'14.12.04 『ゴーン・ガール』(試写会)@TOHOシネマズ市川コルトン
TOHOシネマズの試写会企画・・・ だったと思う!で当選 全国のTOHOシネマズで同時開催される試写会で、都内では3か所で意外に不便だったので、TOHOシネマズ市川コルトンで応募。倍率も低そうだったので(笑) これが的中して見事当選! 定時上がりして行ってきたー!
「結婚5周年の記念日の朝、妻エイミーが失踪した。リビングには争った跡があり、キッチンには血痕が見つかる。被害者だと思われていた夫のニックに、エイミー殺害容疑がかかるが・・・」というあらすじは、映画の半分も語っていない。これはホントに面白かった! 見る前は2時間29分という長さに、若干不安もあったのだけど、すっかり引き込まれてあっという間だった! サスペンス映画だけど、これ実はものすごい人間ドラマでもあるのかも。
デヴィッド・フィンチャー監督作品。フィンチャー作品は『セブン』『パニック・ルーム』『ゾディアック』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(感想はコチラ)『ドラゴン・タトゥーの女』を見ているので、結構見てる方だね! エドワード・ノートン好きなのに『ファイト・クラブ』見てないし、録画して安心して『ソーシャル・ネットワーク』見てないけど(o´ェ`o)ゞ 原作は脚本も担当したギリアン・フリンの同名小説。2012年に出版され600万冊を売り上げてベストセラーになったそうだけれど、自身は未読。毎度のWikipediaによりますと、原作を読んだ製作者レスリー・ディクソンが、リース・ウィザスプーンに話を持ち掛けたそうで、ウィザスプーンはディクソン、ブルナ・パパンドレアと構想を展開し、映画制作エージェントのシャリー・スマイリーと制作会社を2012年初めに探し求めたそうで、9月11日にはキャストを必要としないシーンから撮影を開始したとのこと。リース・ウィザスプーンは今作では製作者としての参加で、出演はしていないのかな? カメオ出演とかもしてない? してたとしても自身は気づかなかった(笑)
2014年9月26日、第52回ニューヨーク映画祭でワールドプレミア上映、10月3日世界的に公開され好評を得る。北米では3,014の劇場で公開され、初日の興収は1,320万ドル。週末の興収で1位を獲得。ちなみに2位は『アナベル 死霊館の人形』 北米以外で特に高いヒットを記録しているのはイギリスらしい。なぜだろう? ロザムンド・パイクがイギリス人だから? 観客の60%が女性で、75%が25歳以上とのこと。これはなんとなく分かる(笑) これはやっぱり大人が見る映画だし、特に既婚者が見るといろいろ思うところがありそうな気がする・・・ 自身は未婚だけど、年齢は立派な大人なので、もう結婚にファンタジーを抱いていないせいか、ラストに思うところがあったので・・・
うーん・・・ これどうやって書こうかなぁ・・・ いつもだと、場面ごとに展開を書いて、そこにちょこちょこ感想を入れてるんだけど、それだとこれあんまりおもしろくないというか・・・ 一応、失踪された側のニック側メインで描かれるのだけど、時々エイミー側からも描かれる。それらが、伏線だったり謎だったりしつつ、ニック側が謎を解いたりして、見ている側をミスリードさせたりしつつ進む。それが絶妙。その視点は現在だったり過去だったりするのだけど、そこで語られていることが本当かどうかは分からない。それがスゴイ!
少しだけ立ち読みした原作と同じく、ニックのナレーションから始まる。妻のことを考える時、頭の形から思い浮かべると、彼女を愛しく思っているふうでありながら、頭蓋骨を割って中を見てみたいと急に不穏になる。彼女が何を考えているのか? そう、これきっとカップルとか夫婦とかで見たら、お互い本当はどう思っているのかと思っちゃうかもしれない・・・ まぁ、彼女の場合はちょっと違うと思うけれど・・・ 美しい妻のアップから一転、まだ薄暗い朝家の前で佇むニック。そこに「失踪当日」の文字・・・ 彼が家に戻ると、リビングには争った跡。ガラスのテーブルが割られている。ニックは警察に通報したようで、ロンダ・ボニー刑事が部下を連れてやって来る。キッチンには飛び散ったと思われる血がついており、2階ではアイロンがつけっぱなしだった。何者かによって連れ去られたと判断される。
ニックは事情聴取を受けるけれど、彼女の友人関係も知らなかったし、血液型も知らなかった。血液型占いがあるのは日本だけと聞いたことがあるので、外国人は恋人の段階ならば血液型は知らないのかもしれないけど、さすがに夫婦となると変だよね? 事実、ボニー刑事たちも不審に思った様子。この辺りも後から考えるとトリックなのかな? その後、夫婦の関係はニックの証言と、日記をつけているエイミーの回想という形で見せられる。ここにトリックがある!
