録画しといた『家族の波紋』見た。WOWOW放送の日本未公開作品。別荘に集まった裕福な家族の間に、微妙な波紋が広がるという感じで、特別大きな事件が起きることもなく、淡々とした語り口。好きなタイプの映画だけど、DVDに残すほどじゃないかなw トムヒ初主演作品。トムヒファンは好きかも?
日本未公開作品を放送する、WOWOWのジャパン・プレミア枠。いろんなタイプの作品が紹介されるけれど、やっぱりミニシアター系というか、派手さはないけどじっくり見れる作品が多いような・・・ 今作もそんな感じ。
「1年間のボランティア活動のため、アフリカへ向かう息子エドワード。旅立ちの前、母親は別荘で家族の時間を過ごそうと提案するが、父親は来ようともせず、家族の間の微妙な溝が浮き彫りになり・・・」という感じの話。まぁ、家族をテーマにした作品は数多く作られてきたので、そんなに目新しい作品でもない。tweetにもあるとおり、大きな事件が起きるわけでもなく、淡々とした語り口なので、夜中に見ててウトウトしてしまい、実は2度目の鑑賞となった(笑)
行間を読ませるかのような説明の少ないセリフ、淡々とした語り口、登場人物たちの問題や微妙なズレを、美しい映像で見せる感じ。そういうタイプの作品は好きなので、この作品も嫌いではない。とにかく映像が好き。舞台となるのはシリー諸島という、イギリス南西部コーンウォール半島の沖合に位置する、140の島からなる場所だそう。その島にある別荘とその周辺が舞台。イギリスにありがちな晴れてはいても、カラッと晴天という感じではなく、わりとどんよりと曇天の方が多い。BGMは一切なく、鳥の鳴き声や、木々のざわめきが心地よい。そこで、朝起きて朝ごはんを食べ、ピクニックに行ったり、海辺で絵を描いたりして、家族で夕食を食べ、そして眠るというような、日常が淡々と描かれる。島だからなのか、太陽の感じも、画から伝わる気温なども違うのに、どこかバリ島とかののんびりとした開放感のようなものが感じられる。でも、描かれているのは家族の中の閉塞感・・・
別荘を持っているのだから、それなりに裕福な家庭なのだと思われる。家政婦の女性も雇っているし・・・ この家政婦の女性との家族の距離の取り方が興味深い。現実的で将来設計もきちんとしている、しっかり者の姉と違い、未だに自分の道を決めかねているエドワードにとって、母親と姉との会話は窮屈。自然、家政婦の女性との会話が増える。姉の言うようにエドワードには、周りを気にして気を遣い過ぎるところがある。悪い言い方をすると、八方美人というか・・・ 母親と、特に姉にとって、家政婦はあくまで家政婦で、雇用者と従業員という関係。この家族の階級がどんな感じなのかは不明だけど、階級社会のイギリスにあって、そういう区別は大切なのかもしれない。姉としては線引きをキッチリすることが、彼女にとってもいいのだという考え。エドワードはその辺りに違和感がある様子・・・
現実的な姉の言う事も間違ってはいないと思うし、20代後半になっても定職もなく、恋人も置いて1年間アフリカでボランティア活動をするという弟を、心配する気持ちも、何をしているのかとイライラする気持ちも分かる。自身はストレスを抱えながら頑張っているのでしょうし・・・ でも、自分が全て正しいという姉の態度もちょっと・・・ 鶏料理に火が通ってなかったとウエイトレスに言うのはいいとしても、生煮えで危なかったのだから、この料理はもう怖くて頼めないからスープにしてくれとか、ちょっと文句の言い方が厳しい・・・ 呼ばれた料理長が、この料理は本来半生で出す料理だと言っても、非を認めないのもちょっと。結果、同席した人々をどんよりさせてしまう。そうやって武装して生きているのかもしれないけれど、これは生きにくいだろうなぁ・・・
父親は結局やって来ない。母親が電話口で涙ながらに懇願しても、あなたなど大嫌いだと罵っても来ない。それが何故なのかは明かされない。おそらくは、エドワードの決断を歓迎していないからなのかな・・・ 確かに優柔不断なエドワードだけど、長い人生ゆっくり決断してもいいのではないかと思われる。まぁ、そうできる恵まれた状況にあるから、そんな状態でいれるということもあるけれど・・・ 家庭の事情によっては、大学も行けずに働かなければならない人もたくさんいるわけだから。でも、恵まれた状況なのはエドワードのせいではないし・・・
もう一人画家の中年男性が出てくる。この人の存在があまりよく分からなかったのだけど、母親に絵画指導をしているのかな? 度々、家族と一緒に食事をしたりしている人物。画家という職業柄、結婚は難しいと語る。ある意味大人になり切れていないのか、達観した大人なのか・・・
まぁでも、現実一番"大人"だったのは、家族ともエドワードとも適度な距離を取りつつ、自分の主張はハッキリとする家政婦の女性だったかも?
特別何かが残ったかといえば、そうでもなかったし、テーマとしては心地よいものではないけれど、シリー諸島の自然が心地よく、なんとなく見てしまうというような作品。おもしろかったかというと微妙ではあるのだけど、嫌いではない。別荘の裏庭の感じとか、キッチンの感じとか、自然が上手く取り入れられていて素敵。
トム・ヒドルストンは特別ファンというわけではないけれど、やっぱり気になる存在。『マイティ・ソー』(感想はコチラ)、『アベンジャーズ』、『戦火の馬』、「コリオレイナス」を見たけど、この役とっても合ってる気がした。個人的に一番すごかったのは「コリオレイナス」だけど、この役好きかも。トム・ヒドルストンの繊細でちょっと神経質そうな雰囲気に合ってる。
日本未公開作品だから、見れる機会はあまりないのかな? DVDになってるのかしら? トム・ヒドルストンファンの方にはオススメなのだけど・・・ でも、ロキのトムヒが好きな人には向いてないかも(o´ェ`o)ゞ
【再放送】2015年1月15日 7:00AM @WOWOWシネマ