2019.06.12 『町田くんの世界』鑑賞@TOHOシネマズ錦糸町オリナス
お友達のmigちゃんの弟さんで、個人的にもファンの映画監督片岡翔さんが脚本を担当した作品ということで、これは絶対見たいと思っていた。試写会やプレミアなど応募しまくったけどハズレ😭 意外に上映館が少なかったけど、TOHOシネマズ錦糸町で上映してくれてうれしい😃 でも、油断してたら6月14日から回数減ってしまうらしい? ということで、健康診断でバリウム飲んだレディースデーのこの日、見に行ってきた~
ネタバレあり? なし?
「町田くんは5人兄弟の長男。父親はアマゾンで研究中のため不在で、母親は6人目を妊娠中のため一家の大黒柱として奮闘中。運動も勉強も苦手だけど、人が大好きで困っている人や一生懸命の人には助けに駆けつける。ある日、ケガをした町田くんは保健室でサボっていた猪原さんに手当てしてもらうことに。その日から猪原さんのことが気になって・・・」という感じかな。これはおもしろかった。ファンタジックな語り口ながら、町田くんという不思議キャラの存在が、人間関係が希薄で、一生懸命になることがかっこ悪いという風潮の世の中に対してのメッセージとなっている。青春モノとしても楽しく見れて、ホロリとしてしまう場面もあった。その後まさかの展開にビックリしたけど😅
石井裕也監督作品。監督の作品は『あぜ道のダンディ』と『舟を編む』を鑑賞。『舟を編む』は好きだったけど、大好きな光石研さんや田口トモロヲさんが出ているにも関わらず『あぜ道のダンディ』は自分は合わなかった😣 という感じの熱量。原作は安藤ゆきさんの漫画だそうだけど未読。あらすじを読んでみると猪原さんとの出会い以外は映画オリジナルのストーリーという感じらしい?🤔 毎度のWikipeidaは原作漫画がメインで、映画という項目で紹介さ入れている感じ。記載内容としては、2019年6月7日公開。主演は約1000人によるオーディションで選ばれた新人の細田佳央太と関水渚のダブル主演、監督は石井裕也。 とあるだけで、あとはキャストの紹介のみ。
いつもはネタバレで書いているけど、今作は脚本を楽しんでいただきたいのでネタバレ極力なしで書きたいと思う。とはいえついつい書いちゃうからどうかな?😅
町田一(細田佳央太)は5人兄弟の長男。後に登場するけど父親の町田あゆた(北村有起哉)は生物学者でアマゾンに行っているらしい。 母親の町田百香(松嶋菜々子)現在6人目を妊娠中で、どうやら町田くんは母親の代わりに晩ごはんを作っているらしい。母親にハンバーグをリクエストされると、初めて作るハンバーグで頭がいっぱいになってしまう。そんな時でも、バスでお年寄りや妊婦さんを見つけると、離れていても席を譲る好青年。
町田くんは彫刻の時間もハンバーグのことで頭がいっぱいになり、隣の席の栄りら(前田敦子)に指摘を受けると慌ててケガしてしまう。保健室に行くと同級生の猪原奈々(関水渚)がいた。猪原さんはクラスに馴染まず、教室にいないことが多かった。町田くんとも関わりたくないようだけれど、不在の保健の先生に変わって手当てしてくれる。
後に分かることだけれど、猪原さんは家庭に事情があり、そのことが学校中で噂になり、心を閉ざしてしまったという経緯がある。そういう事情は知らない町田くんは猪原さんにお礼をしようと一生懸命。ここから2人の関わりが生まれる。最初は町田くんの存在を迷惑というか、ちょっと怖くも感じていた猪原さんだけど、次第に町田くんのことが気になっていく。
前半部分は猪原さんの目を通して"町田くん"の世界が紹介される。町田くんは運動も勉強も苦手だけれど、人間が大好きで、困っている人や一生懸命な人を放っておけない。ポスターを貼ろうと頑張っている男子学生や、たくさんの本を抱えている女子学生を見かけると、駆けつけて助けてくれる。この辺りを少しコミカルに描くの好き。そして、これは後の伏線でもある。
主人公はもちろん町田くんで、その相手役の猪原さんも主役ということになるのかな。その他の主要人物としては、前述の栄りら。演じているのが前田敦子ということもあって、ちょっと大人目線というか達観しているところのある女子高生。猪原さんと幼馴染だったりすることもあり、積極的ではないけれど適度な距離感で、町田くんと猪原さんを見守り、アドバイスをくれたりする。この栄さんのキャラはとっても良かったし、演じる前田敦子が良かった✨