ニックとエイミーはあるパーティーで出会った。ニックは雑誌のライターで、エイミーはクイズ製作者。実はエイミーは、作家である父親が書いた「Amazing Amy(完璧なエイミー)」という超有名児童文学のモデルだった。ボニー刑事も「奥さんがあのエイミー?」と感激しているくらいなので、かなり有名な作品らしい。エイミー自身の経歴も、ハーバード大学出身だったりと輝かしいものだけれど、小説のエイミーに勝てるわけはなく。その辺りにコンプレックスを抱いていた様子だし、実際パーティーなどで完璧なエイミーとして見られて困惑するシーンがあった。これは辛い・・・ そんな中、彼女自身を愛してくれる男性を見つけた。それがニック。ニックは皆のエイミー評を批判するかのように、彼なりの言葉でエイミーを称えつつプロポーズする。まさにエイミー絶頂期! いずれにしても、彼女の生い立ちが関連してくるであろうことは、サスペンス系が好きなら予想してしまうところ。この辺りの刷り込みも上手いと思った。
New Yorkで暮らし始めたニックとエイミー。しばらくは幸せな日々が続いた。2人の仕事が上手く行かなくなってきた辺りから歯車が狂い始める・・・ そこに2人の親の問題も重なる。エイミーの父親は出版社との契約を切られ、彼女に借金を申し込んできた。決して少ないとは言えない金額を、彼女はニックに内緒で融通してしまう。そのことで激しい口論となる。まぁ、エイミーの気持ちも分かるし、エイミーも言う通り自分のお金ではある。でもねぇ・・・ 逆にニックは、自身の母親が末期ガンと診断され、自身も失業したこともあり、実家のあるミズーリ州の田舎町に引っ越すことを勝手に決めてしまう。ニックが故郷へ帰ろうと考えたのは、双子の妹マーゴットとThe Barという名前のバーを共同経営するためでもある。一応、カレッジで芸術表現の講師もしているけども・・・ まぁ、そういう事情もあるので、故郷へ帰るのは仕方がないとしても、相談なしというのは・・・ とか思うのだけど、後から考えるとこれらはほぼ、エイミーの日記に書かれたこと。そこがキーポイント。
予告やチラシなどでも、エイミーは失踪したのではなく、ニックに殺されてしまったのではないか?と匂わせている。実際殺してしまったのかはともかく、少なくともニックがマスコミに追われ、住民などからも疑惑の目を向けられることは予告で見せられていた。なので、そういう展開になって行くのだろうと予測しながら見ていた。冒頭のシーンから直ぐに、ニックはThe Barにやって来る。この時点ではニックの店であることも、カウンターの中でニックを相手してくれる女性が双子の妹であることも知らされていない。ニックと女性の態度はとても近しい感じで、2人ともニックとエイミーの結婚が上手く行っていないことを隠しもせずに語るシーンが入る。クイズ製作者だったエイミーは、結婚記念日のプレゼントを宝探し形式で渡すらしい。新婚当時は楽しかったそれも、5年目ともなれば面倒という態度。ダラっとした態度で、午前中からお酒を飲むニックに不快感を覚える。この辺りも上手い。でも、先日「笑う洋楽展:年末スペシャル」観覧時にMJも言ってけど、自分は楽しめなくなっているのに、いつまでもつき合わされるのは辛いかも・・・ だから、できない約束はするなって言うのがMJ発言の主旨で、ニックの宝探しの場合は勝手に巻き込まれただけに厄介なのだろうけれど・・・ でも、これもまた伏線で、後にニックは必至で宝探しをすることになる。この辺りも上手い!
