まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

悲しき銃殺魔

2007-03-29 | 中国・台湾・香港映画
 レンタルビデオ店のレジ前で...
 売り物のDVDプレイヤーの入った箱を、小さい男の子が弄っていて、今にも床に落ちそうに。男の子の父親らしき若い男性が、離れたところから『何しょうるんなー早う来いや~帰るで~』と呼んでいる。男の子は、プレイヤーが落ちそうなので、身動きができない状態。ハラハラ&可哀想なので、助け舟を出す私。男の子は、ありがとうも言わず、さっさと父親のもとへ。一部始終見てたはずの父親も、知らん振りして去ってった。あわわ、元に戻らん!と、落ちそうになるDVDに、独りアタフタしてる私、バカみたいです。気づけよ店員!
 もともと干からびてる親切心、ますます涸れてしまいそうです。

 「ダブルタップ」
 故レスリー・チャンが、銃の魔力に憑かれ、サイコキラーと化す衝撃作。
 レスリー、こ、怖い...終始、鬱々とした荒んだ表情、イっちゃってる目。コワレちゃってます。まさに、銃という麻薬に身も心も蝕まれてしまってる感じ。自制が効かなくなり、次々と情け容赦なく刑事たちを射殺しまくるレスリー、血に餓えた悪鬼のような壮絶さです。そこに、従来の可愛らしい、艶やかなレスリーは観る影もなく...
 銃には、本当に麻薬のような魅力があるみたいです。my 禁断の愛読書「実録戦後殺人事件帳」を繙いてみると...少年ライフル魔事件の片桐操や、連続射殺事件の永山則夫など、まさに銃の魔魅に狂わされたといえるでしょう。
 そんな狂気の銃殺魔を演じるレスリー。役者だなあ、と感心する反面、何だか見ていて辛いものもある。最盛期を過ぎ、さすがの花の容色にも、衰えが隠せなくなってきていた晩年のレスリーの、思いつめた試行錯誤の一部のようで...この作品や、遺作の「カルマ」など、病的な役を選びがちだったことが、自らの生命を絶つ予兆のように、後になってみれば思えて、いっそう胸が痛みます。
 それと...もう一人の主役である、殺人鬼レスリーを追う刑事ミウ役のアレックス・フォンが、すごく魅力的なことも、いっそうレスリーを悲しい存在にしています。

 このミウ刑事、「ワンナイト・イン・モンコック」のミウ刑事と同一人物?アレックス・フォン、男くささの中にある優しさ甘さが、ほんと素敵!一見フツーっぽいけど、なかなか実際にはいない種類の男前。スラリと長身で、スーツが似合うのも高ポイント!自衛隊の制服も似合いそう!あと、ドスさしたサラシ姿とかも。闘う男の勇ましさ、憂愁、色気に心蕩けてしまいます。脱いだらスゴいらしい彼の裸、早く確認したい!香港で愛ルケをリメイクするなら、彼で!
 どんな作品も、誰よりも魅力的で光彩を放っていたレスリーが、誰かにヒケをとってしまう...これはファン以上に、誇り高いレスリーには耐え難い現実だったのではないか、と愚考してしまいます。レスリーが亡くなった時は、ただ悲しく惜しい気持ちでいっぱいでしたが...誰かの引き立て役になったり、つまらない役に甘んじたりする姿を見ることは決してない、ということだけは、せめてもの慰めになります。あたらめて、レスリー哀悼。レスリーforever...
 
コメント (9)
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