニー 心をつなぐ歌』の感想にも書いたけど、韓国映画の中には感動させるためなら、多少事実を捏造してもOKという作品があることは事実。それは何も韓国映画に限ったことではない。でも、ハリウッド映画ほど笑えるくらいやり過ぎなスケール感でもなく、日本映画のようにサラリとしてもいず、他の国よりも多少見ている側に知識があったりするためか、その捏造ぶりがあからさまな気がする(笑) その辺りがなんとなくお国柄なのかなという気がして、世の韓流ドラマ好きの方々は、そのベタな感じを含めて、感動しているのかなと思ったりもするのだけど、個人的にはその感じがちょっと・・・。もちろん、好きな韓国映画もたくさんある。キム・ギドク監督の作品は好きだし。で、つらつら韓流批判ですかと言われてしまいそうだけど、そういうわけではなくて、好みは人それぞれであるということと、ツッコミ所満載でかなりベタだけど、この作品は嫌いではなかったということが言いたいわけです。最近、何かとデリケートな話題なので・・・(笑)
しつこいけれど、ホントにベタでツッコミ所満載。冒頭のミョンジェはどう見ても中学生に見えないし、野球は名投手が一人いても勝てないというのは分かるけれど、いくらなんでも打たれ過ぎだろうとか、女性教師が「どれだけ強いか見て下さい」と豪語したわりには・・・だし(笑) 展開はあらすじのまま、暴力事件を起こしたプロ野球選手が、嫌々ながら弱小野球部のコーチとなるが、彼らの姿に心打たれて忘れていたものを思い出して再起する話。チームが飛躍的に強くなるためには、スター選手が必要だけど、彼は挫折を味わい野球から離れてしまっている。反発し合いながらも、惹かれあう女性も必要ってことで、これが野球部顧問の女性教師。コーチがやる気になっていくところや、自らスター選手を説得に行くところ、全国レベルを思い知らされて挫折、野球部存続の危機もある。全5巻くらいの野球マンガを一気に読んだ感じ(笑) でも、これが不思議とあざとくなく、感動してしまうのは、王道中の王道だからというだけではないと思う。
女性教師との掛け合いや、サンナムのマネージャー登場シーンは、ドタバタしている。韓国映画にありがちなドタバタが苦手な身としては、ちょっと引き気味だったのだけど、これがあざとさギリギリで笑える感じになっている。この辺は2人の悩みとか夢とか真面目な部分もきちんと描いているからだと思う。そして、それはサンナムについても同じ。彼の傲慢な態度は、実は野球に対する熱い思いや、責任感、迷いなどの様々な感情を上手くコントロールできないからで、それが暴力になってしまうのだということが、きちんと分かるシーンもある。ドタバタと、ものすごく熱―いシーンとの、急激な緩急だけど、ちゃんと伝わってくる。
とにかく熱い(笑) 全国大会ベスト4のチームに惨敗した後、学校まで走って帰るシーンを延々と映す。とうとう、次々と倒れてしまうと、サンナムの大演説。「俺達が来た! ボコボコにしてやる! そう叫ぶんだ! ウォー!」と胸をガンガン叩きながら叫ぶ。もちろん泣きながら。そして、野球部員達も次々胸をガンガン叩きながら叫ぶ。熱過ぎるなと思ったら『シルミド』の監督だった。なるほど(笑) でも、相手が少年達であるという事が、この男くさい熱さをとっても爽やかにしている。そして、サンナムは教師や親達が、耳が不自由な彼らを特別扱いしないようにと、過剰反応してしまい、逆に彼らを特別扱いしてしまっていることを気づかせる存在にもなっている。
野球シーンはなかなかの迫力。ルールを知っているとより楽しめるかも。耳が不自由なためランナーの動きが分かりにくく、投球モーションが大きいため盗塁されやすい欠点を克服するため、キャッチャー、ピッチャー、ファーストが自分達でサインを決めてけん制球の練習をするシーンでは、王道ゆえにこれが後に彼らに喜びと、悲しみをもたらしてしまうのではないかと思っていると、その通りに(笑) その悲劇はルールを知らないと、何が起きたのか分からないかも。そんなに詳しくないけど、かろうじて知っていたので、その瞬間理解できて、より切ない気持ちになった。でも、野球シーンも意外とマンガっぽいので、ルールを知らなくても楽しめる。必ず感動シーンが盛り込まれているので、飽きることなく見れるので大丈夫。
キャストはほとんど知らなかった。ユソンは熱心で生徒思いの、ちょっと鼻っ柱の強い女性教師を好演していたと思う。ドタバタ担当でもあるけど、あざとくなかった。彼女とサンナムのドタバタを緩和する教頭先生役のカン・シニルがすごく良かった。教頭先生自身の見せ場はそんなにないんだけど、その存在が場を和ませる。この役者さんの使い方も上手い。マネージャー役のチョ・ジンウンもドタバタ担当であざとさギリギリだけど、野球部のために球場走っちゃうシーンは笑えた。サンナムのチョン・ジェヨンが良かった。ちょっと遠藤憲一似。ツッパっている中にもコミカルで、熱―いセリフも似合っていて暑苦しくない。野球に対する思いも伝わってくる。そして何より子供達がかわいい。演技は正直拙いかもしれないけれど、その真っ直ぐさが見ている側の胸を打つ。
学校のある風景がいい。山に囲まれた田園風景の中、のびのびと好きな野球をする彼らは、実は守られている。一歩踏み出すということは、大きな世界に出て、自分達より大きな相手と対峙しなくてはならないということ。そんなことを表しているのかなと考えつつ・・・。まぁ、実在のソンシム学校がそういうところなのかもしれないけれど(笑)
何度もしつこいけれど、かなりベタな王道ストーリー。144分と長いし、シネマート新宿と銀座シネパトスのみっていうのも気がかりだけど、見て損はないと思う。