さて、ニックは警察の勧めもあって、エイミーの両親と会見を開き情報提供を訴える。笑顔を求められて仕方なく応じるが、これが後に悪用される・・・ 義父母はエイミーは最高の娘だとベタ褒め。まぁ、失踪した娘の不利になるようなことを言わないのは普通のことだと思うけれど、この時点ではエイミーのことはほとんど分かっていないにも関わらず、何故か違和感がある。おそらく"完璧なエイミー"を演じていたのだろうと感じるから。義父母が彼女を追い込んだのでは?と思ったりもする。初めから、ニックに嫌疑がかかるのだろうと思って見ているから、逆説的にニックは殺してはいないのだろうという目線で見ている。もちろん、そう思わせて逆のパターンという作品もあるけれど・・・ その辺り、ニック役がベン・アフレックであるというのが絶妙。何故、絶妙なのかは後ほど分かる(笑)
さて、ニックは愛する妻を探す悲劇の夫として注目を集めることになる。と、同時に捜査が進むごとにニックに不利な証拠が出てくる。まず、結婚記念日のプレゼント宝探しのヒント1が見つかる。ヒントを手掛かりにボニー刑事と共に自身の事務所に向かうと、そこでヒント2と共に真っ赤なセクシーパンティーが見つかる。意外にも動揺を見せないニックだったけど、ボニー刑事にはニックに対して疑惑が芽生える。ヒント2の謎はなかなか解けない。エイミー捜索ボランティア慰労会場に出席してみれば、あまりににこやか過ぎると義父母に言われ、おまけに単なる話題欲しさのバカ女なのか、仕込みなのかは不明だけどスマホでツーショットを撮られてしまう始末。消去を依頼すると逆切れして帰って行き、後にテレビ局に売られてしまう・・・ そのネタを入手したからなのか、エレン・アボットという女性キャスターはニックを犯人扱いして報道し始める。その際、コメントを求められていたターナー・ボルト弁護士に、後に弁護を依頼することになるので、決して悪いことばかりではなかったのだけど・・・ しかし、マスコミは洋の東西を問わず怖い! だって、この時点ではニックはあくまで失踪者の夫であって、容疑者ではない。なのにまるで犯人扱い・・・ こんなの許されるの?
とはいえ、ニックも脇が甘い部分があるのは確か。家宅捜査中のため(だと思われる)妹の家に寝泊まりしているけれど、なんとそこに愛人アンディが訪ねてきちゃう。これが絵に描いたようなバカ女で、ホントにニックを愛していたら、こんな時に下着みたいな服装で会いに来たりしないだろうと・・・ どうやら、カレッジの教え子らしい年下の小娘を、体よく追い払うことも出来ず、ついつい一夜を共に過ごして妹を呆れさせる。もちろん見ている側も呆れる(笑) もちろんこの愛人は後にニックを裏切る。
警察の捜査が進むと同時に、観客にはエイミーの日記の再現場面が見せられる。どうやら、エイミーは妊娠していた可能性が出てきた。エイミーは子供を望んでいたが、ニックが望まず口論になる場面が見せられるけれど、ニックはこれを否定。子どもを望んでいたのは自分で、人工授精のために精子提供したが、エイミーがその書類をゴミ箱に捨てたと証言。どちらが正しいのか? ボニー刑事は冤罪を防ぐためになるべく中立の視点で見ようとしているようだけれど、部下の男性警官は完全にニックを犯人扱い。見ている側にも、嘘をついているのはどちらか?という視点で見て欲しいのだとは思うけれど、前述の理由もあって、ニックは犯人ではないという視点で見ていた。分かりやすい誘導があったわけではないけれど、本当に見せたいのは"犯人は誰か"ということではないから。前述したとおり原作は未読なので、今作がどこまで原作に忠実に描かれているのかは不明だけど、原作者のギリアン・フリンが脚本も手がけているのだから、今作が言いたいことは基本同じだと思う。
さらにニックの多額のカード債務が発覚する。大型テレビや、高級ゴルフクラブなど限度枠いっぱいまで購入している履歴が見つかる。しかし、ニックには買った覚えがないし、自宅からも見つからない。では、いったい誰が買ったのか? ここに至りこれはエイミーが仕組んだことだと気づくニックとマーゴ。解けなかったヒントを解読、父の家に向かうと最後のヒント。そのヒントを解くとマーゴの家の物置小屋に、大量の品物と共にニックへのプレゼントが・・・ これはヤバイ! 自分が犯人に仕立て上げられてしまう!