同級生の主要人物としては、なぜか猪原さんと3人でデートすることになる西原亮太(太賀)や、モデルとして学校では人気者だけれど、行き詰っている氷室雄(岩田剛典)や、その彼女でちょっと町田くんと猪原さんの間に波風を立てる高嶋さくら(高畑充希)などが登場して、町田くんの世界に影響を与えたり、町田くんが彼らに影響を与えたりする。そして、このキャスティングがおもしろいのは、主演2人以外の主要な高校生役が、みなアラサーだということ。これは敢えてのキャスティングなんだと思うけれど、演技経験の少ない主演2人を支える意味もあるのかなとも思うし、それぞれキャラの立った役で、例えばちょっと面倒なタイプのさくらを高畑充希が演じているおかしさみたいなものを感じたりする。
一方で、大人たちの配役も結構豪華で、例えば主人公たちとは全く絡まない役で佐藤浩市がキャスティングされていたりするけど、出演場面としてはわずか。母親の松嶋菜々子はそれなりに町田くんとのからみがあるけど、父親の北村有起哉はワンシーン。でも、あくまで経験の少ない主演2人のサポート的な感じだったのが良かったと思う。
学生たち以外で1人だけ町田くんたち世代と、大人世代の中間にいる存在がいる。それが吉高洋平(池松壮亮)で、雑誌のライターをしているが、自分の書きたいものは書かせてもらえず、芸能人の不倫ネタばかり。佐藤浩市扮する上司は世間は他人の不幸が見たいんだと言うけれど、本当にそうだろうか?🤔 バスで見かけた町田くんの親切を最初は少しいぶかった目で見ているかのような演出は、後の伏線となっていて良かったと思う。
町田くんの中でも、猪原さんの中でもお互いの存在が大きくなっていくけど、そのタイミングが合わなくてヤキモキ😳 町田くんは人が好きだと言っているけど、でも好きってどういうことか分からないとも言う。このセリフはとても深い気がして良かった。2人の間に重大なことがあり、町田くんは"好き"の意味を理解する。そのシーンは、そこまでの流れや風景も含めてとっても好きだった。ちょっと感動して涙を流していたら、なんとその後ビックリ展開に😲
この展開は結構長く続くので、もしかしたら合わないと感じる人もいるかもしれない🤔 自分は好きだった。その間にタイトルに絡めたエピソードなどもありつつ、最後までファンタジーで押し切ったのは良かったと思う。自分は俯瞰の画になってからの町田くんのぎこちない動きのアレがとってもツボだった🤣 思い出してもホッコリ😊
キャストはみな良かった。大人キャストたちは出しゃばらず要所を締める感じで良かった。吉高の存在が、作品全体を大人が見ても共感できる感じにしていると思うので、池松壮亮はそういう意味で良かった。「行って!行って!!」っいうの笑った。
ちょっと年齢層の高い同級生たちも良かった。高畑充希の役はかなりクセがあったけど、なかなかおもしろかった。前田敦子が良かった! 冷めた感じだけど、ちゃんと主人公たちを見てて、さりげなく後押ししてくれる感じ。登場時はビックリしたけど、だんだん女子高生に見えてきた。
主演2人が初々しくて良かった。町田くんの細田佳央太は技術的に足りない部分があったとしても、逆にそれが迷走する町田くんにつながっていたと思う。猪原さんの関水渚はとても良かったと思う。
ロケ地はどこだったのかな? 駅前の感じとか、学校とか地方っぽくて良かった。2人がよく一緒にいる使われてないプールの感じとか好きだった。町田くんが感情をぶつけて掃除するシーンがあって、それはそれで面白いシーンだったんだけど、まさか伏線だったとわ!😲 脚本は石井監督と共同ってことのようだけと、鴨とか風船とかは片岡翔さんによるものかなと思ったけど、違うかな? 全体的にファンタジックでコミカルだけど、前述の町田くんのセリフとか心に響くセリフがたくさんあった。
見てから一週間以上経ってしまったし、上映館数が少な目だったけど、丸の内ピカデリーなどで上映中! じんわり心にしみてくる作品なので是非劇場で見て欲しい!