エイミーには過去に彼女につきまとったため、彼女に近づくことを禁止されている男性デジー・コリンズと、彼女をレイプしたとして訴えられた男性トミーがいた。この辺りも観客が彼女を疑う要因。いくらモテモテでも、そんなに被害にあいますかね? ニックはNew Yorkへ向かい、エレンの番組で自分に弁護を依頼して欲しいと言っていたボルト弁護士を訪ね、弁護を依頼。その際、2人の男性に会うことにしていた。1人目はレイプ被害を訴えられた男性トミー(『FRANK -フランク-』(感想はコチラ)のスクート・マクネイリー)。彼から衝撃の事実を聞く。最初はエイミーに夢中だったが、次第に束縛されて気持ちが離れたため、少しずつ距離をとったところ、ある日突然訪ねて来て、彼女の方から激しいセックスを求められた。合意のもとの行為だったのに、翌日レイプされたと訴えられた。証拠は全て自分に不利なものばかり。間違いなく彼女にハメられたのだと・・・ 怖い(((;゜д゜))) そう、ニックも同じ目に合っているのだった! 更なる証言を集めようと、コリンズを尋ねるけれど、人嫌い感丸出しの変わり者の富豪という感じのコリンズに門前払いされてしまう。
エレンの番組ではますますヒートアップしてニックを犯人扱い。双子の妹マーゴとの関係を異常とし、2人は近親相姦の間柄にあるのではないかと示唆。これホントに人権侵害でしょう! ここまで言って煽って本当に犯人だったら、お手柄ということになるのかもしれないけど、無実だったらどうするつもり? その答えは後に明らかになるけど、マスコミには本当に呆れる! ニックはキャップで変装しなければ歩けないほど。The Barの前では記念撮影をする人々も! マスコミに煽られたこういう人たちも本当にタチが悪い・・・ 一切罪悪感のない感じ。そして、とうとうニックに追い打ちをかける出来事が! 何度目かのボランティアを集めての捜索依頼の際、エイミーの親友だと名乗る女性が、ニックを罵倒したのだった。マスコミも多数集まる前で、エイミーが妊娠していたこと、それを承知でニックが暴力を振るったことを大声で叫ぶ。聴衆の中でそれを聞いた愛人のアンディもニックに対して怒りを覚える。もう完全にニックは犯人扱い。
さて、ニックの動きと並行してエイミーの動きも見せられる。この失踪は全てエイミーが仕組んだこと。自分の思い通りの夫にならなかったばかりか、愛人まで作ったニックが許せず、ニックの犯罪を偽装して自ら命を絶ち、ニックを死刑にしようとする計画! 怖い・・・(((;゜д゜))) 争った跡が偽装であるようにあえて見えるようにしたり、後に大量のルミノール反応が見つかるキッチンの血も、自らの血を抜いて撒き、後に見つかるように粗く拭いた。争った跡が見つかるよう血痕も残した。近所のバカ女(エイミー談)と友達になり、ありもしないニックのDVを相談、しかも妊娠中の彼女の尿を自宅トイレに細工して採取。それを持って病院に行き妊婦としてのカルテを作る。後に、ボニー刑事によって発見される日記は、数本のボールペンを使い分けて記載。ニックのDVなどは嘘だけれど、調べられたら困る部分については真実を書く。近所の妊婦のことは友達などとは思っていなかったけど、アチラから見れば友達だったのは間違いないわけだし・・・ 当然、カードで高級品を買い漁ったのもエイミー。ニックへの結婚5周年のプレゼントは、木製のパペット。その一部を凶器に見立てる。もうホントに鮮やか! この才能をサスペンス小説を書くとかに役立てたら良かったのに(笑)
エイミーは車で逃げる途中、長い髪を切り染めて変装し、田舎町のモーテルに潜伏する。誤算だったのは隣家の女性が好奇心旺盛な人物だったこと。なるべく人との接触を避けようとしているのに、何かと自分に絡んでくる。そのうち、気を許したのかゴルフゲームのようなもので一緒に遊んでいる時、大量の札束を身に着けていることを発見されてしまう。危険を感じたエイミーはモーテルを去ろうと計画。指紋を拭き取り荷造りしていると、隣家の女性と彼氏が現れる。彼女たちはエイミーの変装に気づいていた。エイミーは全財産を獲られてしまう。この隣家の女性と一緒に自分の失踪を伝える番組を見ているシーンがあったので、てっきり彼女がエイミーの正体に気づき通報するのかと思っていたら違った(笑) この潜伏している時のエイミーの態度が、ホントにふてぶてしくてイライラ! 見せられていた美しく品があって知的な姿とは別人。アバズレという感じ。この辺りが上手い! 本当の彼女はこういう人なんだよねきっと・・・ そして、このエイミーの性格も後の伏線なんだと思う。
さて、現金を奪われてしまったエイミーは、なんとデジー・コリンズを頼る。ニックやトミーにしたことから考えると、コリンズのストーカー疑惑もエイミーの策略によるものと思えなくもないけれど、このコリンズは今でもエイミーを忘れられないらしく、自らの別荘に匿うことにする。これがもうスゴイ豪邸! New Yorkも豪邸だったけど、あちらはアールヌーボーとかデコとかアンティークっぽい重厚感のある感じだった。まぁ、玄関先しか見てないけど(笑) こちらは、最先端のセキュリティシステムを配したモダン住宅。もう、エイミーが来てくれたことがうれしくて仕方がないという感じで、超VIP待遇! この役を演じているニール・パトリック・ハリスの神経質そうな感じが、コリンズの異常性というか、ちょっと普通ではない感じを引き立てている。ホメてます!
一方、ニックはボルトの提案で、人気女性キャスター シャロン・シーバの番組に出演する。ここで好印象を与えられれば、現在ニックに向けられている疑惑の目を反らすことが出来る。しかし、愛人アンディが義父母と共に会見を開き、自身がニックの愛人であったことを暴露。ニックは一気に不利になり、シャロンもボルトも出演を渋る。しかし、ニックは自分に任せて欲しいと出演を強行。録画は満足が行くものだったらしく、マーゴと共に晴れ晴れとした様子で帰宅。そんな中、ボニー刑事たちは父の家で燃え残ったエイミーの日記を発見。さらに、エイミーからの密告電話で、マーゴの物置を捜索。大量の証拠物件を見つけてしまう。これ、何で放置してたかなぁ・・・ しかし怖い女だ・・・ でも、本当に怖いのはこれから( ̄ー ̄)ニヤリ
ニックは逮捕されてしまうけれど、ボルトの尽力で不起訴処分となり釈放される。そして、シャロンの番組が放送される・・・ プリンを食べながら高級ソファで番組を見るエイミー。コリンズの言葉も耳に入らない様子・・・ そもそも、コリンズが彼女に執着し、引っ越してくるというのをウザったく思っていたところだった。画面にくぎ付けになるエイミーの表情が変わる! ここのロザムンド・パイクの演技は必見! そして、翌日彼女が取った行動が・・・
翌朝、New Yorkに戻るコリンズに激しくキスするエミリー。コリンズの唇からは血が流れる。「こうやって着るのよ」とアドバイスをしつつ、ぴっちり整えた彼の髪を乱し、シャツも乱す。ちょっと戸惑いながらも笑顔で出ていくコリンズ。玄関外で唇の血をぬぐう姿が防犯カメラに映る。彼が去ったことを確認した後、下着を裂き、髪を乱し、お腹の辺りに赤ワインを撒く。足首にはロープを巻き付け、窓際で泣き叫ぶ演技。この家には至る所に防犯カメラがある。そう、カメラの位置を熟知し、編集操作も覚えたエイミーは、コリンズにレイプされたように偽装したのだった。その夜、ワインのボトルで自ら膣を傷つける。すごいね・・・ その上で、コリンズをベッドに誘い、行為が始まったところで彼の喉を切り裂く。イヤ、ホントにあっぱれ! 普通の女性には出来ないわこんなこと・・・ 要するに普通じゃないってこと。
翌朝、彼女は血まみれのまま自ら車を運転し、ニックのいる自宅へ帰って来る。その様子をニックの家に張り付いているマスコミが撮影する。病院へ運ばれたエイミーは、検査を受けた後、FBIの簡単な聞き取りを受ける。実はコリンズとは手紙のやり取りをしていた。あまり刺激をしてはいけないと思ったし、気の毒な部分もあった。それが彼をつけあがらせてしまい、あの日彼にさらわれてしまった。その後は別荘に監禁されていたと語る。完全にエイミーに同情的なFBI捜査官たち。ただ1人彼女に疑惑の目を向けるボニー刑事。被害者を装っているけれど、レイプされて相手を殺した女性にしては落ち着きすぎていないか? 鋭い質問を向ける彼女に、抑えてはいるけれど苛立ちを見せるエイミー。それに気づかない男性FBI捜査官たち。このボニー刑事が女性なのは、このシーンのためにあったのねと思うくらい、女性には絶対にエイミーがおかしいことが分かるのだけど・・・ まぁ、男性でも観客はエイミーの芝居だということが分かっているわけだから、ボニー刑事目線ではあると思うけれど、上手く言えないけど女性には女性の本性が分かるところがあるからね( ̄ー ̄)ニヤリ
エイミーと共に自宅に戻ったニック。集まった人々からはエイミーコールが起きる。晴れやかな笑顔で答えるエイミー。家に入ると早速彼女を問い詰めるニック。隠しマイクがあると困るからと、シャワーを浴びるエイミーと共に、全裸で話を聞くことになる。顔色も変えずにコリンズ殺害を認めるエイミーに戦慄するニックと観客。まぁ、観客は知ってたけど・・・ エイミーは平然とニックとこれからも夫婦として暮らすつもりだと語る。ニックは自分には無理だから出て行くと答える。シャロンの番組でのニックは出会った頃のニックに戻ったじゃないかと主張。そう、ニックは自分の過ちを認め、エイミーへの愛を語ったのだった。もちろん、それは芝居だと言うニックに対し、自分が求めているニック像が分かったからこそ演じられたのだから、それは自分を理解できているということであって、つまり2人はピッタリの相手だと言う。これすごくないですか? 顔色も変えずに言うわけで、思わずコワ━━━((;゜Д゜))━━━!!です。
ニックはボニー刑事とボルトに相談するけれど、エイミーの証言もニックしか聞いておらず、隠しマイクも仕込めなかったので録音もできていない。ニック同様、証拠は全てコリンズに不利。ボニー刑事としても、ボルトにしても誘拐などなく、全てはエイミーの自作自演で、しかも利用した上で邪魔になったコリンズを殺したのだと分かっていても、どうすることもできない。結局は、エイミーの筋書き通りで事件は解決という形に・・・ ちょっとコリンズがかわいそう過ぎないか?と思っていると、さらに残酷な目に遭う人物が・・・
ニックはエイミーと対決すべく自宅に戻り、やはり自分には結婚生活を続けることは無理だと告げる。するとエイミーは妊娠検査機を取り出す。驚愕するニック。身に覚えはない・・・ まさか?!でも、提供した精子についてはエイミーが廃棄手続きをしたのでは?! そう、彼女は体外受精で妊娠していた。逃亡中の彼女の下腹が大きくなっている気がしたシーンがあって、あれ?(o゜ェ゜o)と思ったのだけど、自堕落な生活になったからか?と思っていたらまさかの・・・ もうホント怖い・・・ そこまでしますか? まぁ、でも結局自殺するのは止めたけど、本来は自殺する計画だったわけで、その際妊娠していないと変だからね。事前に手は打ってあったってことか・・・ しかしスゴイ! 完全にニックの負け。その後、ニックはマーゴに事の顛末を語る。双子の兄の運命に号泣する妹。ニックは生まれて来る子供のために、自らを犠牲にする道を選んだのだった。子どもに対しては責任があると言うのだけど・・・ うーん・・・ 少なくともニックはエイミーに対して愛情は持てない。そんな父親のもとで育つ子供は幸せなのか? ニックが真実を隠し通せれば、上手く行くのか? この選択が正しいのかどうかは誰にも分からない。
映画は、2人がエレン・アボットの番組に出演するシーンで終わる。エレンはニックを犯人扱いした女性キャスター。ニックが彼女を責めると、形だけは謝罪するけれど、反省など一切していない。むしろ怪しいところがあったニックが悪いとでも言わんばかりの態度。犯人扱いしたと言えば、犯人だとは言ってない。妹と近親相姦の関係にあると言ったと言えば、近親相姦とハッキリ言ったわけじゃない。ムカつく! 確かにハッキリ言ったわけじゃなくても、そう思い込むように誘導してたのは間違いないわけで、こういうことって許されるのか?! 訴訟社会のアメリカで、これが問題にならないってことは、エレンの主張に対して勝てる要素がないってことなんでしょう。法律って何のためにあるんだろ? こうやって洗脳できちゃうマスコミに対して、泣き寝入りするしかないなんて・・・ ちょっと怒りの矛先が違っちゃったけど、これもホントに恐ろしいと思ったので・・・
2人は笑顔で無事に戻れたこと、戻ってくれたことを喜んでいると報告し、協力に感謝した後、父親と母親になることを報告。エレンの仰々しい祝福の言葉と共に、仮面の笑顔で終わる。怖い・・・ 自分の思う通りにならないと何をするか分からないエイミーと一緒に暮らすことになったニック。彼はこの先エイミーの"理想の旦那"のままでいられるのだろうか?
実際のセリフは何と言っていたのか不明なのだけど、字幕ではニックがエイミーのことを"サイコ女"と言っているシーンがある。自分としては、エイミーはサイコパスなんだと思う。確かに彼女の生い立ちは普通ではなかった。両親は特別彼女に厳しかった様子はない。高校時代にコリンズにストーカーされていたこと、トミーにレイプされたことも、言い方は変だけれど男性を狂わせてしまう魅力がある娘というような言い方だったし・・・ ただ、エイミーとしては「完璧なエイミー」と大きく乖離してはいけないという思いはあったと思う。常に自分を誰かの"理想的な娘"、"理想的な恋人"、"理想的な妻"であるべきだと思っていたから、相手にもそれを求めてしまう部分はあるのかも。そういう部分は、多少なりとも誰もが持っているとも思う。でも、相手が自分の思うとおりにならないからといって、レイプ犯に仕立て上げたり、犯罪を偽装した挙句、一時は自らの命を絶ってまでニックを死刑にしようとするのは、どう考えても普通じゃない。普通じゃないどころのレベルじゃないし・・・ 毎度のWikipediaによりますと、サイコパスの定義は、1:良心が異常に欠如している 2:他者に冷淡で共感しない 3:慢性的に平然と嘘をつく 4:行動に対する責任が全く取れない 5:罪悪感が皆無 6:自尊心が過大で自己中心的 7:口が達者で表面は魅力的 とのこと。完全に当てはまる。まぁ、これだけ長々書いてきて、要するにサイコパスと結婚してしまった憐れな男という結論になってしまうのはどうなの?と思うけれど(笑)
まぁ、ただこれエイミーとニックの例は極端だけど、エイミーが言う通り結婚にはそういう一面があるのかなと思ったりする。自身は未婚なので偉そうに語る資格はないのだけど・・・ お互い尊重し合って、いつまでも愛し合って行けるのが理想だけれど、それにはお互い努力が必要なわけで、それを"努力"と思ってしまったら不幸。相手のためを思う気持ちが自然にそうさせるのであれば幸せってことかと・・・ まぁ、映画としては、このラストが描きたかったわけで、夫婦という家族の最少単位がサスペンス、もしくはホラーたり得るってことを見せたかったのかなと。教訓的なことというよりは、衝撃的なものとして。そして、ある意味エンターテイメントとして。
キャストは皆良かった! というかキャスティングが絶妙過ぎる!コリンズのニール・パトリック・ハリスは「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」でトニー賞主演男優賞を受賞した実力派俳優だけど、彼の神経質そうな容貌がコリンズという役にある種の気持ち悪さを与えている。もちろん、ご本人の演技も素晴らしく、彼が単なる被害者なのか、彼がストーキングしていたのは本当なのかと思わせる。まぁ、結局は被害者だったけど・・・ そういう意味では、ニックのベン・アフレックのキャスティングも絶妙。何度か書いてきたけど、ベン・アフレックって、自身で脚本も書くし、監督もする才人なんだけど、どうも単体でベン・アフレックを見た場合、あまり頭が切れるタイプに見えない。どこかで人の良さというか、詰めの甘さが出ちゃうイメージ(笑) それが、全編を通して上手く作用している。テレビ番組での起死回生など、かなりニックも頑張ったのだけど、結果エイミーに勝てなかったという感じがピッタリ。ホメてます!
作品としては主役はニックなのだと思うけれど、この映画は完全にロザムンド・パイクの映画でしょう! 『リバティーン』(感想はコチラ)で初めて見た時は、その美しさにビックリしたし、役柄の女性のしなやかな強さもあって、とっても良かった覚えがある。その他『プライドと偏見』『アウトロー』(感想はコチラ)『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う』(感想はコチラ)を見た。どうにも『アウトロー』の役のイメージが強くて、残念な印象だった。本人の演技がダメだったわけではなくて、あの役自体がちょっと・・・ このまま自分の中で残念な美人女優となってしまうのかと思っていたところ、この役素晴らしいです! イヤ、役柄としては最悪なんだけど、よくやり遂げたねぇという印象。終わってみたらサイコパスだなと思うんだけど、高嶺の花として登場して、そんな彼女の生い立ちから来る孤独感や劣等感を見せつつ、DV夫に悩まさせる貞淑な妻と思わせ、中盤から一気にとんでもない悪女に変わる。その一連の流れが見事! ロザムンド・パイクの知的で、品の良い、でも少し寂しげな美貌が役にとっても合ってる。身を隠して普通のおばちゃんみたいになっていた姿も良かった。ホントにダウンしてたし。かなりの体当たり演技だったと思うけれど、これはホントにスゴイと思う。
New Yorkの2人の場面はスタイリッシュ。パーティーのシーンとかも素敵。2人が同じプレゼントを用意しちゃうレストランとか、ちょっとやり過ぎなくらい幸せそう。図書館の誰もいない閲覧室で・・・とかは、よく考えるとサイコパスの特徴(性的に淫ら)の描写なのかな? まぁ、サイコパスとは言ってないけど(o´ェ`o)ゞ ミズーリ州で借りた家は、日本人の感覚からすると豪邸。実はちょっとジャンプしたくらいで、棚の上の写真たてが倒れちゃうような感じではあるけど・・・ 部屋数も多いし素敵な家。失業した2人が借りる家にしては豪華なイメージだけど、その辺りがエイミーだけでなく、ニックの見栄っ張りな感じを表しているのかも? 絶対に美人で優秀な妻を持つ俺が自慢だった時期はあったと思うので・・・ 主な撮影はミズーリ州ケープジラードで5週間に渡り行われたそうで、田舎町の一体感と共に閉塞感もあって良かった。
音楽は『ソーシャル・ネットワーク』『ドラゴン・タトゥーの女』でも担当したトレント・レズナー。アッテカ・ロスとデヴィッド・フィンチャーと共同で楽曲提供すると発表したそうで、フィンチャー監督からは「気持ちが表向きだけの曲を」と依頼されたそうだけれど、これはどういう意味?(笑) まぁ、でもかっこよかったと思う。とはいえ、映画に集中しちゃって、音楽いつもあんまり記憶に残ってなかったりするのだけど・・・
久々に大人のサスペンス映画を楽しめた! サスペンス好きな方オススメ! ベン・アフレック好きな方是非! ロザムンド・パイク好きな方必見!